序章 1話 【大切な人の死】
初めての小説ですので、誤字脱字等あるかと思います。
少しでも楽しんで頂ける様、努力していきます。
最後まで描ききる事を目標に頑張りますので宜しくお願いします。
桜も散り始め、徐々に暖かくなってきた季節。
(ポクポクポク)と木魚を叩く音と、御経を読む住職の声が響き渡っていた。
その場に居る皆が悲しみ、重い空気の中……俺のじぃちゃんの葬儀が執り行われていた。
突然のことだった。近くのコンビニ迄買い物に出た帰り道、信号無視をした車に跳ねられ帰らぬ人になってしまった。
『じぃちゃん……』
俺は金城翔16歳。近くの高校に通いながら、飲食店でバイトをしている高校2年生だ。
身長178の普通体型で、整った顔立ち。
同年代の女子から割とモテるのだが、彼女はおらず……(いや!いないのではなく、作らないのだ!)なんて自分を美化して強がっている、ただのヘタレなのだ。幼い頃から、大事なところでヘタレっぷりが発揮される。
あれは小学4年生のホワイトデーの日のことーーバレンタインのお返しを持って学校に行ったまではいいが……いざ渡そうとすると、一歩が出ない。
友達には、(俺アイツに興味無いからお返しなんて用意してねーよ。)なんて強がったり……家に帰ると、渡せなかったと泣き出す俺を優しく慰めてくれたじぃちゃん。
幼い頃からじぃちゃん子だった俺……じぃちゃんは、優しくてどんな時でも俺の味方でいてくれた。時には厳しいこともあったが、そんなところも大好きだった。
そんな俺は今、この場に居る誰よりも悲しみ、落ちていた……椅子に腰掛けながら俯いていた俺に、声を掛けてきた人がいた。
「翔……大丈夫……?」
声を掛けてきたのは、幼馴染みのカレンだった。
彼女の名前は仲條カレン。
元々家も隣同士と言うこともあり、幼い頃から何をやるにも一緒。親が言うには1日違いで産まれ、ベッドも隣だったのだとか。幼いカレンは、笑うとえくぼができる元気な明るい子だっだ。
ーーあれから時はたち、16歳になった彼女は今……黒髪を肩まで伸ばし、整った顔立ちで誰が見ても美人!
えくぼのできる笑顔が印象的で、素敵な大人の女性に成りつつある。
そんな彼女も今は……悲しみで瞼に涙を貯めながらも、俺に声を掛けてくれたのだ。
「大丈夫……とは言えないな……」
カレンの心配を他所に俺は答えた。この日……カレンとの会話は、これだけだった。
葬儀も終わりーー夜も更け、皆が寝静まった頃……俺は1人、部屋で泣き疲れ……いつの間にか眠りについていた。
夢を見ていた。じぃちゃんとの思い出の夢だった。
昔じぃちゃんがよく読んでくれた、俺の好きな絵本の話。
2匹の龍と8人の勇者、そして7人魔王と1人の魔女の物語だ。
朝目が覚めると、何故この夢を見たのか?じぃちゃんが、よく読んでくれたからなのだろうか?等と考えつつ、その日は過ぎていった。
ーー数日後ーー
葬儀等で学校を休んでいた俺も、今日から登校することとなった。
朝玄関を出ると……カレンが家の前で俺を待っていてくれた。
「翔……おはよ!」
「おはよカレン」
「今日から登校できるんだね!もう大丈夫……なのかな?」
掛ける声に詰まりながらもカレンは心配した様子で俺を見ている。
「いつまでも落ち込んでたら、じぃちゃんに怒られちまうからな!」
俺は少し強がって返事をした。
ずっと心配してくれていたのであろう。カレンは俺の返事を聞くと……少しは安心したのか、優しい笑顔を見せた。
「良かった!翔が多少は?元気になってくれたみたいで。」
「多少は?って、お前なぁ!」
カレンも相当悲しかった筈なのに……そんな素振りも見せず、俺の心配をしてくれていた。カレンは昔から……俺に何か辛いことや悲しいことがある度俺を心配してくれて、楽しい時はいつも隣で一緒に笑ってくれている。
俺にとって本当に大切な人だ。
そんなカレンが、何か思い付いたかのように声を掛けてきた。
「そうだ!明日学校休みだし、2人でどっか遊びに行こうよ?」
たぶん俺を元気付けようとしてくれているのだろう。
「明日はバイトもないし……予定もないから、たまには付き合ってやるよ!」
心配してくれているカレンの気持ちが嬉しかった。
少しテレながらも、ただそれがバレないように俺は上から返事をした。
俺の返事を聞くと、カレンは嬉しそうに満面の笑みで俺を見つめている。
正直、めちゃくちゃ可愛い!
えくぼがまた、たまらない……なんて考えていると……
「じゃあ……遊園地なんてどう?!」
「お、おう!じゃあ遊園地で!」
なんて答えてしまった。
カレンの笑顔が可愛い過ぎて、ついつい遊園地でオッケーしてしまったのだ。
実は俺、絶叫系とか無理なのだ……理由?そんなのは簡単!恐い物は恐いのだ!
そんなところでも、ヘタレを発揮する俺なのだ。
……翌日……
俺はカレンとの約束通り、遊園地に遊びに来ていた。
4月の日差しが暖かい、絶好のデート日和だった。
カレンは遊園地と言うこともあり、動きやすそうなスニーカーにハイウエストデニム。
少し胸元の空いたシャツに、ジャケットを羽織って……何でだろう?やっぱり可愛いんです。
俺はデニムにジャケット、スニーカーってなんか被ってる……まぁペアルック?ぽくていいのかもしれない。
朝から色々な乗り物に乗り、お昼を食べて。
そして遂に……その時が来てしまった。
「翔!次はあれに乗ろう!」
とカレンが指を指したその先には……ジェットコースターだった。
ジェットコースター迄の道のりは足が重く、カレンが喋りかけているのだか上の空な俺は階段を一歩一歩登りーー遂に順番が来てしまった。決死の覚悟でジェットコースターの席に着いた瞬間……
「翔ってジェットコースターとか絶叫系?ダメだったよね!」
何食わぬ顔で話しかけてきたカレンに、俺が絶叫系ダメなのがバレていたのだ。
カレンの前で俺は普段、常に強がってみせていたはずなのだが……まぁバレているのならば仕方ない。
「ダメなの分かってて乗せるなよ!」
と答えたのだが、時既に遅しーー発車ベルが鳴り、ゆっくりと動き出したのだ!
(ガタガタ)と音が聞こえ、徐々に登っていくジェットコースター。
俺がカレンを見ると、本当に楽しそうな笑顔で両手を上げていた。
もうすぐ登り終え、一気に落ちる。
落ちる時の胃の浮く感じが俺は苦手、いや!ハッキリ言って恐いし嫌だ。
落ちる瞬間、俺は目を閉じて歯をくいしばった……が、落ちる気配がしない?
風は感じるのだが落ちるじゃなく飛んでいる?そんな感覚だった。
俺は恐る恐る……ゆっくりと目を開け……叫んだ。
『はあぁぁぁ!!!?』
更新は不定期なると思いますが宜しくお願いします。