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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
183/206

黒い天使短編 「猫になったサクラ」後編

「猫になったサクラ」後編



サクラがニャンコになった!?

皆出て行って絶望的!

もはやサクラに為す術なし??



まさかの大展開! 

***



 誰もサクラ(人間)には気づかない。


 飛鳥は仔猫さくらを連れて、客間にいってしまった。遊んでいるようだ。


 JOLJUは目を覚ましたが、サクラの顔を見るなり「べぇー!」とあかんべぇーして、どこかに行ってしまった。


 JOLJUを叱る事が出来るユージも、ドタバタしている間に出社した。



 どうにもならない。



「このまま……サクラちゃんは消えるのか……にゃんこと同化して……くそ、あの夢は正夢だったのかぁ……」



 そのくらいの覚醒能力はある。


 あの夢が未来視だとしたら……段々<人間>のサクラの自我は薄まり、完全に猫になってしまう。JOLJUは馬鹿だが、力を使う時中途半端な事は起きない。今のサクラの自我が残っているのはサクラの存在能力だ。人間の能力ではないが、禁じられたサクラの能力の中に、<本体移動>の能力がある。


 サクラが本気になって本能をフル回転させた時だけできる能力で、今の肉体が持たなくなった時、新しい本体を作って自分の魂を移動させる能力だ。恐らくその能力が発動して、今、魂が別離しているのだろう。



 だがそれも長くは持たない。



 サクラもこの能力は自分の意志で使ったことがなく、緊急避難で生命の危機に陥った時にだけ発動する。過去一度だけ発動させたが、その時自我が保てたのは僅か2時間だ。



 限界は分からないが、数時間も続かない……と思う。



 そしてJOLJUを怒らせて、あの馬鹿はどこかに行ってしまったので、いつ帰ってくるか分からない。今回ばかりは超科学力を持っているロザミアでも対応できない。正に完全に神の領域だ。




 絶望した……。



「このまま猫として暮らすのか……もしくはカバモンに土下座するか……」



 どっちも嫌だ。なんだこの究極の選択は? ……いや、土下座しろよ(笑



「まぁ……猫の生活も面白いかもしれん……今だって半野良猫みたいなもんだしなぁ……」



 しみじみと自分の短い人間の人生を恋しがる。

 JOLJUは単純だから、数日もすればJOLJUの機嫌は直るかもしれない。その頃、もう人間の自我はなくなっているかもしれないし、第一言葉が通じないかも……。あ、そんなことないか、確かJOLJUは動物とも会話ができたから。全然ハッピーにはなれないけど。



「あたしが何か悪いことでもしたか? (している) ……ああ、神様。このあたしを救いたまえ~。カバモン以外の神様ぁああ~」



 しかし残酷かな。JOLJU以外に<神>の知り合いはいない。



 もう何もやる気をなくし、ソファーに寝ころぶサクラ。



 すると……なんか小さな生き物がいつのまにかやってくると、サクラの顔を舐めた。



「みぃーみぃー」

「なんだ、猫になったあたしか。いや、自分で自分を慰めても仕方がなくない?」


 そこにいたのは仔猫さくらだった。


 確かに可愛い猫、さすがはサクラの化身だ……とサクラは思ったが、全然ハッピーにはならない。



「飛鳥はアホだからまだいい。ユージはなんだ!? 娘が猫にされて平然としているなんて、おかしいんじゃないの!? 止めろよ!! どういう神経してンだあの男は!」



 なんちゅう親だ!



 世界で唯一(厳密には三人いるが)JOLJUに対して説教できる立場をもつのに、この暴挙を許すなんて常識あるのか!? ユージの理性は大丈夫か!?


 しかしその怒りも虚しい。もうじき怒る事もできず、ただの愛玩動物になってしまう。




 絶望だ。



 と……その時だった。



 玄関のドアが開いた。



「さくらにゃん、いる? さくらにゃーん」

「みぃ!」


 仔猫さくらがサクラの上から飛び降り、玄関に駆けて行った。


 そこにいたのはエダだった。


 やってきた仔猫さくらを笑顔で抱き上げるエダ。


 それを見てサクラは嘆息した。




 ……エダまであたしのことより猫サクラちゃん派か……。



 泣こうかしら? いや、鳴くか? 今だと「みぃーみぃー」と声が出そうな気がする。



 しかし……エダは違った。



「あ、サクラも起きたの? ちゃんとご飯食べた?」

「え!? エダにはあたしが見えるの!?」

「うん。かなり視づらくなっているけど視えるよ?」



 救世主、キター!!


