表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
193/206

黒い天使短編「異世界ヒロインズ!」4

「異世界ヒロインズ!」4


異世界にいけるのは純潔の乙女のみ!

よくある設定だがなんでだ?

ついでにどうしてダメ人間ばかり異世界にいくのか、その謎がついに明かされた!

<資格問題!>

***



 ひょんなことになった。


 どうやら、エダとサクラとロザミアとマリーは異世界とやらに行く流れになった。


 世界を救うのはついでで、主な理由は覚醒種としての能力制御で、異世界の都合ではなくこちらの事情だが。


 こうなると当然の流れで……好奇心だけは誰よりも強い飛鳥と、「エダさんとマリーが行くなら護衛します」とセシルも行く……という事になった。


 むろんJOLJUも行く!

 異世界の神がいるが、安全を考えればこいつが引率者としてついていくことが一番安心だ。性格を考えれば全然安心できないが。


 これは異世界の神の意志ではなく、ニートなJOLJUが責任をとっただけと、サクラたちの成長にいいかも、というこちら側の自己都合だ。




 しかし問題は山積だ。



「いーよ、あたしは。暇だし面白そうだし気に食わなかったから帰ればいいし」


 賛成したのは同じくらい無責任で遊び人のサクラだけで、他の人間は渋い顔をしている。


 選ばれたエダたちだけでなく、当然ユージと拓も賛成などするわけがない。


 飛鳥とロザミアはともかく、他は全員ユージが保護者もしくは後見人で、皆未成年だから最終的に判断するのはユージだ。



「あの……あたし大学があるし、ユージもほっておけないけど」とエダ。

「私、三日後米国大統領と会食予定なんだけど?」とロザミア。

「ボクもそんなに教会は空けられないのデス。お仕事ありますデス」とマリー。



「そんなぁ~」



 異世界の女神スゥララの使徒ペストォカが困った表情を浮かべ涙目になる。折角風向きが変わったのに……。



「あー普通考えたらそーなるわな。成程、だから異世界に飛ばされるのってヒキコモリの駄目なオッサンとかニートとかになるわけや。消えても現世に未練ない! そんでもって消えても困らん人間!」


 うむうむと納得する飛鳥。


 世の中アニメや漫画のようにはいかない。普通の人間には普通の現代社会での生活も家族もいる。普通の人間が突然消えれば周りは大騒ぎするし、警察だって動く。ニュースにもなるかもしれない。


 じゃあそういうダメ人間を連れて行けば? とはならないのが現実だ。

 そんな人間は行ったところで実際は役に立たないし、JOLJUが「勝手にチートにするなんて認めんJO」と言っているので間違いなく邪魔する。ここにいる人間ならいい、というのは異世界側の要求を飲んだわけではなくこちら側の都合だ。



 ただ、JOLJU自身は「連れていく」方向に考えを決めたようだ。

 しかし皆そんなに暇ではない。



 そこは今回に限りJOLJUがいる。



「じゃあこうしよう。連れていくのは一ヶ月! それで解決しなかったらそん時は知らん! 帰るJO! で、皆はタイムワープさせるから、丁度明日の朝に戻ってくるように調整するJO」


「そういう神の能力は使わない主義でしょ、アンタ」


「今回は<神>としてついていくJO。相手に<神>がいるし皆に何かあったら嫌だし、なんか好き勝手してるのも感心しないし。引率者として……LV3くらいの神様能力開放するからモーマンタイ~」


「それだとお前の能力の何%?」


「0.000001%くらいかしらん?」



 地球人類基準の<ただのニートJOLJU>から暫定LV3(銀河レベルの神様)まで引き上げてもこいつの全能力の1%の壁は超えることがない。一体こいつの本来の能力はどれくらいのものか。



「<AL事件>の時は一時的に最大瞬間で3%まで開放したけど、思えばあんなに開放したのは神様認定試験以来だったJO。うーん、本気の力ってあの試験の時だけかしら?」



 もはや人生?神生?で本気になることがない、超生命体JOLJU。



「つまりね、ぶっちゃけこれが皆を連れていく理由なんだJO。特殊能力あるとどうしても制限かかって、本当の本気の力がどれくらいか分からないJO。一回限界を知っておくと、力のセーブも自分の覚醒レベルもしっかり把握できるわけだし」



