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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
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黒い天使短編「そうだ射撃場にいこう」6

黒い天使短編「そうだ射撃場にいこう」6



射撃大会も盛り上がってきました。

今回はユージ愛用、DE編。

44マグナムだけど撃ちやすい? だけど扱いにくい??

そんなDEの魅力に迫ってみますw



***




「んじゃあ次! 飛鳥もDEデビューだな」


 サクラはセシルからDEを受け取ると、ノーマル44マグナム弾を詰め始める。


「ついでにノーマルな44マグナムもデビューだ!」

「さっきみたいな手の中が爆発したような反動は嫌なんやけど」

「大丈夫、ちゃんとノーマル弾よ。でもライトロードより全然パワフルだけどね」

「よし! やったろう!」


 サクラが差し出すDEを受け取る飛鳥。


 だが、受け取った瞬間……飛鳥は明らかに動揺した。無言でDEを片手で構えてみたが、ふらふら~と右手は銃の重みに負け下がっていく。



「重いっ!! なんや! このチャカ重いやんっ!!」


 ついに構えていられず銃を降ろす飛鳥。そんな飛鳥を当たり前の顔で迎えるサクラとセシル。


「当たり前だ。DE44は弾装填したら2キロ近いのよ? 普通の拳銃の約二倍。飛鳥の腕力で片手で撃てる訳ないでしょ? 両手でちゃんと構えて撃て」

「両手で構える、ちゃんとしっかり持ってください。しっかり重心も落ち着かせないと痛い目にあいますよ」

「もっと分かりやすいアドバイスはないんかい!」

 といわれて顔を見合わせるサクラとセシル。二人ともそんなこと気にした事がない。サクラは所詮<遊び>だし構え方や持ち方はユージたちのを見て真似ているだけでコツがあるわけではない。セシルは逆で幼少の頃から射撃は叩き込まれ射撃のポーズなど無意識で形になる。アドバイスと言われてもいい言葉が分からない。



「マグナム撃つんだね、飛鳥ちゃん。なら、もっとしっかり持たないとケガしちゃうよ?」

「お、エダ」とサクラ。


 そう、そこに現れたのはエダだった。

 とはいえエダはつい先程まですぐ近くで集中的に撃っていた。イヤープロテクターもしているから会話の全部を聞いていたわけではないが、様子は見ていたのだろう。


「DEはちゃんとした姿勢をとれば、女の子だって撃てるんだよ? いい?」

 エダはそういうとテーブルの上に置いてある黒のDE50AEを手に取った。44マグナムの1.5倍というオートマチック最強口径50AEのDEだ。重さもこっちのほうが重い。しかしエダは馴れたもので、軽々とそれを手に取ると飛鳥の横に並んだ。


「足は肩幅くらいに開いて背筋はまっすぐ。気持ち両足に力を入れてね。銃をもつ右手は真っ直ぐ突き出してから左手を添えて支えるの。腕の力は入れすぎないで少しだけ肩の力を抜く。それができたら掌の力を少し入れてぐっと銃を握るの。それで銃がブレなくなったら引き金に指をかけて、そして撃つ!」

「な……なるほど」


 なんかこのポーズだけでも筋トレのようだが……しかしこれまでと違い銃の重さは大分気にならなくなった。


「あんまり力みすぎちゃ駄目だよ? 無理に力で抑えようとしたら逆に体を痛めちゃうから、肩や左手はカバーするくらい。でも銃はしっかり握ってね」

「よっしゃ! 撃つで!!」


 飛鳥は、ついにDEの引き金を引いた。

 ドゴォンッ!! と大きな銃声がして、大きなマグナムの薬莢がすっ飛んでいく。

 数秒ほど何か思うところがあった飛鳥。そして続いて一発一発噛み締めるように撃ち、上手く8発全部撃ち切った。


 なんと! 距離は10mだが全弾命中である。


「おーっ!」


 サクラとセシルは軽く拍手する。これまでで一番いい結果だ。飛鳥もやれば出来る子だった。


「なんでやー!!」


 突如飛鳥は声を上げる。


「これまでで一番銃は重いし一番の大口径やのに、なんか撃てるゾ!? 反動も思ったより軽い気がする!!」

「それがDEのメリットよ。銃が他のより倍は重たいから、44マグナムの反動もリボルバーよりマイルドになる。銃が重いからしっかり狙う事も出来るし、重たいからしっかり強く握る。ストレートブローバックでバレルは固定式だから実は命中精度はいい。結果、意外に当てやすかったりするワケさ」


