第4話 はじめての戦い(6)
異世界にも魔法は存在する。
エリンが元々知っている魔法とは、やはり神の力によるものだ。
何もない所から炎や風を生み出す。それは人の理を超えている。神の力を借りなければ、そのような超常事象は引き起こせないというのが異世界の常識だった。
そんな魔法は神の加護としては特殊な立ち位置にある。
通常、人々はいずれかの神に心を捧げ、信仰者と認められることで加護を与えられる。しかし、魔法は信仰者でなくとも使うことができた。
正確には、信仰者でなくとも使用できる神の加護を〈魔法〉と呼ぶ。
魔法を発生させるためのプロセスとして用いられる〈詠唱〉は、詰まる所、普段は信仰していない神に対して許しを請うものであり、その場限りの関係を結びためのインスタントな祈りだ。
エリンは無能力者である。
神の加護を持たない。どれだけ祈っても、神から手を差し伸べられることは一度もなかった。残念ながら、これは魔法に関しても同じだ。詠唱のやり方はきっちり学んだのに、皆と同じようにやっても魔法は発動しない。たとえ一時的にでも、神々がエリンに力を貸してくれることはなかった。
異世界の魔法として代表的なものは、〈火〉〈水〉〈風〉〈土〉の四大元素である。〈火の神〉を始めとする四大元素の神々は、それだけ心の広い神とも云われていた。信仰者でもない人間から〈詠唱〉として定型文化された祈りを捧げられるだけで、いつでも力を貸してくれるのだから。
そうした優しい神々(あくまでも人々の勝手なイメージ)からも、エリンは生まれた時からずっと無視され続けてきた。
エリンは魔法を使えない。
そのはずだった。
今、唱える。
異世界の魔法とはまったく異なる、VRMMOの〈詠唱〉。
頭の中に自然と浮かんだその言葉を、エリンはなぞるように口にした。
神への許しではなく――。
神への祈りではなく――。
ゲームとしての魔法に神々は無関係であり、その〈詠唱〉には実の所、厳密な意味や意義など存在しなかった。
身も蓋もなく云えば、それは厨二心の発露に他ならない。
〈癒やしであり滅び。慈悲無き平等なるもの〉
〈その鉄槌は万物万象を砕く〉
〈時の加速〉
時間魔法の初歩とも云えるⅰ系・オールドの詠唱文。
ゲームにおける魔法の詠唱文には、科学的な根拠も存在しなければ、魔術的な秘奥も存在しない。上っ面だけの空虚なものであり、とにかく格好良ければそれで良いという俗なものだった。
そんな風に〈詠唱〉には言葉としての意味は存在しないが、ゲームシステムとしては一応の役割もある。
スキルを発動する際にも使用されるコマンド操作。必殺技みたいなノリで叫んだり、普通はしないようなポーズから動き始めたり、そうした何らかの言葉や動作を事前に設定しておくことで、それらをトリガーとしてスキルを安定的に発動させるのがコマンド操作である。
魔法もスキルと同じだ。
現代世界に魔法は実在しない。
だから、VRMMOで魔法を使おうとした時、日常動作の延長として無意識の感覚で扱おうとしてもなかなか難しい。現実に魔法が存在しない以上、『魔法の使用感』を最初から身につけている人間は一人もいないからだ。
そのため、魔法では〈詠唱〉がコマンド操作として利用される。
なお、スキルには高等技術としてニューロ操作があるが、魔法にも〈詠唱破棄〉という同系統の技術が存在していた。
仮想世界で魔法を反復的に使用し続けることで、本来は存在しないはずの魔法の使用感覚が身に付き、口語のコマンドである〈詠唱〉を必要としなくなっていく。だが、それに関してはひとまずエリンには先の話となるだろう。
「〈時の加速〉ⅰ系・オールド」
エリンの振り下ろした杖が、目の前に浮かぶ魔法陣に叩きつけられる。