 しかし、こんなJOLJUにも頭の上がらない人間がいる。



「それで俺が許すと思うか? エダは勿論セシルやマリーに戦争させる気か?」

「とユージが言っているので、この話はなかったことで。サラバだJO、ペストォカ」


 これで諦める程度なのである。


「うわぁぁぁーーーん! 何ですかこの雑な扱い! というかそこの人間はそんなに偉いンですかぁぁあー!?」


「だって……親友だし、オイラはユージの居候だし……養ってくれてるし、働きたくないし」


 責任のない野良異世界より飼い主……もとい、自分の今のニート生活が大切、それがJOLJUだ。



「アナタ、宇宙で一番偉い神様デスヨネ?」

「全宇宙で一番すごいニートだJO」


「てかさー? 魔王とか魔王軍とか魔物とかいるんなら、あたしらじゃなくてユージ連れて行ってJOLJUがサポートするだけで終わるじゃん? 現在の地球で一番強いよ、多分」



 もっともな事をいうサクラ。



「ユージなら英雄だろうが勇者だろうが勝利確定だJO。神世界とかの知識もあるし」


「いや、いかんぞ俺は。阿呆らしい」


「ダメです! 異世界召喚で選ばれるのは<穢れなき純潔の乙女>と決まっているのです!」とペストォカ。



「何でや?」と飛鳥。



 よくある設定ではあるが、どうして乙女限定なんだ?



「我が女神スゥララ様は純潔な処女神! 女神様の使途は<乙女>と決まっているのです」


「男に免疫のないヘタレ陰キャのひねくれ女か? そんなのが女神でいいのか?」


 信者が聞けば怒りそうな暴言を吐くサクラ。


 ということでユージは当然だが、拓も駄目だ。



 しかし……そうすると問題が。



「あの……あたしは? さすがに……ええっと……ええっと……もうバージンじゃないケド?」


 エダが赤面しながら呟く。エダは大学生で恋人がいるんだからそりゃあそうだ。


「エダは行かない、でいいな」とユージ。


 JOLJUは腕組みして考える。

 別に異世界の平和はどうでもいい。

 しかしこの面子を纏められるリーダー力があるのはエダだけで、サクラやロザミアや飛鳥は暴走しそうだし、それを止められるのはエダしかいない。そして覚醒能力の強化というJOLJUたちの事情でいえば、エダとサクラは一番成長が見込めるので連れていくなら連れていきたい。



 そこは超生命体のJOLJUである。



「なら……こうするJO」


 というと、JOLJUはポンとエダを軽く叩いた。


 その瞬間、エダが一瞬光に包まれ……そして元に戻った。



 そう、戻った!



「エダの時間を17歳に戻したJO~」

「えええっ!!??」

「これでクリアー?」


 もともと童顔のエダだ。2歳若返ったが見た目はほとんど変わらない。髪型も昔からストレートのロングヘアーだ。



「く……クリアーしたけど……え? あたし、17歳になったの? ええ?? いいの? そういうことして」


「どうせエダの年齢って……いろいろあったから正確な年齢ってあってないようなものだし……いいんじゃない?」



 こういう点、JOLJUはいい加減だし特に気にしない。こいつは男の子だが人間の性にも年齢にも興味はない。


 エダの身長がよく見るとすこーしだけ背は縮んだ気もするが……。



 が……。



 ドン引きする全員。色んな意味で……そして蒼白になる男が一人……ユージだ。



「あー……一応ユージはロリコンじゃなかったのかー……ちゃんと18歳になるまで我慢してたんだ、偉い偉い」と白々と言うサクラ。


 一応米国の性行為同意年齢は概ね17歳。21歳以上(この場合ユージだが)が17歳以下の者と性行為を行えれば第三級強姦罪になり、性犯罪者になる。当然公職であるFBI捜査官にはなれないし医師免許も剥奪される。この二人が恋人確定したのはエダがもっと幼い時からだが、そこはユージはちゃんと理性で我慢していたことになる。



 だが……これでエダは17歳になってしまった!


