表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ:1巻発売】私、異世界に来てまでレジ打ちやってます!  作者: 黄金栗
第三章 シレーナの海と心の波
69/310

年齢指定の商品が存在しました



第1倉庫のドアを開けて、中に入ってみた。

やっぱりそうだ!直接床に置かないように、浅い段ボールの中に収まっているのは、紛れもないスイカ!

緑と黒のコントラストを見ただけで、あの真っ赤でシャクシャクとしたスイカの味がじわりと口に広がっていく。


「あっ、これ花火だ!こっちはバーベキューセットに木炭まで」


倉庫に積み上げられた段ボールや棚には、普段ならトラックカートに乗っていない商品で溢れ返っている。

そして、そのどれもが夏に仕入れする商品ばかりだった。


今のスーパーは食品だけを売っている場所ではない。

簡易のバーベキューコンロと木炭。

替えの網からトング、アルミの取り皿。

レジャーマットは通常よりも広めなファミリーの物が並び、組み立て式のコンパクトチェアが色違いで置かれる時代。


もちろん、お肉や野菜に飲み物まで何でも買える。

そう、スーパーへ来れば、身ひとつでバーベキューが出来る所まで来ているのだ!


「これを精算して外に持って行けば、バーベキューが出来るじゃん。食べ終わったら花火も出来ちゃうし、絶対に楽しいよ~!!」


正直な所、海に初めて来て私はすっっっごく浮かれていた。

当然ながら、浜辺でバーベキューなんて一度も体験したことが無かったから、お誂え向きにこんなセットを見せられるとやりたくなっちゃうのが人間ですっ!


「お肉とか野菜とかはまだ私のレベルでは解放されていないから、シレーネの街に売ってないか、後で犬堂さんに聞いてみよ」


ルンルン気分で倉庫の中を探索していく。

花火に、バーベキューセット、スイカ、レジャーマットにコンパクトチェアも持って行こう!

ソフトクーラーボックスが出てきたから、これも持って行くとして……んー。


「1人で持ち出すのは、ちょっと無理かな」


一カ所に集められた商品の数々を見下ろしていると、ついつい苦笑が漏れちゃった。

どう考えても一度で運べる量じゃない。

うーん、こんな時ばかりは千住観音様みたいに手が沢山あればいいのにって思っちゃう。

重い商品を持つのは得意なんだけどね、若いですから!


おっと、そうそう、忘れちゃいけない。

バックヤードに来た理由とも言える商品も探さないと。

ガサガサ……あった!


「やっぱり女子たるもの、紫外線には気を使わないとね」


青い空に太陽の絵が描かれたパッケージ。

そこに大きく印字された『SPF50+ 絶対やかない日焼け止め』の文字。


そう、日焼け止め!


シレーネってリゾート街って言われているだけあって、少し暑くなり始めたぐらいの過ごしやすい気温ではあるんだけど、やっぱり、こんがり焼いて痛い思いしたくないもんね。

異世界の紫外線がどんな感じなのか見当も付かないし、水着で肌を露出しているし。


「とりあえず、日焼け止めだけ精算して出て、夕食の予定とか聞いてから色々取りにこようかな」


どうやって外に持って行くかは後で考えよう。

まぁ、多分……何回かに分けて運ぶことになりそうだなぁ。

ぐぬぬ、やっぱり腕が複数あれば……!


「ん……何あれ?」


一旦倉庫から外に出ようとした時、不意に倉庫の隅っこ、棚の影になっている所に、のれんが掛かっているのに気付いた。


「なんだろう。展示用ののれんかな」


何気なく、のれんの方へ近付いていく。

遠目には見えなかった、のれんの模様が見えた時、私は思わず日焼け止めを落としそうになった。


「なっ、なななな……」


黒いのれんに赤字で書かれたR20という数字。

これは、その…あのー……えっと……レンタルショップとかにある、あの………秘密への入り口を隠すカーテンでは!?!?!?


「何でこんなのれんが倉庫の中にあるの!?!?」


思わず、数歩後ずさって驚いちゃったけど、そもそもスーパーにはそんな年齢指定するような商品置いてませんから!

何なの、この悪趣味なのれん!責任者出てこーい!!!


「でもこの、のれん……裏に何も無いのに、何で置いてあるんだろう。だってのれんの後ろ壁だよね」


ちょっと怖いけど、好奇心に負けて私はのれんを軽くめくってみた。

そして、一歩踏み入れた瞬間、一気に体を冷気が包み込んだ。


「え!?何で!?」


のれんの向こうは壁だった。壁だった筈なのに……。


「冷蔵ショーケースが並んでる……」


のれんを出るなり、一列になって左右にずらりと立ち並ぶ冷蔵ショーケース。

そこに隙間無く並べられているのは、無数の缶や瓶。


「アルコールだ!」


前言撤回。スーパーにも年齢指定の商品が存在しました。

どうりで倉庫なのに幅を取っていると思ったんだ。

壁の向こう側のアルコールの冷蔵スペースと、繋がっているなんて分からないよ。

しかも、こんな紛らわしいのれんまで付けて!

ちょっとドキドキしちゃったでしょ!


「それにしても、これ本物?かな?」


手始めに近くにあった商品をひとつ手に取ってみる。

朱雀のイラストが印字された缶はビール業界では誰だって知っている朱雀ビールだ。

金色に輝くカラーリングは、ビール好きならときめく見た目なのかも。


とはいえ、当然未成年の私はビールなんて飲んだことが無いから、レジを通すのが重い物、としか認識していない。

スーパーのアルコールって24缶入りの箱で買う人が多いから、どうしても運ぶのもレジを通すのも大変なんだよ~!!

お願いだからカートに乗せたままでいいからレジに寄せて~~!!


ビールの冷蔵スペースの向かいの棚には日本酒やワインが置いてあった。

ワインはこの異世界にもあったけど、日本酒はこの世界にはきっとないよね。


とはいえ、夏と言えば冷えたビールだよね!多分!

確かアネスさんの宿屋でビールみたいなものを見たような気がするし、ビールなら

ウィルやリークさん喜んでくれるかも。

犬堂さんも、もしビールが大丈夫なら懐かしいって感じてくれるかもしれないし!


「そうと決まれば、6缶ケースで持って行っちゃお。第3のビールとかノンアルコールとか詳しくは分からないけど、朱雀ビールなら多分大丈夫だと思うし」


真上に開いた穴に指を入れてぐいっと持ち上げる。

この時、注意しないと、開いてるサイドから缶がポロっと落ちる時があるから気を付けてね!

もしも落とした拍子に穴が開いたりしたら、周囲が泡とアルコールの匂いで大変なことになるから、注意です。


よしよし、ビールを片手で持つのも慣れたものよ。

これと、日焼け止めだけ精算して、残りのバーベキュー道具とかは一度、みんなに相談しようっと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