表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
182/206

黒い天使短編 「猫になったサクラ」前編

黒い天使短編 「猫になったサクラ」前編


それは突然起きた!

サクラ、仔猫になる!

犯人はJOLJUか!?

悪戯か!? こんなことしていいのか!?

サクラの命運は!?

***



「ん?」



 ああー……まだ眠い。たっぷり寝たけどまだ眠い。



 まぁいいや、起きよう。よつこらせっと……。



 なんだ? この白い、小さな手は……まるで猫の手じゃないか。



 ……ん……?


 やけにベッドが広い気がする。

 あたし、こんなに背が低かったっけ?



 ん??



 なんであたしは四つん這いで歩くんだ?



 立とう。



 ……なんかフラフラする……?


 部屋、こんなに広かったっけ?



 よっと……あー、まだ疲れてるなぁ~、フラフラするし、なんか体は重たいし。


 ネットでもするか……てか! なんか机がデカいんだけど?



 よっと……んー……なんであたしは猫の手袋を? てか外せんし!


 もう~!


 ノートPC起動…………。




 ………………。



 猫??


 なんか猫がいるんだが??


 PCモニターに映り込んでいる、この猫は何だ? 


 壁紙? いや、まだ起動させてないゾ?




 んん??



 あたしが右手を動かすと……にゃんこは左手を動かして……?



 んん? んんん??



 この猫……あたしと同じ動き……?

 顔を触ってみた。

 にゃんこも顔を触った。



「…………」



 ……ええっと……。



 落ち着こう。



 にゃんこがどうしてここにいて、あたしがここにいないことは置いておいて………………置いておけるかっ!!




 あたしがにゃんこになっているーっ!!??



 にゃんこだー!! なんか知らんけど猫になっているーっ!?


 ちょっと待て! 超絶美少女のサクラちゃんがにゃんこだと!? 


 うむ、にゃんこになっても美少女だ! 



 って!! 問題はそこじゃなーい!



 何でサクラちゃんがにゃんこなんだ!?



 マテ! 落ち着こう。深呼吸だ! スーハースーハー!




 ……間違いにゃい……にゃんこだニャ。



 ニャ!? なんだこの語尾は!? 段々にゃんこ化してるのかニャ!?



 カバモンか!? カバモンの悪戯か!?


 それとも呪いか!? 妖怪化したのかニャ!?


 いやいや。猫をいじめたり悪さした記憶はないゾ!?


 カバモンか!! JOLJUめ! いくらなんでもこの悪戯はやりすぎだ馬鹿ぁあー!!


 JOLJUはどこいったぁぁあーーー!!


 直せカバモンっっ!! 天才美少女サクラちゃんを返せー!!



 せめて猫娘ダロ!! 猫耳しっぽだけならまだ許す!! 誰が完全に猫にしろといったぁ!? 



 もしかして全人類を猫にしたのか!? そんなに猫派だったか!? あいつ人間好きだろ!? いくら神といったってやっていいことと悪い事があるだろーが!



「ニャアーニャアーニャアーッ!!」


 いかん! 人間言語が喋れんニャ!!


 ごはんどーするんだ!? オナカ空いたンだけどぉ!?


 ペットフード!?



 ん……猫の餌はワリと健康的だし魚味とかチキン味で食えなくはにゃいけど……ネズミは食いたくないにゃ! ウェットフードも味気ないからマヨネーズが欲しいにゃん!



 ……もし全人類が猫化したとしたら……?



 ユージは虎っぽいな。にゃんこパンチ一発であたし、肉塊になるにゃん。


 エダはライオンかな? 金髪の鬣がにあうにゃん。……って、エダは雌だにゃん。


 拓ちんは? ……じゃがー? うーん……そこまでいいもんじゃにゃいにゃん。へたれピューマだにゃん。



 って! まったり考えている場合じゃにゃいにゃん!!



 JOLJU出てこいJOLJUっ!!



 サクラちゃんとついでに人類を人間に戻せーっ!!



「にゃーーーーーーーーーーん!!」







***





「…………」


 飛び起きたサクラ。

 慌てて両手を見る。

 ちゃんと人間の手だった。



「なんだ、夢か」


 サクラはほっと息を吐いた。


 よく考えればそりゃあそうだ。人間が猫になるはずがない。まぁJOLJUがその気になればそんなことくらいできるだろうが、よくよく考えたらそんなメリットはあのカバモンにはない。犬も猫も好きだが、あいつが一番好きなのは人間だ。あの超生命体にとって犬猫も人間もほとんど関係なく感覚的には大した差ではないし、悪戯でそのくらいのことはしても全然驚かないが、さすがにそこまでぶっとんだ神ではない……と思いたい。



「疲れてたしなぁ……アホな夢くらい見るか」


 時計を見ると、凡そ20時間は寝ていたようだ。


 その前日、3日徹夜で派手に南米のスラムでギャング共をフルボッコにして暴れまわって壊滅させた。結構派手にボコボコにしたので、ニュースになっているかもしれないが、当局にバレるようなヘマはしていない……と思う。多分。バレていればこんなに熟睡できたはずがない。今頃ユージに叩き起こされて、長時間説教タイムになっている。



「ま、いいや。オナカ空いたからごはん食べよう」


 時計は午前10時。エダはもう大学に行ったと思うが、ユージはまだ出社する前かもしれない。エダはサクラが帰宅しているときはちゃんとご飯を作って冷蔵庫に入れておいてくれるし、なかったらユージに奢らせるか、最悪ストックのコーンフレークを食べればいい。



 どうもまだ疲れが残っているっぽい。


 ごはんを食べたたら二度寝しよう。


 そう思いながら自室を出た時、聞きなれた馬鹿声が聞こえた。



「なんだ? 飛鳥もおるんカイ」


 いるのは当たり前だ。南米ギャング撲滅は、飛鳥も参加していた。日本は連休なのでそのまま泊まった。



「お~♪ ごはんやでーさくら~」

「ん??」

「おーおー、よっぽどオナカ空いとったんやなー、よく食べるよく食べる♪」

「……ん……?」


 サクラはまだ自室の前でリビングではない。もちろんまだ食事は食べていない。


 よく分からないが、とにかくリビングに向かった。



 そして衝撃のモノを見た!