 戸籍上は19歳だが、肉体的には17歳の処女!



 法的には合法だが、よく考えればJK女子高生……そしてユージはアラサーだ。



 ……ユージはこれからどうするのか……。



 皆……拓やサクラですら……怖いというか哀れというか、よく分からない気持ちに。沈黙してしまったユージの顔がとてもではないが見れない。これがJK大好きな変態なら歓喜したのかもしれないが、そこはノーマルだし……しかし恋人同士で実際は肉体関係がすでにあるわけで……。



「同い年になりましたネ、エダさん」

「女の子は若いことはいいコトなのデス。うん……多分」

「通報はしないから……二人で解決してくれ」



 セシル、マリー、拓ですらユージとエダから目を背けて淡々と呟く。



「これでクリアーですね! 良かったです! いいではないですか! 清らかな乙女に戻れるとは、これぞ神だけがなしうる力!」



 空気が読めない、恋愛という言葉すら知らない幼女のペストォカは喜々とする。うん、こいつが幼女

でよかった。もし男だったら今頃ユージにボコられていただろう……。



「てかさ? 処女だから清らかで純潔って根拠は何? 科学的根拠は何もなくない? その女神、知性が低いんじゃないの?」とサクラ。


「そやな。ぶっちゃけ……そんなん関係なくエダさんが一番清純で純粋やと思うし……てか、性格的や他の面考えたらサクラなんか極悪小悪魔サイコパスやど?」


「お前に言われたくないぞオオボケえせ関西人」


「私は人を殺していますし、ロザミアさんは侵略者ですから、どうなんでしょう?」


「そうね。異星人を殺した数でいえば私なんか凄い数だけど? 間接的に地球人も随分殺しているし」



 ロザミアなんか、多分魔王とやらより多くの人間を殺している。

 しかし後悔もしていないし罪の意識もない。侵略はロザミアにとって正義だった。ならば魔王と変わらないのでは?



 男性経験がなければ元殺し屋や元侵略者は<穢れがない>と言えるのか? 飛鳥だって人は殺していないし男性経験はないが、法律違反や悪党に対して酷いことは結構やらかしているし、サクラにいたっては自称<黒い天使>と名乗るがやっていることは宗教的には悪魔に近い。いいのだろうか? 


 この条件を唯一クリアーしているのはシスターで14歳のマリーだけな気がする。



「いいのです! これで問題ありません!」



 そう答えるペストォカを、全員が白々と見た。なんかザルだな設定。



 これはこれで本来は大検討が必要な哲学的なテーマな気がするが……異世界の神は、そこまでの知力はないようだ。



 こんな神が支配する世界だ。文明レベルはやはり中世か近世くらいなのだろう。

  




「異世界ヒロインズ!」4



異世界系の作品全否定している今回の話です。

そりゃ優秀な人間が消えれば騒ぎますしね。そんでもって世界の理不尽に怒りそうですし。

ここにいるヒロインズは皆ぶっとんでますが。


JOLJUが引率者です。

まぁドラえもんの上位種がついていくようなものなので全く危険はなくなりました。そもそもいいのか、こんな奴が出ていって。まぁJOLJUがついていかないとユージは絶対許してくれないので仕方がないです。


エダだけ17歳化!!


ほとんど変わっていませんけど。処女にはなりました。

「AL」を読んでくれている方、エダの貞操は18歳まで無事です(。ユージは耐え忍んだんですねぇ……12歳の時からほとんど夫婦でしたけど我慢したんですねぇ……。


しかしサクラが突っ込む通り、男性経験がなければ純潔というのはどうなのか?

飛鳥だってヤンちゃやってるし、飛鳥とマリー以外は人殺しだし。


ということで行くことにはなりました!


次回は準備編です。


チート能力なんかいらない! こいつらにはそんなものなくてもチートだ!


ということで次回も続きます。


これからも「黒い天使日常編」を宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 普通なら実生活もあるしいなくなって数日音沙汰なしなら誘拐とか犯罪とかいろいろ騒ぎになりますし 大変ですよね ユージがいけば難なく解決できそうだし なんならせん滅すらこなせてくれるでしょうね…
2024/08/19 09:17 クレマチス
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