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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
198/206

黒い天使短編「異世界ヒロインズ!」9

黒い天使「異世界ヒロインズ!」9



女神様のありがたい御言葉……なんか真面目に聞く連中ではなかった。

もう好き勝手の遠足気分。

こうしてコケにされる女神様。

サクラたちスーパー地球人相手は分が悪すぎる?

<こうして消え去るプライド>

***



「我が世界<ワリシェトエ>、神秘と魔法と幻想の世界。平和で善良な人間社会と邪神アレラを奉じ魔界に住む魔族が<ワリシェトエ>への侵略を始めて200年。邪神アレラから巨大な力を得た魔王ミルベレは我が結界を破り進軍、<ワリシェトエ>の世界を蹂躙…………ええっと……あの……」



 威厳たっぷり、神々しそうな雰囲気で語る女神スゥララ……だったが……。



「皆、異世界からNYに無事帰るまでが今回の<修学旅行>だJO~。皆、ハメは外しすぎちゃ駄目だJO~。いくつか注意点もあるのでよく聞くんだJO」


「JOLJUせんせーい! オヤツは持っていってええのんかぁー?」


 ノリノリの飛鳥が挙手する!


「ほどほどならオッケーだJO」

「バナナはオヤツに入るンかぁー?」

「入らないJO。でもバナナは持ち込み禁止だJO~。これからいく旅行先の世界にはまだ流通してない果実だから駄目だJO~」


「バナナ持ってきてしもうたでー先生ぇ~。腹持ちええし甘いものは疲れが取れるし、完璧やん!」

「ボクもデス! 朝ごはんにバナナを食べるのが大好きなのです!」


 マリーも堂々とリュックからバナナを一房取り出した。飛鳥もしっかり一房持ち込んでいる。


「ようは現地人に見つからなきゃいいんでしょ? あたしらだけの時コッソリ食べればいいんだし、そんなこといったらオヤツ大半駄目じゃん。なら最初に言えってぇーの」



 まったく悪びれることなく、堂々とポテトチップスの袋を開け食べながら答えるサクラ。飛鳥、セシル、マリーの三人がもっともだ、と同時に頷く。


 多分ポテチもダメだと思う。



「いつまでここにいたらいいの? 私、待つのは嫌いなのだけど?」


 ロザミアも面倒くさそうにスマホ(の形をしている宇宙科学用万能携帯端末)で読書しながら突っ込む。ここにいる人間はエダ以外不真面目な生徒ばかりだ。



「じゃあ今からいくつか重要なアイテムを皆に配るJO。地球から見ても未開拓の大体17世紀くらいの文化圏だから――」



 その時だ。



「無視するな!! 少しは我の話を聞けぇーっ!!」


 ついに女神スゥララさんが堪忍袋ぶち切れで怒鳴る。ちなみにJOLJUと飛鳥たちが馬鹿漫才をしている間もずっと女神様は演説していました。エダは聞いていたが他の連中は全く聞いていなかった。



「我は!! 偉大な主神に次ぐ世界を導く守護神女神スゥララであるぞ! 神を前に少しは態度を改めよ!! まずちゃんと話を聞け!!」



「聞けったって……別にいいよ、後でウチのカバモンに聞くし」とサクラ。


「世界観や社会については拓さんがデータでまとめてくれたので、そのレポートを見ますから、省いていいです」とセシル。



 そう、世界観や文化や社会については、出発前に拓が聞き取り、レポートにまとめて各自のスマホにデータで送られている。補足はJOLJUがしたらいい。



 皆スマホを持ってきているが、いいんだろうか?



「だJO。なんでほっといてくれたらいいJO」

「かえってええで、女神サン。さぁーーらばー」

「というか私たちはいつまでここにいなきゃいけないんです? JOLJU。あ、女神さんには聞いていませんから」


 サクラに続き飛鳥、セシルも全く女神を相手にしていない。これもJOLJUの弊害だろう。



「ンじゃ行こかだJO。みんなー逸れないでね」



「勝手に行くな!! 我が神聖国家の転移魔法の発動は始まっておらんのに、突然異世界から人間と犬モドキが現れたら我の世界がメチャクチャになるであろうが!!」




 ふむ? どういうことだ?



「あー成程、そういうことかー」



 さすがにJOLJUは分かったらしい。



「この世界の人間が異世界転移を実行できてるのって、ようはその神聖国家の魔法によって召喚って形式なんだJO。ただねー……これ、このあたりこいつらズルしてるというかセコいんだけどね。人間が使う魔法の力で別次元の本流からふさわしい人間を選んで連れてくるなんて芸当、力不足で無理なんだJO。でもそこの女神サンか別の神は抜け道として、人間たちに中途半端に時空嵐を起こさせて……まぁこれは神が起こしたンじゃなくて、人間が暴走してやった事故ってことにして……それを口実に神様が世界に干渉して、責任を取る形で人間たちの魔力も使って都合のいい人間を地球から拉致する……って寸法で……」


「ええっと……簡単にいうと……<異世界から勇者を召喚する>っていう行為を神様の独断で行うことは禁止だけど、その世界の人間の力で行うことは神のルールに反していない。だけどその術式は未完成だから、時空事故が起きる。神様はそれを直すという口実で術に手を貸して完全なものとして発動させる……かな?」


