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【コミカライズ:1巻発売】私、異世界に来てまでレジ打ちやってます!  作者: 黄金栗
第四章 街道のくまさんと触れる想い
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おにぎりをアゲアゲな気分にさせる



白い砂浜と透き通るような海に別れを告げて、私達は学園都市ウォールを再び目指し始めた。

シレーネはお金持ちしか入れないリゾート地。そしてウォールは富裕層の住む住宅街があることもあって、ふたつの街を繋ぐ街道はしっかりとされて横幅も広い。

馬車がすれ違っても、道を譲り合うことなく通れそうってくらい。

とはいえ、どれだけ広い街道でも、私達は徒歩で移動なのですが、とほほ……。


「そろそろ休憩にするか」


太陽が丁度真上にあがった頃、ウィルが街道の脇に立てられた休憩小屋を指さしながら提案する。

この街道は、旅人が休憩出来るように小さな小屋があったり、簡易の椅子があったりする。

スーパーで言うところのイートコーナーみたいな場所なんだけど、流石貴族様がよく使う街道……休憩スペースもちょっとした庭園のテラスみたいなのが設置してあった。

無駄におしゃれ!


「そうだな。ついでに昼飯にしようぜ、今日はシーナの担当だろ?」


「はーい!さんせーい!」


私は万歳するみたいに両手を上げてリークさんに同意した。

どれだけ、疲れを軽減する靴を履いた所で全くもって疲れないってわけでもないし、何より歩くとお腹が減るのです。


旅のメンバーが私とウィルの2人から、リークさんと犬堂さんを加えた4人になってから、ちょっとだけご飯のシステムが変わったんだ。

料理上手なリークさんの参入により、旅の食事事情は劇的に向上したんだよね。

朝食は美味しい紅茶とベーコンに卵焼き。お昼は軽めのサンドイッチや干し肉、夕食は取れたてのモンスターを素材に合わせて調理して……ちょっと待って!私達ご飯をリークさんに任せすぎてない!?


そんなわけで、昼食ぐらいは当番制にしよう、ということに決まったのです。

まぁ、もちろんリークさんは手伝ってくれるんだけどね。


そして、今日は待ちに待った私の初!昼食担当!!


「お前、飯作れるのか?」


「ウィルには言われたくないですぅ~!まぁ任せてくださいよ!」


ウィルの冷ややかな視線を返しながら、私はドンッと自分の胸を叩いて見せた。

……とは言ったものの、普段はバイトでろくに調理という行為に触れていない私に突然料理なんて俄然無理な話でして。

悩みに悩んだ私が出した答えが、これなのです。


「バックヤード入りまーす!よいしょっ…と」


街道の真横に空間を無視して現れたスイングドアへ、私は身体を押し込んだ。

火傷しないように、取っ手部分をウィルから借りっぱなしになっているハンカチで持ち、中から大きな土鍋を取り出してくる。


「変わった形だが、もしかして鍋……か?」


リークさんが、土鍋の形を値踏みするような視線でしっかりと捉えている。

相変わらず調理用具には目が光る……でも、驚くのはまだ早いですよ~!

犬堂さんは既に察しが付いたのか、あぁ、と納得したようにお洒落なテーブルの上に厚手の布を敷いてくれた。

その布の上にドンと置き、私は早速土鍋の蓋を持ち上げた。


「ふふふ。白い宝石ほかほかご飯!お昼ご飯は、おにぎりです!」


ペカーーー!

そんな効果音が出そうな程につやつやと白く膨らんだ白・米!


第1倉庫を夏やレジャーに変更してスイカや浮き輪を取り出せたんだから、冬に変更すれば冬に関係する商品が取り出せると踏んだ私の読みは大当たり。

冬と言えば、お鍋が定番。

スーパーはバーベキューと同じように土鍋もスーパーで売る時代。

しかも最近はひとり鍋用の小さいサイズまで取りそろえているから、バリエーションも豊かだよね。


「もしかしてシレーネで椎名君がちょくちょくキッチン使っていたの、米を炊いてたのかい?」


「そうなんです。実は最初に焼き肉のタレ使った時、白米がすごーく食べたくなっちゃって。どうにか炊けないか思考錯誤していたんですよ。お米はバックヤードに沢山あるんですけど、流石に炊飯器はないから、これは土鍋で炊くしかないなって!」


「だから館の魔法石の使い方をリークに聞いてたのか……」


初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いてもふた取るな。

昔炊飯器が壊れて2週間ぐらいずっと土鍋でお米を炊いて食べていた時があって、土鍋でご飯を炊くの実は得意だったりするんだよね!

何がどうって、魔法石を使った火加減が難しかったけど、無事にお米が炊けました。


バックヤードに入れた物は時間が止まるから、出発前に空いた時間に少しずつ炊いておいたんだ。

うん、これに関してはアイテムボックス最高って気持ち。


「オレ、米初めて食べるぞ」


「え!?リークさん、この世界にはお米ないんですか!?」


「一応有るが……高級食品として扱われているからな、オレみたいな庶民がおいそれと口に出来る物じゃないんだ」


ほかほかご飯の湯気を浴びながらリークさんが神妙な面もちで呟く。

凄いな、って小さく呟くウィルの声も聞こえてきて、何だか不思議。


「私達、ほぼ毎日、米、食べる」


「はぁ!?」


「チョコレートといい……お前達の世界はどれだけ食が豊かなんだよ。俺も米は数えるほどしか食ったことないぞ」


私としては魔法が日常的に使える世界の方が驚きなんだけどね。

そんな気持ちに同調するみたいに、犬堂さんが深く頷いていた。

何だか、このままだとご飯を眺めて昼食が終わりそうだから、そろそろ作りますよーー!


「こんな高級食材を使って、何を作るんだ?」


「さっき言ったじゃないですか。おにぎりですよ、おにぎり」


「おに……?」


「凄く簡単だけど、美味しいご飯です」


興味津々に聞いてくるウィルに水の入った入れ物を手渡され、手を洗う。

残りをそっと深皿に入れ、これは握る時に手を濡らす用の水っと。

木の大きなボウルに炊き立てのご飯を適量移して、おっと、そうそう。


「じゃじゃーん。おにぎりちゃん山!」


「何だそれ?」


「おにぎりをアゲアゲな気分にさせる、魔法の粉です」


「その言い方だと、ちょっといけない粉みたいだね、椎名君」


商品を紹介するテレビ番組みたいに、私は皆に向かってパッケージを見せた。

可愛いリボンの付いたおにぎりがニッコリ笑っているイラストが印字されている商品、そう「ふりかけ」である。

これをご飯に混ぜてにぎるだけで、簡単!それでいて美味しい!おにぎりが完成する。

普通の塩と海苔のおにぎりも大好きだけど、いろんな味を楽しめる方が良いかな、と思って今回は混ぜご飯のおにぎりスタイルなのです。


バックヤードから出す商品は基本的に私のスキルとしてカウントされて形だけの精算になるから、普段は出来ない全種類購入という、おにぎりちゃん山の大人買いをしてしまった。


「さぁ!どんどん握って行きますよ!」


第1コーナー、おにぎりちゃん山、定番オブ定番「鮭わかめ」!

第2コーナー、おにぎりちゃん山の人気者「たらこ」!

そして私の一押し、おにぎりちゃん山のホープ「ツナマヨ」だ~~!!!


ツナマヨのふりかけって珍しくて買ってから、大好きだったんだよね。

あっ、一緒にたくあんも食べたいから取ってこようっと!



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