第一章 6話 【金髪美少女との出逢い】
少し離れたところから金髪の美少女が戦っている姿がハッキリ見えた。
その他にも40~50人位の騎士の格好をした奴らの姿もあった。
近くで見る黒い巨人は、30メートルはある禍々しいオーラを放ったゴリラのようなモンスターだった。
金髪美少女達はそれぞれ・剣・槍・弓・盾・などを用いてモンスターを取り囲み、足元から崩すように攻撃を繰り返していた。
そしてモンスターは両手を振り下ろし攻撃しているだけなのだが……それだけで大きな爆発音が鳴り響き、地面が抉れ木々が薙ぎ倒されていた。
その為戦闘を繰り広げていた場所は激しい戦いが繰り広げられているのがわかる。
騎士達は声を掛け合い、相手の攻撃を上手く交わしながら戦っていた。
素人の俺から見てもよく訓練されいるのが分かったのだが……その中でもやはり金髪美少女が槍を用いて攻撃している姿が群を抜いて目立っていた。
そんな戦いが繰り広げられている中、俺はふと隣を見るとシロは金髪美少女を見ながら何か考え込んでしまっていた。
「どーしたんだシロ??」
「いや、なんでもない!そんなことよりもあの子達、確かに強いけど……このままだと負けちゃうねぇ……」
あのモンスターの攻撃も上手く避けてるし上手く足元から崩す攻撃だってしてるのだ。
俺から見たら金髪美少女達がモンスターを押しているように見えたのだ。
モンスターは足元から大量の血を流しており、辺り一面血の海みたいになっていたのだ。
「ただうまく避けてるだけ!ただ攻撃してるだけ!!で勇者の脱け殻には全くダメージを与えられていない。このまま戦いが続けば……いずれ体力もなくなって負けてしまうよ。」
確かに、攻撃で足元から大量の血が流れているものも、モンスターはダメージを受けている気配がなかった。
それどころかモンスターは段々と怒り狂ったように攻撃が激しくなっていたのだ。
「じゃあどーすればいいんだよ?このままあの子達が殺されるのを黙って見てるのか?」
「それは翔くん次第なんじゃないかな?」
「おれ次第って……やっぱりおれが聖剣に変身したシロを使って戦うってことか?!」
「そーゆーことッ!それ以外あの子達を救うことはできないだろうねッ!」
などと、サラっと述べるシロ。
このまま何もしないであの金髪美少女達を見殺しにはしたくない。いや!見殺しになんて出来ない!ただ俺は足が震えやはりいざと言うときの一歩、勇気が出せないでいた。
あんな凄い子達の攻撃が全く効いてないってのに俺なんかが戦ってどうなるのか?俺が一歩を踏み出せないでいると、段々と金髪美少女達はモンスターの攻撃に押されてきていた。
(どーする?……俺が今出てってどーなんだよ?……どーみても無理だろ?!!)
などと考えている内、凄い爆発音と共に……騎士達の連携が崩れモンスターの目の前で金髪美少女が頭から血を流し倒れていた。倒れた金髪美少女を睨み付けているモンスター……そんな状況の中で1人の騎士が声を上げた。
「おのれぇ!!ただ素手で暴れまわってるだけの勇者のなれはてめッ!!総員ッ!何としても姫を守れぇ!!」
「「「おおー!!」」」
などと声を上げ、騎士達は金髪美少女を助けるべく無謀にもモンスターに飛びかかっていったのだ。
「バカ!よせッ!やめるんだお前達!!!」
と騎士達を止めるべく慌てて叫ぶ金髪美少女。
騎士達の攻撃を他所に、金髪美少女めがけ腕を振り下ろすモンスター……。
ーー爆発音と共にーー
「グッ……大丈夫ですか……?……俺ッ!!?」
「……はぁ……翔くんは大丈夫だよ!!ボクがこの聖剣の姿になってるんだから!!それと翔くん……こんな時は自分の心配じゃなく、後ろの彼女を心配するものなじゃないかな…?」
間一髪のところで……俺は聖剣の姿になったシロを使いモンスターの振り下ろした手を止めたのだ。足は震えたままだったのだが、やはり金髪美少女を見殺しになど出来なかった俺。まさか本当に剣1本でモンスターの攻撃を防げるとは思わなかった、と言うより……俺は全くシロを信用していなかったのだが、金髪美少女が殺されてしまうと思うと身体が勝手に飛び出してしまっていたのだ。
金髪美少女は何が起こったのか分からず、無言のまま驚きの表情で目を見開きただただ俺を見上げていた。
周りにいた騎士達も同様無言のまま動けずにいたのだ。
一方シロは……
「はぁ……やぁ~っと!翔くんが勇気を出して飛び出し彼女を助けたことだし!とにかくちゃっちゃと勇者の脱け殻を倒しちゃおぅ!」
などとため息混じりで嫌味を言ってきたのだが、何故か軽い感じで倒す宣言もしているのだ。俺はただ攻撃を止められただけで驚きを隠せずにいるのだ!
そんな俺があのモンスターを倒せる気など全くしていないのだが……
「倒しちゃおぅ!ってどうやって!?」
「翔くんは勇者の脱け殻に向かってただボクを力一杯振り下ろせばいい!!」
(力一杯剣を振り下ろすだけでどーなんだよ!?)
「あぁーもう自棄だ!!やってやるよこんちくしょー!!」
俺は考えるのも面倒になり、ただシロに言われた通り力一杯モンスターめがけ剣を振り下ろした。
ビビって目をつぶってしまっていた俺は……恐る恐るゆっくりと目を開けると……
真っ二つに斬られ、倒れているモンスター。
「ねッ!ボクの言った通りッ!一緒なら勝てたろ?」
またしても両腕を腰に当て無い胸を反って自慢気に、いや!今回は勝ち誇ったように言うシロだったのだが……今の俺には突っ込む余裕が無かった。何故なら勝てたとかそーゆー問題?次元?ではなかったからだ。あのモンスターが真っ二つ……なのはまだしも数百メートル先に迄地面に亀裂が入っていたのだ。
ただ俺は力一杯剣を振り下ろしただけでだ!地面の亀裂は相当深く迄入っており人間の力でこうなったとは到底考えられない様なことになっていたのだ。
「「「はぁぁぁ?!!!」」」
目を見開き固まっていた騎士達が一斉に驚きの声を上げると……
「あ、あなた達は一体……」
驚きと混乱した様子で声を掛けてくる金髪美少女の姿があった。