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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
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黒い天使短編「遭難大冒険」1

黒い天使短編「遭難大冒険」1



飛行機が南の島に墜落した。

生存は絶望的……と思われたが、なんと全員生存!

だが大事故には変わりはない。


しかしここに、能天気にサバイバルを満喫する三人の姿があった!!




「遭難大冒険」1

==================


***



 ここは南の島のどこかだ。


 人々は、我が身に降りかかった災難に悲嘆し、絶望し、これからの困難な前途を思うと言葉も気力も出ない。


 東京発グァム行き146名の国際飛行機は、太平洋上で突然爆発、墜落した。


 そして、生存者146人は、見知らぬ無人島で意識を取り戻した。


 奇跡的……本当に奇跡的にかすり傷程度で、大きな怪我はなく、そして分裂した機体が無人島に着陸し、多少の食べ物と飲み物、そして毛布などあった。


 だが無線は壊れ、携帯電話は使えず、半日経過したが救助の気配もない。

 絶望するには十分な状況だ。


 ただし……例外がいた。


 この状況下で、活き活きと活動する非常に能天気で楽天的な三人が存在した。





「どりゃあーーーっ!!」


 飛鳥の怒声が砂浜に木霊する。


 飛鳥は折りたたみ式の手斧で、バッサバッサと竹を切り、そして大きな木を支点にして立て掛け、その隙間に椰子の葉っぱを差し込んで埋めていく。こうしてちょっとした小屋が出来上がっていく。


 ここは南の島だ。動くと暑い。だから喉が渇く。

 しかし問題ない。たっぷり集めたヤシの実がある。喉が渇けば、それを割って新鮮なヤシの実ジュースを満喫する。


「いやー! 旨い♪ これで冷えてたら本当に最高なんやけどな~」


 さすがにそれは贅沢というものだ。


 そんなこんなで飛鳥が小屋を作っていると、へたくそな鼻歌交じりに奴が戻ってきた。


「いや~! さすが南国の無人島だJO! 魚釣りもビッグだJO~」


 JOLJUである。

 右手に愛用の万能釣竿。そして左手には50センチはありそうなカラフルな魚が二尾ぶら下がっていた。


「ミーバイだと思うJO! 刺身にしても塩焼きにしても美味しいJO」

「調味料ないやん」

「お醤油と塩はいつでもオイラ持ってるJO!」

「えらい!! じゃあ刺身も食いたい!」

「じゃあ早速調理開始だJO~」


 そういうとJOLJUはヤシの葉の上で、四次元ポケットから出刃包丁を取り出すと、豪快にウロコを取り、内臓を取る。そして器用に三枚に卸すと、切り身を海の水で洗った。そして、その切り身は石をいくつか用意して重しにし、しばらく浸して置いておく。


「お刺身は晩御飯用だJO。冷蔵庫ないからこのまましばらく海の水で冷やすJO。あと、塩味もつくし!」


 もう一尾は塩焼きだ。JOLJUは三等分し、それぞれ竹の棒を豪快に突き刺した。


 後は焚き火で炙るだけだ。


 だが火はない。しかし問題ない。JOLJUはいつでもアウトドアができるようにライターを持っている。


「オイラ、ちょっと薪を取ってくるから、飛鳥は火を熾してだJO」

「まかせろー!」


 JOLJUはトテトテっと森の中に消えていった。


 飛鳥もキャンプは手馴れたものだ。しかもキャンプ場でなく野宿の。これまで世界中いろんな場所に冒険に行って野宿した。



「竹は~細かく刻むと着火剤!」


 鼻歌を歌いながら手斧で竹を削る。竹を丸ごと燃やすと破裂したり中々燃えなかったりするが、竹を薄く鰹節のように削ればよく燃える。竹には油分が含まれているのだ。他に枯れたヤシの葉なんかもよく燃える。これが日本なら松の葉や松ぼっくりなんかいい素材だ。こういう素材で火を熾し、小枝に移して火を大きくして薪に移す。薪が燃えれば、後は随時薪を投入して炎を絶やさないようにするだけだ。


 ライターがあるから着火は簡単だ。後はとにかく燃えそうな小枝を折って入れて火を維持する。そこにJOLJUが持ってきた乾いた薪を置いて焚火の完成だ。サバイバルでは火を熾すのが面倒だから火は消さないようにするのが得策。ということで折を見て大きな木材を投入して炎を維持する。