感電したかのような激しいスパーク。杖を握るエリンの手には、獣が暴れるような振動が幾度も伝わって来た。
魔法陣から放たれたのは、帯電したように輝く霧である。
その霧は一気に、巨大ロボット〈レッドアリア〉の左腕を包み込んだ。
ダメージはない。
だが、効果はめざましく発揮された。
時間魔法〈オールド〉。
詠唱文にもあった通り、その効果は『時の加速』である。ゲームとして具体的に云うならば、その効果は対象範囲を急速に『古びかせる』ことで、防御力を始めとしたステータスにマイナス補正を与える。詰まる所、デバフの効果を持つわけだ。
霧に包まれたロボットの左腕が劣化を始めていた。
装甲は見る間に錆びついて、関節機構はギシギシと歪んだ音を立てる。〈レッドアリア〉の動力源がどのようなものであるか、それを知るのはカラサワ本人だけだろうが、腕部のエネルギーラインが濁った色に染まっていく。
ⅰ系・オールドが影響を及ぼしたのは、あくまでも左腕のみ。
そのわずかな効果範囲が、エリンの現時点での限界である。
だが、十分だろう。
エリンはチャンスを見逃さなかった。
杖を再び、戦斧にチェンジ。
ピコピコ、と――。
ドットの粒が舞い踊り、それを散らしながら、エリンは刃を振りかぶる。
「今度こそ!」
全力の一撃に、先程にはない手応えを感じた。
両断する。
巨大ロボット〈レッドアリア〉の左腕を、手首の先から叩き斬った。
「追撃を……!」
エリンの生み出した勝機に、エージェント二人が追い打ちをかけようと迫る。
だが、〈レッドアリア〉は爆発的に全身のエネルギーラインを輝かせると、背部のスラスターを力強く噴射して空に舞い上がった。レンフェロが間髪入れずに雷魔法を放ち、遠距離からでも幾らかのダメージを与える。それでもカラサワは動きを止めず、雷魔法の射程外まで瞬間的に退避していた。
『……いやー、びっくりしたね』
エリンが突然放った〈時間魔法〉という一手は、カラサワとエージェント二人を大いに動揺させていた。
カラサワはロボットの左手を失い、そこで回避行動を取ったものの、〈七廃人〉としての実力から云えば逃げるのではなく反撃に打って出ることも十分可能だった。それをしなかったのは、さすがの彼女も面食らっていたからである。
時間魔法。
本日ゲームを始めたばかりの初心者プレイヤーが使って良い魔法系統ではない。
『ボクが云うのもどうかと思うけれど……ねえ、運営の犬たち。ちょっとさあ、チート過ぎない?』
「犬呼ばわりに返事をしたくありませんが、しかし。あなたと意見が一致する日が来るとは夢にも思いませんでしたよ、〈蜃気楼〉」
『本当に、ねえ。ボクが云っても仕方ないけれど、大丈夫なの?』
「あなたでも常識的な心配ができるんですね」
『うーん、〈七廃人〉の中ではまっとうな方だと思っているけれどね。まあ、それはいいや。時間魔法が使用可能になるだけでも、プライマル級に相当する付与能力だ。えーっと、このわずかな戦闘の合間に確認できただけで、モードチェンジ……それと、たぶん〈ガッツ〉系のかなり上等のやつも付いている』
「ちなみに、私の所持するレア級の武器は一撃で破壊されました」
『あー、装備破壊効果もあるのか。というか、統一性がないね。レン君もそのプライマル級の武器を持っているからわかると思うけれど、高レアのドロップ品にはそれなりのテーマがあることが多い。その双剣〈パロポロム〉は近接アタッカーをいきなり魔法職に様変わりさせてしまうものだ。コモンやアンコモンのような市場に出回る安物とは違うのさ。戦闘スタイルにも多大な影響を及ぼす装備のテーマ性って奴は、製作者の芸術性が問われる部分でもある。でも、なんだろうなー。なんとなく、その少年が持っているユニークアイテムにはテーマ性が見えない。強引に解釈するならば、とにかく〈強いもの〉を詰め込んだという感じかな。わー、それが正解だったら本当にヤバいね』
