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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
196/206

黒い天使短編「異世界ヒロインズ!」7

「異世界ヒロインズ!」7


残されたユージと拓。パーティーの後片付けをしろ大人二人!

そしてヒロインズはついに女神の間へ!

女神様登場!

が……サクラたちが素直なはずがない!

***



 突拍子もない異世界の神の使いが来て二時間後……。

 我が家の女子たちは、異世界にいってしまった。


 ユージと拓は取り残され、二人は複雑な顔で酒を飲んでいる。



「ま、心配だろうが、JOLJUがいてサクラとロザミアがいるんだ。あの面子なら間違いなく地球最強の女子パーティーだよ。大丈夫さ」


 拓が冷酒を舐めながら相棒を励ます。

 ユージはずっと不機嫌そうに酒を飲んでいる。



「そんなことは分かっている。JOLJUはエダとロザミアには過保護だし、サクラたちの面倒もちゃんとする。そのあたりは何だかんだいって気を付けるやつだ。誓約書もあるしな」



 宇宙でも札付きの自分勝手な超生命体なのがJOLJUだが、<神>としては実は優等生だし、誰よりも仲間想いであることは、元相棒だったユージが一番よく知っている。


 過去サクラとエダとロザミアに対しては禁止中(自己ルールだが)にも関わらず<神>の力を使っている。今回は<神>としていくから、その点は安全が保障されている。


 実はユージの憂鬱はそこではなかった。



「エダはともかく……他の連中が問題なんだ。暴走し始めるとどこまでやらかすやら。サクラとロザミアと飛鳥が異世界の秩序やルールなんか考慮するか? 気に食わなければ世界ごと平然と破壊する奴らだぞ?」

「元々地球を乗っ取りに来た侵略者だもんな。どっちが魔王やら」


 セシルとマリーは普段は常識的だが、サクラと飛鳥と、ついでにJOLJUが暴走すれば同調してしまう子供っぽさがある。社会人で普段はしっかりしているのだが、サクラたちといるときだけははっちゃけてしまう。本来の年齢相当の無邪気さが出てしまうのだろうが同調する相手が悪い。サクラと飛鳥が暴走すればユージですら手に負えない。



「エダがどこまで皆を止めるかだが。……エダもな。あいつ、理性は強いけど正義感も強いからな。火が付いたら俺でも止められない」

「お前の相棒として結構無茶してきたしな、エダちゃんも」


 エダは純粋すぎる。

 理性も強く常識家だが、それは現代地球のルールの事。ある意味ルールが違う世界で<守るべき正義>を見出したエダの行動力は、根が純粋な分、その熱量と爆発力はすごい。伊達に12歳でユージと共に世界を救ってはいない。

 ユージが過保護で守っているから目立たないが、それはユージが完全にぶっとんでいるからだけで、エダの能力は戦闘でも戦争でも凡人より遥かに上で知識も経験も普通の人間とは比べ物にならない。しかも今回は能力の封印なしだ。実はエダの本来の能力は戦闘面ではないがかなりずば抜けていて、サクラですら完全封印はされていないのにエダの場合はJOLJUが半分以上封印しているくらいだ。


 ユージですら、エダが完全覚醒して本気を出したときは一度しか見たことがないが、ユージの制止でも耳を貸さないくらい突き進む。本気のエダはユージですら持て余すのだ。



 エダだけならまだいい。



 エダは暴走しても、話は通じるし、自分を見失うことはない。



 ただしエダが暴走するようなことが起きているということは、当然サクラとロザミアも……この二人は正義感ではなく好奇心で暴走する。そしてそうなると飛鳥もセシルもマリーもJOLJUも暴走する。前科もある。エダは暴走しても理性は残っているが、サクラとロザミアは、理性はあってもが常識がない。



 一番心配なのはJOLJUだ。



 今回は<ただのJOLJU>ではなく<限定解除・神のJOLJU>だ。



 <ただのJOLJU>ですら、<AL事件>の時はちょくちょく反則して暴走した。



 JOLJUは<普通の人間の友達>くらいだと常識が働きセーブするが、<家族や特別な友達>になると理性より感情で行動するから、何をやらかすか分かったものではない。



 困ったことに、今回は全員<家族と特別な友人>だ。


 あいつも暴走した前科が、知る限り三度もある。


 もともとJOLJUが制御しているのは法でももっと偉大ですごい神が封じているのではなく、JOLJUの自主的な理性だ。そしてJOLJUは常に理性ではなく気分と感情で生きているから始末が悪い。



「俺の心配はそこだ。馬鹿しないといいが、本気になれば世界をグチャグチャにするくらいやるからな。あいつら」

「お前がいうと説得力あるわ。笑えない」

「ついでにもう一つ頭が痛いことが」


 ユージはグラスの中のブランデーを飲み干し嘆息した。



「このリビング……誰が片付けるんだ?」

「…………」


 拓もリビングを見た。


 鉄板焼きパーティーとオヤツパーティーが、何一つ片付けられておらず放置されたまま……見事に、盛大に散らかっている。



 誰かが片付けなければいけない。


 いうまでもない。取り残されたユージと拓しかいない。


 放置して寝るという手もあるが、社会人としてそれは失格だ。子供ではない。



「仕方がない。片付けるか?」

「苦手なんだが。こういう家事は」

「疲れて帰ってきたエダちゃんが見たら怒るぞ、コレ」



 ……いい大人が片付けもできないのか……エダは頭を抱えるだけだろうが、サクラたちは容赦なく突っ込む。



 ユージや拓には、これこそ現実問題だ。


 二人は大きなため息をついた。しかしこればかりはやらないわけにはいかない。他ならぬ自宅だ。


 異世界の平和より、二人にとってはこっちのほうが大問題だった。


 片付けはいつもエダを中心とした女子陣(ロザミア以外)とJOLJU。


 家庭ではほぼ役に立たない、いい歳をした男二人の憂鬱はこれからだ。




<女神様登場!>

***


 