「エダすごいJO! つまりそういう中途半端な連中なんだJO」



 エダは全然そうは見えないが、こう見えても結構ゲームをするし、アニメや漫画も読む。

 さらにどっかのカバモンのお陰で神の世界にも実はいろいろ面倒なルールや禁止事項があることも知っている。



「やっていることがゲ・エイルの<デドスック・チージ>を神が手助けするようなものじゃない。<ベッタテッド法>にも違反しているし、銀河連合の評議委員会が知ったら世界凍結モノなんだけど?」


 この中で唯一SF宇宙世界の住人であるロザミア。彼女は銀河規模のルールと神の世界を知っている。


「未発達文明で未登録のテラ星系の、本流ではない無数にある平行異世界の一つのヘッポコ神がやらかしてることだしねぇ……銀河連合が動くはずないJO。そもそも認識すらされてないレベルだもん」


「雑魚の中の雑魚扱いだな!」


「銀河連合? ……宇宙にも神はおるのか?」



 女神スゥララ、初めて人間らしい表情を浮かべる。



「あ、宇宙って言葉は知ってるんだ」とサクラ。


「知っておるわ! ここが太陽系で、地球があって月があって太陽を中心に地球は回っていて! でもその外は広大な宇宙が広がっていて、光速移動でも数百年かかる、とても異星人が地球にたどり着けるはずがない……のではないか?」



「…………」



 その通り。


 だが、JOLJUは「はて?」と首を傾げた。



「<ワリシェトエ>は宇宙世界と連結してないし、よほど別の誰かが手を貸さない限り宇宙にいける世界観じゃないんだけど?」



 いくら神様とはいえ、行ったことのない宇宙世界については知りようがない。



「<BJ>が手助したんじゃないの?」

「してないと思う」

「いや待った。そこの自称女神、今おかしなこと言ったよね? 当たり前に地動説口にしたけど、近世に光速と異星人の概念ないよね?」



 聡明が売りのサクラ。キャラは馬鹿やっていても頭脳まで馬鹿ではない。



 同時に宇宙世界を知る、同じくらい知力の高いロザミアも、気づいた。



「神が地動説? おかしいわね? 地球の地動説自体厳密には間違っているんだけど? 世界を作ったくらいの神ならそのことくらい知らないのはヘンね?」




「え? そうなのか?」



「だJO。地動説自体は間違っていないけど、認識は途中経過だJO。だって太陽を中心って自体間違ってて、そもそも銀河も回ってるし銀河群も回ってる。宇宙の拡張に合わせて宇宙全体が回っているっていうのが正しくて……地球の科学ではまだその証明もできないから議論にすらなってないけど、世界を創れるくらいの神はそのくらいは知っていそうなもんだけど……異星人までは知らないはずだJO」


「ええっと……それは知識で……」


「後ね。この異世界は地動説関係ないの。この世界は天動説のほうなの。だって月と母星しかコピーしてない世界だもん。他の宇宙部分までは作れてないんだJO。見えてる星とかは地球世界のコピーを投射してるだけなんだJO」


「あー、太陽系作るのも大変だしな。広いしね、宇宙。全部作らなくても異世界はできるのか」


「地球をコピーするだけならね。それがLV5の限界。太陽系全部作れるようになるとLV4だけど、そこまでは無理みたいだったみたいだからその程度の神だJO。そんなの宇宙にいけばわんさかいるJO」


「お前の基準ならそーだろな」



 困惑する女神様。この地球人たちはどうしてこんなに宇宙に詳しいのかわからないのだ。



「私とJOLJUは異星人なんだけど、分かっていなかった? 地球にこんなヘンテコ生命体や蒼髪の人間なんている? 蒼の染色体は地球にはないんだけど?」



「いません……ね」



「…………」



 なんか気まずい空気になった。



 女神も知った。



 ここにいる連中は地球人以上の宇宙知識と文明を知っている。女神が知っているのは地球基準の科学文明までだ。しかしそれもよく考えればおかしい話だ。そもそも異世界と地球は関係がないはずだ。



 まぁ、サクラ、ロザミア、そして半分エダは21世紀の地球人というより、もっと高度な科学知識と世界観を知る、ある意味もっと先の<未来人>みたいなものだ。





黒い天使短編「異世界ヒロインズ!」9でした!



女神様、威厳なし!w


相手が悪すぎますね。サクラだけでなく宇宙世界人のロザミィもいます。この二人、知識はあるしIQは高いし神は恐れないしで性質悪いです。まぁJOLJUと親しすぎるとこうなってしまいますが。二人が神に対して恐れないのはJOLJUのせいですし。


異世界を作った、といっても母星とその周辺だけを作っています。それ以上はLV4の神でないとできません。太陽系くらいまで作れるのがLV4ですが、この規模になるとこの銀河を管理している銀河連合に知られて、当然銀河連合加盟国だったロザミィやJOLJUも知ることになるわけで、そこまですごい神様は宇宙でもほいほいいないわけです。こういうといかにJOLJUの存在が貴重で偉大か分かりますね。


銀河連合は地球含めた天の川銀河を含む周辺銀河群の管理をしている国連のような組織です。「スタートレック」の惑星連合みたいなものです。「黒い天使」では名前しかでてきません。詳しく知りたい人は「AL」を読んでください。後半に出てきます。ちなみにそこの一番偉い管理者はLV3の神たちですが今のJOLJU(0.0001%)の足元すら及びません。


次回、ついにブチ切れる女神様!


しかし切れる相手が悪すぎる……というオチに。


この物語はこれからです。


これからも「黒い天使」日常編を宜しくお願いします。

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