常識外の化物であるはずのカラサワが不穏に笑う。
レンフェロは沈黙でそれに応えた。
カラサワの茶化すような言葉に含まれる意味は、『そんなチートアイテムを運営が実装しちゃって大丈夫なの? 荒れるよ、炎上するよ?』という所である。レンフェロはエリンと最初にやり合った時に同じことを考えていたため、今さらその挑発に乗ることはなかった。
二人がそんな風に嫌味や皮肉を云い合っている間に、エリンは破壊した〈レッドアリア〉の左手からロアを救出しようと試みていた。
彼女は握りしめられた状態で捕まっており、指の一部も切断しなければ抜け出せそうになかった。戦斧のエネルギーブレードは高速で回転し続ける、さながらチェーンソー。押し当てるようにして、エリンは作業を進めていく。
カラサワと決着が付いたわけではない。
戦闘は継続中だが、エリンが優先すべきはこちらだった。
時折、戦斧のエネルギーブレードが装甲の硬い断層に弾かれる。初心者プレイヤーだから基礎ステータスの低いエリンは、あっさりと吹き飛ばされて体勢を崩してしまう。だが、諦めることなく何度も刃を振り下ろしていく。
必死だった。
誰かを救けるため、全力を尽くすのは当たり前だ。
だが、エリンにはそれ以上の想いがあった。
ロアはチュートリアルを担当する案内人のNPC。
エリンとロアが巡り合ったのは、運命的な出会いと呼べるようなものでは決してなかった。エリンがゲームスタートしたタイミングで、ただ単に、ロアが担当の案内人として割り振られただけに過ぎない。
ロアもまた、あくまで日々の変わらぬ仕事のひとつとして、その他大勢の初心者プレイヤーを相手にするのと同様にエリンを相手にしただけだ。
プロトコル〈キャラメイク〉で、ロアはエリンにプレイヤーとして必要最低限の能力を与えた。
エリンはそれを神の加護と誤解し、ロアに絶対の誓いを立てたわけだ。
何もかも、勘違いから始まっている。
エリンは今、わずかではあるものの、確実に、この世界に疑念を抱き始めている。
異世界の常識からあまりにかけ離れているVRMMOの仮想世界。最初は、かけ離れているからこそ、神々の世界である天上界と信じ込んだ。しかし、いくらなんでも理解できないことが多すぎる。
異世界と神々の天上界。
現代世界とVRMMOの仮想世界。
誤解し続けるには、両者はあまりにもチグハグだった。
エリンが真実に至るのは、おそらく、そう遠くない未来のことだろう。
今は、うっすらと疑念を抱いた状態である。
それでも、エリンの行動に一切の迷いはなかった。ただ、突き進む。
先程から繰り返し思い出しているのは、ロアから力を授かったあの瞬間――すなわち、プロトコル〈キャラメイク〉で初めて〈力〉を得た瞬間のことだ。
生まれてからずっと、無能力者として生きてきた。
残りの人生も、その業を背負って生きるしかないと諦めていた。
まるで、呪いが解けるように――。
あの瞬間、運命が変わった。
エリンは救われた。
きっと、あの時感じたものは何があろうとも色褪せない。
エリンがいつか死ぬその時まで、太陽のように輝き続ける。
もしも、この世界の何もかもが偽りであったとしても、エリンが抱いた想いまでは偽りにならないだろう。エリンは己を疑わない。彼女に誓った言葉のすべても、その瞬間の想いのすべても、エリンが己を信じる限りは生き続ける。
「今度こそ!」
裂け目が広がり、終わりが見えた。
エリンは残りの体力を振り絞り、会心の一撃を入れる。
巨大ロボットの左腕、ロアを包み込んでいた部分が完全に斬り裂かれる。
