姉妹ー山瀬家ー
私の姉はポンコ・・・努力家だ。
高校から帰ってきて朝の姉のお弁当の残骸を片しながら改めて思う。
毎年バレンタインデーは一週間前から自分で作ると言い前日に泣きついてくる。
まあ結衣姉ちゃんのためにここまでできるのは、愛ゆえなのかな。
「ただいま~」
姉の声が明るい。結衣姉ちゃんと少しは進展があったのだろうか。
「あー桃花!片付けなら私やったのに。」
「夕飯の準備のついでだから大丈夫だよ~」
正直、姉に片付けを任したらいつになるかわからない。
「聞いてよ~桃花~」
机でぐだーとしながら話し出す。
「結衣がね~私のお弁当美味しいって言ってくれたんだ~」
顔がとてもだらしないぐらいにやけている。よほど嬉しかったのだろう。
「まあお姉ちゃん頑張ってたもんね~」
まったく、家ではこんなだらしないのに学校では才色兼備として有名なのは今でも信じられない。
「それでね~今度結衣のためにお弁当作ることになったんだ~」
嫌な予感がする。
「そっかー頑張ってね。」
出来ればこの話題を終わらせたい。
「それでね、今度料理教え・・・」
「あー!誰か来たみたい。ちょっと出てくるね」
ナイスインターフォン。以前も料理を教えてくれと言われて教えたが姉が出来な過ぎて三日寝込んだ記憶があるのでできるだけやりたくない。
「はいはいーどなたですか~」
玄関の扉を開けるとそこに結衣姉ちゃんが立っていた。
「お、桃花久しぶり!」
数か月ぶりに会ったがイケメン度に磨きがかかってる。
「久しぶりです!お姉ちゃん呼びますか?」
「あー大丈夫、おすそ分け持ってきただけだから。」
結衣姉ちゃんから袋を受け取る。
「こ、これは、有名なスイーツ!」
よくテレビで見るようなお菓子が入っていた。
「姉ちゃんが帰って来ててさ、何も考えずたくさん買ってきて食べきれないからさ」
「四季さん帰って来てるんですか!」
四季さんは結衣姉ちゃんのお姉さんで今は大学生で一人暮らしをしている。
四季さんは昔から大人っぽくてかっこいい憧れの存在だ。
「数日いるみたいだから今度会いに来てみ~」
そういって帰って行った。
「誰だったの~?」
家に戻ると姉はソファーでダラダラしていた。
この姉は・・・
「結衣姉ちゃんだったよ、四季さんが帰ってきたらしくてお土産もらったよ。」
結衣姉ちゃんの名前に反応したが四季さんの名前を聞いて露骨に嫌な顔をした。
「私、あの人苦手ー、昔から見通されてる気がするんだよねー」
四季さんは昔から鋭いからな~
まあ見てれば姉ちゃんのポンコツ具合はわかるけど。
まあ、妹として姉の幸せを望んではいるから結衣姉ちゃんのとうまくいってほしい。
「お姉ちゃん、そろそろ晩御飯だからお菓子ばっか食べてないで~」
読んで頂きありがとうございます。
梨花は才色兼備という設定のはずだったのにどうしてこうなった。
桃花は梨花たちと同じ高校の一年生です。