第五十三話 一回戦
昼一の鐘を聞き屋台へと戻ってきた私達。
「お帰り」
メリッシュさん達に出迎えられる。
舞台の方を見てみると、丁度舞台飾りを撤去中で先程までお華やかさはなくなっていた。
舞台の上から物がなくなり、いよいよ大会が開始される雰囲気になってきた。
「ただいまより、アーミス生誕祭武闘大会を開催いたします」
「お~!」
舞台に上がった男性の挨拶に反応してもの凄い歓声はあがる。
「それでは、参加者の皆様は舞台にお上がりください」
私はその声に従い舞台へと向かって行く。
「頑張ってください!」
「勝ちなさいよ!」
「応援してま~す!」
皆さんからの応援を受ける。
他の参加者も次々に舞台へと上がる。
そして私は最後から二番目に上がった。そして最後に上がってきたのはとても美しい女性であった。
すらっとした立ち姿に整った顔立ち、少し長めの黒髪。とても武闘大会に出てくるような人には見えない。
今回の参加者十六人が舞台の上に上がり終わると、
「こちらが今回の参加者になります」
パチ! パチ! パチ! パチ!
観客からもの凄い拍手が上がる。
「それでは今回のルールを説明します。武器に魔法何でも使っていただいて構いません。勝利条件は相手に参ったと言わせるか、場外に出せば勝ちになります。ただし相手を殺した場合失格になりますのでお気を付け下さい」
それから武闘大会のルール説明と参加者の紹介が行われた。
最後の参加者の紹介の際に、
「そして今回の武闘大会にはこの世界でたった一人最強の冒険者にのみ与えられるSランクの称号をもつ冒険者が参加されております。紹介しましょう、メルさんです」
私の横にいた女性が紹介と共に前に出る。
「ご紹介ありがとう! 私がSランク冒険者のメルです。私も皆様に負けないように頑張りますのでどうかお手柔らかにお願いいたします」
にこやかな顔での挨拶。
観客に一礼した後、こちらを振り向いた。その際に一瞬目が合いにこりと笑われたような気がした。
メルさんが元の場所に戻ると、一回戦の組み合わせが発表された。
「それではまず一回戦第一試合の組み合わせは、Cランク冒険者ヒロキさんと冒険者になって二週間でBランク冒険者になったゴールデンルーキーミレイさんの試合になります。一回戦を行う選手以外の方は舞台を降りてください」
私達二人を残して他の参加者は舞台から降りていく。
そして、私達二人になると、
「ただいまよりアールス生誕祭武闘大会第一回戦を開始いたします! 両者準備はいいですか?」
「ああ、いいぜ!」
「大丈夫です!」
「それでは始めて下さい」
司会者の合図と同時に私の試合が始まった。
相手は三十代くらいに見える男性。体型は筋肉質でまさに冒険者と言わんばかり、右手に剣と左手に盾を持つ典型的に前衛職。
「お嬢ちゃん話しは聞いてるぜ! だがさすがにお情けでBランク冒険者になった奴に負けないがな」
余裕そうな表情で話しかけてくる。
「情けでとは何の話しですか?」
「何のってな、嬢ちゃんみたいな子供がお情けもなしにBランクに上がれる分けないだろう。それにSランクダンジョンを攻略したらしいがただグレイ達の後ろに隠れていただろ」
完全にこちらをなめている口調に戦闘体勢も取らずにこちらに話しかけてきている。
――フレイどうしたらいい?
さすがに隙だらけで無防備な相手に攻撃を仕掛けるのさすがに卑怯かと思い何もしないでいるのだが……。
「少しお話に付き合ってあげてはいかがでしょうか? 不意を突かれてミレイ様がやられることもないですし」
――わかった!
「何無視してるんだ!」
「無視なんてとんでもないですよ。ちゃんと聞いてますよ」
本当は一切聞いていない。正直早く終らしたいんだよね。
「ならこれはどうだ!」
剣を振ってみたり、魔法を発動してみたり何かをアピールしている。
「は~」
私がため息をつくと、
「なんでそこでため息をつく! そこはもっと驚く所だろ」
そんな事を言われて困るよ。動きにはキレがないし、魔法自体も正直低レベル。話しを聞いているのもばからしく感じてくる。
「ウィンディー、憑依」
私は風の精霊を憑依させて、
「テンペスト!」
風の竜巻で相手を舞台外に吹飛ばす。ヒロキさんは舞台の外に出たため私の勝ちとなったのである。
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