 どこまでも白い世界。太陽や照明の類はないが、周りは優しい光に包まれ明るい。


 サクラ他クロベ・ファミリー女子陣(以後<ヒロインズ>)と異世界の神の使途ペストォカが現代地球のNYから時空転移でやってきたのがここだ。



「異世界というよりあの世やないかい?」


 飛鳥がキョロキョロと見渡す。てっきり近世ヨーロッパ風の世界に来るかと思っていたが、ここはどう見ても違う。



「ここは女神スゥララ様が住まわれている天界です! いわば神の世界なのです!」


 誇らしげに説明する神の使途ペストォカ。


「あー、よくある、異世界に行く前に神様がうんちく垂れる空間ね」


 ここにきても一片も感動しないサクラ……いや、全員。


 しかし……。



「んー……適切な地球の言葉がないけど、<神の領域空間>というか<固有自己空間>で異次元や天界っていうほどすごいもんじゃなくて……まぁ神のプライベートエリアだJO。広さだって200平方メートルくらいしかないし。ま、この程度の領域しか作れないなんてショボイJO。LV4レベルはあるかと思ったけどLV5なのかも」


「神殿みたいなモンか。それならもっと感動するような見栄えにすりゃいいのに」


「ありがたみないですねぇ」



 早速異世界の守護神である女神をボロクソに言う一同。それを聞いて悔しそうに顔を顰める神の使途ペストォカ。一応一国一城の?神なのに。本当に連れてくる相手が悪すぎる。せめて少しでいいから敬意や感動してくれないものだろうか? 神しか入れない神聖な場所なのに。



 さらに……。



「こんなトコにいても仕方ないからさっさと移動するJO」


 と、完全に女神を無視する発言をするJOLJU。コケにしまくりだ。

 その時である。



『異世界からきた乙女たちよ。我こそ女神スゥララ。お前たちは我に選ばれた特別な存在、その使命は世界の救済。我の加護は神の加護、これは神聖なる神託』


「なんや? なんか声だけ聞こえてきたど?」

「神とやらが来たのか?」


 サクラと飛鳥はキョロキョロ。やはり声だけで姿は見えないが、声は天空全体から響いてきた。


「凄い力を感じる。これが神なんだね」

「なのデス! 存在感がスゴいのデス」


 第六感が覚醒し、その封印も解除されたエダとマリーは何か感じ取っているらしい。



 が……。



 他の人間は全く興味なさげに突っ立っている。



「偉大な守護神である女神スゥララ様御自らの御言葉を賜るなんて、なんという恐れ多いこと! 皆さん、拝跪してください」



 地面に傅くペストォカ。恭しく土下座をする。


 真面目なエダとセシルとマリーはとりあえず膝をついた。



 が。



 これっぽっちも敬わないサクラ、ロザミア、飛鳥。そして当然JOLJUも。



「とりあえずさー。魔王とやらをぶっ飛ばせばいいんでしょ? 御託はいいからさっさと行こう」

「ウチ無神論者やから別に神とか言われても困るねん。別に悪いことはしてへんのに何が悲しぅて土下座せなあかんねん」

「なんでこんな辺境の、場末の低次元の神に敬意がいるの? ウチの馬鹿だって第三者に<自分を敬え>なんて言わないのに何様かしら? 我がフィルニストの王家は神を従えている文明なんだけど」



 ほとんど小馬鹿にする三人。



『お前たちは我が召喚によってこの場におる。お前たちの運命は我が一存。我が世界のため尽力を。我が世界を救うのが勇者としての使命なのだ』


「それは違うJO。アンタのショボイ召喚で来たんじゃなくて、皆オイラがここにわざわざ連れてきたんだJO? 来たのもこっちの事情と単なる暇つぶしだJO」



『…………』



「そもそも人に頼む態度じゃないよね。まず顔見せて頭下げろ、頭! で、ちゃんと頼め!」


「姿くらいみせろー! それが礼儀やど!」


 と、むしろ怒るサクラと飛鳥。



「そういえば、物事の順序としてはそれもそうですね」


 畏まっていたセシルまで立ち上がる。こうなると畏まっているエダとマリーは滑稽になるので、二人も立ち上がった。


「あの……JOLJUがいるので、大体の事情は聞いていますから。でも挨拶なら姿を見せていただけるとあたしたちも色々知れるし、親睦も深められていいと思うんですけど?」


 エダが苦笑しながら言う。エダはけして軽んじているわけではない。問題は別だ。



 そう……サクラやロザミアが問題ではない。一番問題な奴は……。



「確かに皆のいう通りだJO。ヘンなプライドは捨てて、ここは仲良く親密に色々相談! 楽しくやろうだJO」



 JOLJUが穏やかに言う。



 しかし女神様の頭はJOLJUほど柔らかくなかった。




「異世界ヒロインズ!」7でした。



ちょくちょく罪のない?「AL」ネタバレもありますが。

ここのヒロインたちは全員暴走するとヤバい!

実は安牌にみえるけど一度暴走すると止まらないのがエダ! 何せ一度は地球を救っている英雄です。

他は性格に難があり……そんでもって一番アテにならない、一番性質悪いのがJOLJU。今回こいつ神としてきているのでそこそこ何でもありです。


ということで今度の被害者?は女神様です。

とりあえず偉そうですが、JOLJUからすればノミ以下w

それが女神様では分からないから……ドタバタ必至です。


ということで一応異世界には来た一同。

被害者はしばらく女神様。


これからも「黒い天使短編日常編」を宜しくお願いします。

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