 そうだ、エダがいた!


 エダは第六感覚醒している。エダは霊体でも視ようと思えば見える!


 これは唯一の希望の光!


 思わずサクラは駆け出し、エダにしがみついた。




「えだぁぁぁぁー!! なんとかしてぇーーー!!」

「ど、どうしたの? サクラ」

「カバモンとユージのアホが苛めるぅっ!!」

「え? そうなの」

「早く元に戻してぇぇー!!」

「サクラ、自分で戻れないの?」

「戻れないぃぃぃ!!」



「元に戻すの<非認識化>だよ? 今最強レベルになっているよ?」



「んん??」



 その瞬間……サクラは全て理解した。





***




 エダ特製のパスタを食べるサクラと飛鳥とJOLJU。そして足元で昼のごはんを食べている仔猫のさくら。



「なんや、起きとったんなら言えや、サクラよ」

「…………」


 仏頂面でパスタを食べるしかないサクラ。


 なんてことはない。全て勘違いだった。


 そもそも勘違いと偶然が見事に重なった……ただのサクラの一人ボケだった。



 まず、不眠と疲労が失敗の元。



 昨日疲れ切って帰宅したサクラは、半分寝ぼけながら「起こさないでよ! ぐっすり寝かせて~!」と、フラフラと寝室に向かったが、この時そういえば日本人の客がいて猫用のキャリーケースがあった。



 エダの大学の日本人の友達が一時帰国するというので、そこで飼われていた<仔猫さくら>を預かったのだ。日本人ならば愛猫に<さくら>と名付けるのはよくあることだ。しかしサクラはいち早く寝たかったから、そんな事情は知らなかった。


 そしてサクラは邪魔されず爆睡したいがため、自室からJOLJUを追い出した上に<非認識化>を最強にしてから寝た。どうやら力の加減を間違えて、それをオフにするのをすっかり忘れていた。



 能力を持たないユージと飛鳥がサクラに気づくはずがない。



 エダが気づいたのは、第六感覚醒しているからだ。



 そしてJOLJUの「にへらぁ~」とした、満面の悪戯顔+哀れみを称えた間抜けな笑顔の意味は

「<非認識化>最強だとただれも気づかないJO」という意味で、「自分でなんとかしたら?」は「さっさと<非認識化>解けば?」という意味だった。それを寝ぼけた+パニくったサクラが勘違いしただけだ。




 つまり!



 全部サクラの一人ボケだった!



 むろんこの間抜けな事実は誰も知らない。プライドの高いサクラが、こんなみっともない話、家族にだって言うはずがない。未来永劫笑いものになる。



 ……もっとも……一人だけ全て知っている奴がいる。



「サクラ~……オイラ、オヤツにアイスクリームのっけたデカいパンケーキが食べたい気分だJO~」


「…………」



 今度こそ本当に悪意たっぷりの「にへらぁ~笑み」を浮かべるJOLJU。そう、この元神様は全部知っている。


 パンケーキを作る技術はサクラにはない。


 丁度家から3ブロックのところに、パンケーキ専門店ができたばかりだ。


 つまり「奢れ」ということだ。



 今回ばかりはこの屈辱と出費に耐えるしかない。



「お、ええな! パンケーキ! 本場の味やな!」

「サクラが奢ってくれるJO~」

「まぢか! ありがとサクラ!」

「……いいよ。奢る」



 何も知らない飛鳥は大喜びする。



 サクラは思った。



 ……いっそ、猫にしてくれ……と。



 しかし、そんな非現実的な事が起きようはずがなかった。



 <仔猫さくら>は5日後、元の飼い主のもとに返された。




 <仔猫さくら>がどんな人生?を送るかは、また別の物語である。




「猫になったサクラ」後編 でした。



サクラのアホ話でした。


いくらJOLJUが何でもできても、そんな漫画みたいな悪戯をするはずがないです。

このように……サクラも最近はちょっとボケるようになりました。ちょっと?w

珍しくJOLJUが勝った?話です。


というか、ただサクラが自爆しただけの話です。


こういう短編もたまにあるのが「黒い天使」です。


次はどうしようかしら?


多分短い短編です。


これからも「黒い天使短編・日常編」をよろしくお願いします。


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