 大体炎が安定してきたら、その外側にさっきの魚の切り身を置き、遠赤外線でじっくりと炙る。この時直火に当てずじっくり焼くのがおいしい焼き魚のコツだ。


 ということでJOLJUが火の世話をしている。飛鳥はまだ未完成の小屋に取り掛かる。


 こうして30分後……小屋が出来上がり、荷物用ネットでハンモックまで拵え終えた時、上空にサクラが現れた。



「いや~意外にこの島大きいねぇ。2キロくらい行ったジャングルの奥に泉があったから水の問題は解決よ。後、晩御飯も調達したゾ」


 サクラは右手に80cmほどのノブタがぶら下がり、左手は水がたっぷり入った水筒が握られている。尚、JOLJU特製パワー手袋を二人とも嵌めているから筋力マシマシだ。


むろん銃も持っている。四次元ポケットに愛用のFBIスペシャルがあり、357マグナムであれば中型獣まで難なく狩れる。ちなみに手斧もサクラの四次元ポケットから出したものだ。あの四次元ポケットなら金属探知機に引っかからない。


「お前、いつも思うけど、狩り得意やな~」

「ハンティング大国の米国人を舐めるな」


 そういうと、サクラは砂浜にノブタを投げた。ドシン! と大きな音で転がる。重さは30キロほどありそうだ。しかしパワー手袋を持っているから重さはなんてことない。


 サクラは四次元ポケットからハンティング・ナイフを取り出すと、上着を脱ぎ、ノブタを海まで持っていって解体を始める。その手際も手馴れたもので、あっという間に皮を剥ぎ、内臓を海に捨てる。


「魚、あるの?」

「あるJO。大きいの二尾」

「なら三人ならブタは片足でいっか。片足でも8キロくらいあるし。飛鳥~、機長さんかスチュワーデスさんにブタ食うか聞いてみて。いるならあげる。いらんのなら肉は燻製にするから」

「了解や。肉あげる代わりに米とかスナック菓子とか飲み物と交換してこよう」


 飛鳥はノリノリで聞きに行った。


「この状況下で、あいつは逞しいな」


 サクラもそこは感心する。サクラは人見知りだからそういう交渉は苦手だ。


 サクサクっと解体して、後ろの腿肉を切り取ると、海水に漬けた。これで血抜きになるし塩味も付く。普通の人間に豚の解体なんてできないから、部位の解体はしてあげることにした。第一刃物がないだろう。刃物を持っているサクラたちが特殊なのだ。


 サクラは30分ほどで肉を解体し、足一本残して生存者たちに引き渡した。もちろん、受け取った生存者たちは何が起きているのか分からずキョトンとしていたが。


 その頃にはJOLJUが焚火の上に竹を立てていた。


 サクラは腿肉の半分を削ぎ取り、残りの肉を竹からぶら下げた。肉は煙と遠赤外線で炙られ夜には美味しい豚の燻製肉が出来上がるだろう。そして削ぎ取った肉は、JOLJUが竹串に刺して炙り始める。こっちはすぐに火が通るからすぐに食べられる。海水をたっぷりかけてから炙るから味もしっかり付いている。


 こうして機長から物々交換と生存者の権利としてコーラを6本手に入れた飛鳥がやってきて、早速三人は小屋に入り炙った魚と肉を食べ、サクラの集めたヤシの実やパパイヤやトゥナの木の実を食べながらコーラを満喫した。


 中々楽しいバーベキューだ。

 それを、生存者たちは唖然とした様子で見ていた。



「どうしてあの子たちはあんなに楽しそうなの?」

「飛行機事故で遭難しているんだよね? 私たち」

「なんかあの子たち、普通にキャンプしてない?」


 最近の子供は超楽天家なのだろうか?




 しかし彼らは知らない。




 そもそもあの三人は、この飛行機が墜落することを知って飛行機に乗ったのだから。




黒い天使短編「遭難大冒険」1でした。



今回はサクラ、飛鳥、JOLJUの三人の遭難サバイバル話です。

サバイバルといってますが、ほぼバカンスか?w

逞しい三人のドタバタ生活!


今回は短編です。

分かりやすい短編なので読みやすいと思います。

しかしサクラと飛鳥とJOLJU……この三人が集まればどんな事件もへっちゃらですねw

何で飛行機墜落事故に遭ったかは次回明らかに! 

多分、全三話くらいです。


しかし……段々サクラがコメディー化していくw


これからも「黒い天使短編日常編」をよろしくお願いします。

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