「みぃーみぃーみぃー」


 飛鳥はリビングにいた。そして……夢中で餌を食べる仔猫も。


「みぃーみぃー」

「ほうかー、小さいのによく食べるなぁ~さくら~! たっぷり食べるとええど!」



「……え……?? 猫が……<サクラ>で……え? あたし?」




 んん??


 仔猫がサクラなら、あたしは何だ?



「おい飛鳥、なんだその猫。そんでもって何であたしの名前がついているのよ」


 飛鳥の横にいって問いただした。

 だが飛鳥はサクラに気づかない。



「よしよし。ごはん食べたらウチと遊ぼうなー! さくらー」

「おい、サクラちゃんこっちだゾ」

「いやぁ~仔猫になるとはさくらも可愛いもんやなぁ……クソガキに見えんど」

「もしもーし。サクラちゃんは真横にいるぞ?」


 と……。



「さくらに飯をやったら寝かせろ。まだ子供だ」


 ユージがキッチン側のカウンターで、タブレットでニュースを見ていた。


「おいユージ。サクラちゃんこっち! サクラちゃんこっち!!」

「世話は任せていいな?」

「了解やでー」

「サクラちゃんはここ! 世話なんかいるカイ」

「トイレは奥にある。外には出すな、危険だからな。まだ慣れていない」

「そやなぁ~、了解や~」

「オイ! お前らさっきからサクラちゃんを無視すんな!」



 サクラ喚く! だが二人とも気づいていない。



 と……!



「ごはん食べたのかだJO? じゃあ遊ぼうだJO!」

「あ! JOLJU!!」


 当然JOLJUもいた。


「おいカバモン! これは一体どういう事なのよ!」

「…………」



 JOLJUは気づいて顔を向けた。



「おい! どうして皆……」



 その時サクラは見た!



 JOLJUの「にへらぁ~」とした、満面の悪戯顔+哀れみを称えた間抜けな笑顔を。



 そして理解した!!



「犯人はお前かぁああー!! カバモンっ!!」



 全て理解した!


 普段はニートだが、神の神の神の神を超える超生命体! その気になればどんな摩訶不思議な事もあり得ないことも簡単にやれる、それがJOLJU!!


 JOLJUは悪戯で、サクラを仔猫<さくら>にしたのだ!



「じゃあこの体は何だ?? 待てよ? ……サクラちゃんの覚醒能力か!? こっちの体は精神体か魂か霊体とかそういうモンか!?」


 サクラはかなりLVの高い覚醒種だ。霊感を含む第六感、魔法的要素の第七感も覚醒している。サクラの本来の魂が自己防衛的に分離したという事ではないか!? 霊体だから霊感のないユージや飛鳥には視えていない!? 



 しかしさすがにJOLJUには視えている。


 というか、こいつが元凶ではないか!



「お前なーっ! やっていい悪戯とやっちゃいかん悪戯の区別もつかないのかっ!!」


 速攻でJOLJUをぶん殴る!



「悪戯って……。この三日間、サクラたちがやった大暴れに比べたら軽いもんだJO」

「阿呆かお前!! 笑えんわ!!」

「自分でなんとかしたら?」

「できるわけないでしょうが!」

「えー……簡単なのに」

「お前、自分と人間を比べるな!!」

「簡単だと思うんだけど? それに仔猫さくら、すんごく可愛がられているし。ユージも飛鳥も楽しそうだし」


「人の不幸を楽しむなぁーーーっ!!」



 サクラ、渾身の昇竜拳をJOLJUに放った!



 ぶっ飛んで、頭から落ちて気絶するJOLJU。完全KOだ。



 サクラの気は少し晴れたが、数秒後重大な現実を思い出した。



 元凶のJOLJUが気絶してしまうと、誰もサクラを元に戻せる者はいない。


 そして唯一サクラを助けてくれる力を持つJOLJUに対して昇竜拳を放ってしまった。これでは当然目が覚めても、元に戻してくれるはずがない。



 サクラは、敵にしてはいけない相手をぶっ飛ばしてしまったワケだ。



 この現実に気づいた時、サクラは本格的に絶望した。



 空腹どころではない。サクラは頭を抱えてその場に蹲った。




黒い天使短編 「猫になったサクラ」前編でした。



ということで猫になったサクラです。


今回はノリで書いた短い短編です。前編後編です。


完全ギャグ回です。


JOLJUがいると何でもできる!w

まさかこんな展開になるとは!


まぁ……猫みたいな習性のサクラですけどw


JOLJUにとってはこんなこと朝飯前! その気になれば何だって出来るのがJOLJUです。科学とか魔法とかへったくれもないです。



今回はト書きもノリでギャグタッチです。

何も考えず気軽に楽しんでください。


次回は後編です。

これからも「黒い天使短編・日常編」をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