30秒の ー梨花ー
春、部内での練習試合。
こちらがマッチポイントになった。
気持ちのいい風が体育館を抜けていく。
風が入ってきた方を見てみるとそこに幼なじみの結衣が立っていた。
短い髪をなびかせて今日もカッコいいな。
結衣はいわゆる女子校のイケメン枠みたいな立場で同級生はもちろん後輩からも人気がある。
「結衣が見てるんだしいいところ見せないとな。」
味方がサーブを打ち相手がスパイクで返してくる。
リベロがセッターに返す。
私は大きく飛び手元に来たボールを思いっきり叩き込んだ。
「先輩、ナイススバイクです!!」
「ありがとう!」
後輩からの声援に手を振る。
結衣は見ててくれたのかな。
ふと、結衣の方を見ると後輩と話しているようだ。
なんだろう、今もやっとした気がする。
その後コートを片してバスケ部と入れ替わるとき視界に結衣が見えた。
「結衣ー!」
自然と声をかけていた。
「あ、梨花ー!」
なんだろう、尻尾を振ってる犬みたい。
普段あんな部活では凛々しいのに可愛い。
「さっきのスパイク凄かったよ!乳揺れが!」
「結衣はそればっかだね~」
胸を見てたのは少し恥ずかしいけどでも見ててくれたのかな。
「その点、結衣は胸が揺れなそうでいいね~」
「な、なにおう!!」
結衣が頬を膨らませて可愛い。
「じゃあ部活頑張ってね!」
結衣は手を振り部活に向かった。
ふうー
中学の頃は一緒に帰れたけど今は一人で帰ることを考えると息が漏れる。
部活が終わった頃に電話でもしてみようかな。