「……エ、エリンさん」
泣き声混じりのロアの声。
エリンとエージェントたち、カラサワの激闘。
その最前線に巻き込まれたロアは、当然のように途中から目を回していた。非戦闘要員のNPCであり、なおかつ可動開始から間もないため、基礎ステータスは初心者プレイヤーと大して差がない。ダメージを受けなかったとしても、精神的に参っていた。
「ど、どうなっているんでしょうか……。う、動けません。身体が全然、云うことを聞いてくれなくて……。わたし、どうにかなってしまったんでしょうか?」
「大丈夫ですよ。さあ、ここから抜け出しましょう」
恐怖に腰でも抜けてしまったのか。壊れた機械の残骸に埋もれるロアは、うつむきがちに涙を堪えているようだ。エリンは優しく笑いかけながら、まっすぐ手を差し伸べた。
「あ、ありがとうございます」
ロアの小さな声が、それに応えた。
「……ん?」
エリンは首を傾げる。
それはもう、腰から曲がるぐらいの勢いで首を傾げた。
ここで今一度、ロアの容姿を思い出しておくべきだろう。
彼女の精神年齢設定は十二歳である。ただし、顔立ちも身体つきも設定よりやや幼く、良くも悪くも『こども』という印象が強まる容姿デザイン。
愛らしさは満点。黒髪の二つ結びは、ちょっと古めかしいイメージであるものの、落ち着いた雰囲気が似合っている。瞳には、人間には見られない幾何学的な虹彩が透けて見えていた。
学童の制服のような恰好で、便利グッズのランドセルを装備。
オシャレ要素として、パンダの髪留め。
総じて云えば、奇抜な所はないけれど、細々とした所までクオリティの高い容姿デザインだ。
「……ん? んんっ!」
ロアの手を引いて、機械の残骸の中から救助した。暗がりに埋もれていたロアの姿はそれでハッキリと見えるようになったわけだが、エリンは大いに表情を歪めてしまった。
出会いから今まで、ほんの数時間である。
これまでのやり取りが高速でエリンの頭の中を駆け抜けていく。
確かに一度、ロアの容姿に好感を抱いた。
エリンは無能力者であることと同じぐらい、自分の身長にコンプレックスを持っている。故郷で同年代の少年少女たちが「もう立派な大人だな」と冗談めかして云われるようになった頃に、エリンだけは「好き嫌いなく食べないと大きくなれないぞ」と、かなり年下の子どもたちと同じように扱われたものだ。
エリンにとって、背の高い相手の好感度はマイナススタートである。
逆に、世界にごくわずかしか存在しないだろう自分よりも背の低い相手に対しては、無条件にすべてを許したくなるような愛を感じる。
ロアは子供なのでそこまでではないものの、受け答えのしっかりとした所から推測される年齢と、その割には発育不足気味に思われる体格からして、かなり将来に期待できそうだった。
そうした所も含んで、ロアに対する好感度の高さである。
さて、それが現状どうだろうか。
「あれ!」
ロアが自身の状態に、ようやく気付く。
「わたし、この姿は……?」
エリンはちょっと、裏切られた気分である。
平均よりも幼く、小柄で好ましかった少女が跡形もなくなっていたからだ。
時間魔法〈ⅰ系・オールド〉。
ゲームとしての効果だけで見れば、デバフの魔法。
だが、現実並みのリアルを追求するようになったVRMMOでは、昔のゲームならば数字だけで表現されていた誤魔化しの部分まできっちり描かれる。『時間を加速し、効果対象を古びかせる』――防御力を始めとしたステータスを低下させるだけではなく、仮想世界では本当に様々なものの時間が加速するのだ。
事実として、〈レッドアリア〉の左腕は装甲が錆びついたりしていた。
そして、これは完全にエリンのうっかりミスだったが、〈レッドアリア〉の左腕を包み込むように展開したⅰ系・オールドは、捕らわれのロアにまで効果を及ぼしていた。