 強烈な44マグナムを使うわりに使い勝手がいい。これもDEが愛される所以だ。


「うんうん。DE44でコツをマスターしたら、50AEにバージョンアップしても撃てるものだよ? ホラ♪」


 今度は飛鳥の横でエダがDE50を盛大にぶっ放した。その銃声の大きさと反動の大きさはDE44よれはるかに大きかったが、エダはちゃんと20m先のターゲットをきれいに撃ち抜いていく。見事なものだ。


 飛鳥とエダの身長はほとんど同じ、筋力だって大差はない。二人共運動神経は平均よりずっと上だ。そのエダが撃てるのだから飛鳥だって撃てるワケだ。……余談ながら飛鳥のほうが顔は大きく体重もちょっと重く、手と足は短く、胸も負けている……。だがこれは単に飛鳥は日本人らしい体型かつエダのプロモーションがずば抜けていいだけで特別飛鳥がダメなわけではないことをフォローしておく。あんまりフォローになってないかもしんないけど……。


「エダさんアリガト~! なんかこれでウチも一枚剥けたかもしれん!! でも、セシルみたいに乱射はできへんな。やっぱなんだかんだ重いワイ。反動もキツいし」

「そうだね♪ 普通は2秒に1発くらいで撃てればいいと思うよ? 元々実戦で使う銃じゃないもの」と笑顔でフォローするエダ。


 だがその場の全員が、その言葉の空虚さを覚えずにはいられない。いや、というよりある男の異常性を痛感するしかない。ユージはこのDE44のハードロードを片手だろうが左手だろうが構えなんかへったくれもない姿勢だろうが乱射して百発百中なのだ。もうあそこまでになると筋力量とか馴れとかいう次元を超えた異次元の存在で、一般人の参考には全くならない。


 そう、今も50mほど離れたところで、ユージは煙草を咥え片手で22口径でも扱うかのようにDEを乱射し、50m先のターゲットを薙ぎ倒している。



「あー……あんまりユージは射撃のセンセイには向かないかも……」

 と苦笑いするエダ。

 エダですら初手だけはユージから学んだが、本格的な射撃術は別の人に教えてもらった。サクラも射撃はエダから教えてもらった。天才を真似ても天才には近づけないものである。


「わからないことがあったら何でも聞いてね? コツさえ掴めば射撃は面白いんだから」

「面白いのはわかっとるでエダさん! しかしどうしてかウチは上手くならへんねん。これでは実戦では戦えぬ! くぬぅーっ!!」

「心配すんな。実戦レベルなんて誰もアンタに要求してないから。むしろ実戦の時は銃をもたせんから」


 ぴしゃり! と言い放つサクラ。


 実際のところ、サクラだって銃撃戦に限定すれば実戦レベルにはほど遠い。実戦レベルとなればエダでギリギリというレベルで、それくらい扱えないと戦力とは呼べない。サクラが有事のとき銃を持つのはサクラの勝手で、銃の腕を買われる事はほとんどない。ただし特殊能力を含めた総合戦闘力なら非常に高いものがある。



黒い天使短編「そうだ射撃場にいこう」6でした。


今回はほぼほぼDEの回です。

ユーシセのおかげで皆知っているDE。

その欠点と利点編です。


まぁ……普通は重すぎて振り回すのに適してませんけど、ただ撃つだけなら意外になんとかなっちゃう銃です。ただし二倍重くて弾はマグナムなので取り扱い注意です。尚、実際のところDEを狩猟用に使う人はあまりいません。狩猟用のバックアップならリボルバーのほうが確実だしこっちのほうが軽いからです。そして使い慣れないとジャムを起こすのも特徴の一つなので命の危険がある時使うにはリスキーです。


ということで、この銃はあくまで好きな人用か変態さん用ですw

ユージはもう変態の領域かも。


実は「AL」のほうではエダがユージから射撃トレーニングを受けているシーンがあります。大体同じレクチャーをしていますが……「AL」では習っていたエダが「黒い天使」では教える側というのはなんとも感慨深いです。

まぁ飛鳥もサクラも実戦で使うのではなく、遊びで撃っているだけなのでレクチャーもこのくらいです。本当に使いこなすにはもっと訓練が必要です。


次回も射撃話です。

なんでサクラの愛用がリボルバーなのか!

その秘密が明かされます。


ということでまだまだ続きます。


これからも「黒い天使短編・日常編」を宜しくお願いします。


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