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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使 中編 災厄者」シリーズ
37/206

「黒い天使・災厄者 vol 20」

「黒い天使・災厄者 vol 20」



事件の打ち合わせを終え準備を整えるユージ。

そこに興味津々、ついてくるサクラ。


そこに連絡が入り、ユージは捜査に出かける。



※今回はちょっと短めです。

<12時間後くらいに何かリアクションがあるかもしれない>



 その読みは甘かった。計画的な事件は起きなくても偶発的事故は起きる。


 NYPDの制服警官二人がマンハッタン港のコンテナ・エリアで<狂犬>と遭遇、戦闘の末重傷を負うという事件が発生したのは午後9時半頃だった。


 その一報はすぐにNYの法執行機関全てに伝えられた。むろんFBIのユージやコールの耳にも入った。



「そりゃあ、<狂犬>だって見つかれば反撃する。ま、銃も効かないしパンチ受ければ骨が折れる。うむ、<狂犬>というより<ターミネーター>だなー」



 サクラは楽しそうに頷く。ユージは呆れた顔で一瞥した。拓は、現場のほうに行っている。ユージは連絡待ちと怪我の手当、再武装のため支局を離れられない。


「しかし困った問題だよねぇ~。相手が<ターミネーター>だからって、警官は逃げるわけにいかないし、仕事だから対応しないといけない。だがそこにあるのは圧倒的な戦闘力の差!!」


 そういうとサクラは目の前のユージを見た。


 ユージはスーツ姿ではなく、両手両足に目立たない薄手の特殊プロテクターを付け、靴は鉄が仕込まれた戦闘用ブーツ。ショルダー・ホルスターにはDE・50AE、ヒップホルスターにいつも使っているDE・44マグナム。ベルトの左後ろ側に強化弾を装填したHK USPコンパクトがある。DEを二丁拳銃でぶら下げて歩く法執行官はユージくらいのものだろう。これを隠すため、スーツではなく防弾使用のレザーコートに変えた。


「そしてユージは<バットマン>と化す。もちろん蝙蝠じゃなくて<悪人>のほうの~」


 軽口でチャカすサクラ。


「市警察が全員<バットマン>なら勝算はある。そもそもあの化物捕まえても拘束する手錠がない。普通の手錠じゃアイツの太い腕には嵌らん」


「さすがリトル・ハルクだな♪」


「だから逮捕するんじゃない。不本意だが、殺す。手加減できる相手じゃないからな」


「それがユージのフル装備に繋がる……フムフム、あの超バトルの第二回戦が見られると思うとワクワクするな♪」

「アホか」

 ユージはNYPDからの簡易報告書に目を通している。



 『<狂犬>は高い知能を持っている』

……それがアレックスの分析だったが、その点はやはり間違いないようだ。敵は殺すべき相手と敵にする相手をきっちり理解している。


 普通、裏世界の闇に浸った人間は警官など歯牙にもかけず容赦などしない。事実<狂犬>も最初ユージと対決した時ユージが法執行官だと知り激しく怒り躊躇する事なく襲ってきた。


 だが、今は状況が変わった。<狂犬>はユージやNYPD等を利用し<マリア>を見つける作戦を取った。利用すると決めた以上、『殺さず恐怖を強め、圧力を与える』方針を取った。警官たちを殺さなかったのがそれだ。警官に見つかっても殺さない。殺してしまえば警察の捜査は<マリア>探しではなく<狂犬>狩りに重点を置くだろう。奴はもっとも効果的な方法を選んでいる。


「で? ユージはこれからどうすんの?」

「連絡待ちだ」

 ユージは今、コールから報告書が来るのを待っていた。本部のマック=ドリトンが作成したリストを、コールが今チェックしている。大物政治家や財界の人間はコールが手を出す。それ以外はユージが担当する。ユージには他にジョンソンから聞き出した情報もある。それらを照らし合わせて、一番可能性がありそうな容疑者を狙い撃ちする。NYPDは人海戦術を行っているが、<狂犬>から名指しされているユージはそうはいかない。


 サクラが持ってきたエダの作った弁当を食べているとき、コールからデーターが送られてきた。それにざっと目を通したユージは、半分ほど残っていた弁当を一気に掻きこみ、ソーダで胃の中まで綺麗に流し込んだ。


「お! 行くのかユージ! 出陣かっ!」


「……来るなと言っても来るんだろう、お前。来るんなら邪魔するな。あと、お前も防弾ベストを着ろ。相手はすぐに撃つ奴だ」

「わかった~」

「途中で拓を拾ってから行く。お前は俺のラックトップを持ってこい」


 ユージはレザーコートを羽織り、2丁のDEのチェックをし終えると、様々な武装や捜査道具の入った大きなバックを背負った。サクラは緊迫感のない楽しそうな表情でユージのラックトップを掴み、後に続いた。






「黒い天使・災厄者 vol 20」でした。



こうしてサクラも事件に首を突っ込んできます。


今回はちょっと短かった。これなら前回の話につけてもよかったですね。

(JOLちゃんのノベルはみんな書き溜めたのを公開しているタイプなので)


このあたりが丁度「災厄者」シリーズの真ん中くらいですかね……

丁度起承転結の「承」くらいのところかしらん。

こうやって刻むと結構ボリュームあるシリーズですね。章の数だと「死神島」を抜いちゃいました。ただ「死神島」はぶっこめるだけぶっこんじゃったので章としての公開は少ないけど圧倒的に長いですw


これからはサクラも首をつっこんでくるので出てきます。サクラらしい、サクラにしかできない捜査もあったりします。


ということで「黒い天使」をこれからも宜しくお願いします。

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