時を加速された女の子。
いや、もはや、ロアは女の子ではない。
それは、ただのスレンダーな黒髪ストレートの美女だった。
「なんという変わり果てた姿に……」
まるで、ロアが目を背けたくなるような屈辱的な仕打ちを受けたかのように、エリンは青ざめ、涙すら堪えながらそんな感想を漏らした。
「えっ! わたし、大人になると結構いい感じになるんだと思ったのに……ダメなんですか!」
驚きつつも、インベントリから手鏡を取り出して自分の姿を眺め回していたロアは、エリンのバカな感想に対して同じように青ざめる。
何がいけないのかわからないと云うように、ロアはエリンを正面から見下ろした。
そう――。
見下ろした。
「年齢よりも幼くデザインされてしまったので、将来どうなるのか、ちょっと心配していたんです。でも、見てくださいよ。ちゃんと背も高くなるみたいです」
「絶望しかない」
エリンはやはり正直な感想を述べた。
徐々に冷静になり始める中で、大人バージョンのロアとじっくり見つめ合う。
決して目立つぐらいの高身長というわけではない。だが、女性としては平均よりも立派な方だろう。その顔を見つめるためには、エリンは自然と見上げる格好になる。悲しみを覚えて、視線を下げていく。身体つきもまた、大人。何もかも小ぢんまりとした子供バージョンと比較して、すべて詐欺のような成長具合である。
しばらく、互いに無言。
そうしていると、エリンは頭の上にポンと手を置かれた。
「……なにを?」
エリンは思わず殺意の滲んだ眼で、ロアを見上げる。
「あ、いえ。思わず。ちょうど良い高さだな、と――」
謝りつつも、ロアの手は離れない。
お姉ちゃんが年の離れた弟にするみたいに、よしよしと頭を撫でられた。
「助けていただき、ありがとうございます」
「感謝を示すならば、もっと適切なやり方があるのでは?」
思わず、殺意が口調にも滲んだ。
自分よりも背が高くなってしまった時点で、彼女に対する好感度は水漏れしたみたいにドバドバ減っている。
「えーっと。そうですね、これはさすがに失礼でした」
コホンと咳払いしながら、ロア。
彼女はかがみ込んで、エリンと目線の高さを合わせる。そして、これまた慈愛と包容力に満ちた仕草で、エリンの小柄な体躯を抱きしめてきた。
「ありがとうございました」
ギュッと抱きしめられながら、エリンは改めてお礼を云われる。
「いや、待て。これもなんか違うぞ」
エリンは確かに、実力以上のことをやってやった自覚はあるし、自分で自分を褒めてやりたいぐらいの気分にはなっていた。わざわざここで感謝の言葉を突っぱねる程にキザな性格もしていない。ロアが無事に助かったことは嬉しく、それで礼を云われるならば、素直にその気持を受け取っただろう。普通ならば。
残念ながら、この状況は断じて普通ではない。
「とりあえず、離れて。冷静になりましょう」
「そうですか? しばらくこうしていても良いですよ」
ロアはさらに力強くエリンを抱きしめる。
「自分よりも小さな子を抱っこするの、楽しいです」
「くっ……! どこまで俺を傷つければ気が済むんだ」
エリンは力ずくでロアを引き剥がした。
一歩、大きく離れる。
見上げ、見下ろし、互いにじっと見つめ合う。
再び、沈黙が続く。
「……さて、それで?」
ロアが先に口を開いた。
「これ、どうやったら元に戻るんです?」
エリンはぎこちない笑みで応じる。
やはり、衝動的によくわかっていない能力を使うものではない。なんとも答えようのないエリンは、青ざめた笑顔のまま、大いに首を傾げるのだった。
二人の間に、どうしようこれ、という空気が流れていく。




