第十八話 中級ダンジョン 1
中に入ってすぐグレイさんが、
「今回の試験内容の再確認だ。まず合格条件は五階層にいるボスモンスターの討伐。その後ギルドへの帰還だ。試験の間俺は監視だけで手を貸したりはしない。だがもしものときは俺が助けに入る。だが、俺が助けに入った時点で試験終了で不合格になる」
「はい、大丈夫です」
試験内容の確認が終わりダンジョンの中を進み始めた。
中の様子は初級ダンジョンと似たような感じであった。
「フレイ、ウインディー、ナッシー憑依」
グレイさんに聞こえない声で囁く。
「何か言ったかミレイ?」
この人どれだけ耳いいの? 普通の人なら聞こえないはずなんだけどな。
「何も言ってないですよ」
少し冷や汗をかきながら否定する。
「そうか、空耳か? 俺も年を取ったって事か」
グレイさんは頭をかしげていた。
「ミレイ様お気を付けて下さい」
――ごめん。まさか聞こえるなんて思わなくて。
フレイからだめ出しが入った。
「そうだぜ。さすがに今の声が聞こえたあのおっさんを褒めるべきだよ」
ライトの言う通り。でももう少し気を付けないとね。
「ミレイどうかしたか?」
気づくとグレイさんとの距離が少し開いていた。
少し精霊達の会話に集中しすぎていた。
「すみません、何でも無いです」
すぐに追いつき歩き始める。
それからしばらくして何回目かの曲がり角を曲がった所で一匹のゴブリンを発見した。見たは初級ダンジョンのゴブリンと同じに見える。
武器を持たず、こちらにもまだ気づいていない。
検索を使いゴブリンの情報を調べてみると、
ゴブリン
耐性なし
情報自体も同じのようだ。この検索の魔法はモンスターの能力値までは見ることが出来ない。
「早速戦闘だ!」
何故か笑顔のグレイさん。
「どうしてそんなに嬉しそうな顔してるんですか?」
「いや~、やっとミレイの実力を見れると思うと嬉しくなってしまってな」
楽しみされても困るよ。
などと思いながらもゴブリンとの戦闘開始になった。
「まずは小手調べ。風の刃」
威力を抑えて放つ。初級ダンジョンモンスター達はこの威力で一撃で倒せていた。
だが、魔法がゴブリンに当たるとダメージを与えられてはいるが倒すまでにはいたらなかった。
「堅いな。さすが中級」
などと言ってみる。
「中級ダンジョンと初級ダンジョンのモンスター姿は同じだが強さはこちらの方が格段に強い。Cランクに上がったばかりの冒険者は皆それに気づかずにやられてしまうんだ」
「そうなんですね。でも大丈夫ですよ」
グレイさんの話を聞いている内にゴブリンがこちらに近づいてきていた。
「風の刃」
先程と同じ魔法を放つ。ただし今度は魔法の威力を上げて近づいてきているゴブリンに向かって放った。
それを見たグレイさんは、
「ミレイ、さっきと同じやり方をしてもダメだぞ」
そんな事を言っていたが、ミレイの放った魔法がゴブリンに当たった瞬間ゴブリンの体真っ二つになった。
「だから言ったじゃないですか、大丈夫だって」
「ああ」
固まっているグレイさん。
すぐに正気に戻ると、
「ミレイ、一体何をしたんだ? 何で最初と同じ魔法で今度倒せたんだ?」
「え~と、一回目の風の刃は威力をかなり抑えて放って放っていました。初級ダンジョンのモンスター達はそれで倒せていたので小手調べに放っていたのです。二回目に放った魔法はグレイさんの話も踏まえて少し威力を上げて放っただけですよ」
「お前、本当に十歳で一昨日に冒険者になったばかりなのか」
あきれた声で聞いてくる。
なので冒険者カードをグレイさんに見せる。冒険者カードにはその人がいつ冒険者になったのかも記載してあるためこれを見せれば一目瞭然なのである。それにその人の年齢も書いてある。
「すまなかった」
もうどうにでもなれ見たいな声とともに冒険者カードが返ってくる。
「この試験本当に必要なのか?」
「ギルドマスター曰く、冒険者登録したばかりのEランク冒険者がいきなりCランクになると周りの反感や疑いを持つ者が現れる可能性があるようで、そのためにこの試験が必要らしいですよ」
「そうだったんだな」
なんだか疲れているようだ。
「大丈夫ですか? なんだかお疲れのようですが?」
「いや何でもね。ただ世界は広いんだなと思っただけだ。それよりもドロップアイテムを回収して先に進もう」
「はい!」
すぐにガーネットをアイテムポーチに入れ先へと進む。
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