黒い天使短編「ようこそ我が家へ」2
黒い天使短編「ようこそ我が家へ」2
こうして三階のクロベ家のあるフロアーへ!
もうここから特別セキュリティー!
そして家の中に!
この家は広い!
まずはバルコニーから!
***
エレベーターは直通……そして3階だから、すぐだ。廊下は12mくらいでドアがある。
「で、エレベーター降りたら我が家だけど……ここが第二セキュリティー! というか我が家最大のセキュリティーね。飛鳥、分かるかい?」
「お前ん家、自動ドアやったよな? けど……ふむ? どうやってドア開けるンや?」
鍵もなければドアノブもないし、自動ドアの反応装置もない。
一応インターフォンとカメラはある。が、飛鳥も普段はインターフォンなど押さずタッチしてドアを開けて入っている。
「家族はドアタッチで開く。これで開くのはユージとエダとあたしとJOLJUだけ。指紋とDNA登録だから誤魔化せない」
「ウチもいつも自動で開くけど?」
「アレはあたしが中で開くようにセットしているから。無人のときは飛鳥だけだと開かない。何やっても開かない。爆破してもJOLJU特製だから穴も空かない」
「拓さんはどうやって入ってるんや?」
拓は家族同然でこの家を利用している。
「鍵を使う」
そういってサクラが取り出したのは、自分の携帯電話だった。
「我が家の鍵はホームコンピューターが管理してるから、電子錠なのだ。だから我が家にとって携帯電話は超必需品。家の中も携帯電話大活躍だからね」
サクラは携帯電話をドアに当てる。すると自動で携帯電話が起動し、光る。サクラは慣れた手つきで番号を入力すると、ドアはゆっくりと開いた。
「すげぇー! ほんま、ハイテクやな!」
「これ、遠隔でも一応できるの。アンタやセシルやマリーが来たときは、自動で暗証番号が打ち込まれるようにセッティングしているから、タッチで入れているわけ。アンタたちのDNAは登録してるから、それで開く。登録ない人は家族が暗証コード入れない限りは入れないし、インターフォン押して防犯カメラに顔を撮影されないと開かない。誰が来たかは、下のゲート通過時確認しているから。入れたくないときは、暗証無効にすればいいわけだ。ついでにいうと、一応手動でも開閉できるよ。非常時、手で開けないと使えないし」
「手動のコード知っているのは、ユージとエダとオイラだけだけどね」
「お前は知らんのか?」
「携帯には入ってるケド、ま、必要ないからね」
「?」
「ま、すぐに分かる。じゃあ中入ろう~」
「しかし……もう、政府施設も真っ青なセキュリティーやなー」
「まーね。たまに重要証人の保護頼まれるし」
三人は中に入った。
さて、ここからが本番である。
玄関は狭くない。というより、廊下などなく、いきなり広いリビング……というかメインフロアー直結だ。米国式だから靴を脱ぐ場所はない。玄関周辺は観葉植物があったり、オシャレなインテリアが置いてあったりする。
「いつ来ても広いなぁ。ここ、オフィスみたいや」
「メインフロアーだけでも40畳はあるんじゃない? そのうちリビングが20畳、残りがフリースペース。ミニバーとキッチンも多分15畳くらいはあるかな?」
「55畳か!? そんなに広くてどうするねん。てか、ここだけで我が家より広いど!?」
「みんなでパーティーしたりするじゃん。それに色々ゲームがあるし」
ビリヤードに麻雀卓、ダーツなどが設置してある。他にウォーキングマシンやサンドバックなどトレーニング機器、ハンモックや<ダメ人間になるクッションソファー特大>なんかも置いてある。
リビングに行く前に、サクラは玄関傍のドアを開けた。ここは普通のドアだ。
「お? ここ、初めてや」
大体10畳くらいの部屋があり、工具や雨具、工作場、車用品やバイク用品、使わない家電、アウトドア用品、オシャレな流し台などがある。
「倉庫1。ここは基本的な米国家庭の倉庫ね。後、雨で濡れたり汚れたりしたら、まずここに入って着替える。一応家の中は土足OKだけど、皆日本育ちだし、靴が汚れていたり濡れてたらここで脱ぐよ。洗い場もあるから、靴も洗えるし。ホラ、ここに来客用スリッパも置いてあるし、靴箱もあるし」
「米国人って靴箱って寝室にあるんやろ?」
「そだゾ。だから大体、皆帰宅したら、まず寝室に行って、部屋着に着替えて、室内靴かスリッパに履き替える」
欧米は土足……という事が多いが、最近では室内用の靴やスリッパ、土足厳禁の家も増えている。クロベ家は、客は土足でも構わないが、家族や友人は大体部屋でスリッパに履き替える。サクラや飛鳥は日本の習慣か、素足のときもある。清潔なフローリングと絨毯だから、素足でも全然気持ちがいい。
ふむ……と飛鳥は靴を脱いでスリッパに履き替えてみた。エダの趣味か、半分は可愛らしい動物スリッパだ。サクラは気にせずそのまま。
そして中に入る。
「真ん中がリビング1とリビング2と食事テーブルセット。その奥がダイニングキッチンとミニバー。で、右がテラスとバルコニーで、左が各部屋と二階の階段。左奥が寝室エリア」
「リビングは吹き抜け! そして天井のくるくる大型送風機と空調!! 豪邸やな!」
「全室空調完備で温度は一年中24℃に設定されてるから暑くもないし寒くもない。日本と違って家全体で空調管理してるからなー。全部コンピューター制御で、ホームコンピューターで設定できるし、あたしたち家族の携帯でも微調整できる」
「もう宇宙船やな」
「オイラのカスタムだから、宇宙船みたいなもんだJO」
「よし、食い物置いてから、バルコニー行こう!」
「おう!」
バルコニー側は前面ガラスで外がよく見える。しかしここは三階だ。外からまる見えではないか?
と思って外に出てみると……外からは中は全く見えなかった。
バルコニーは大体15畳ほどの広さで、ここは屋外のようだ。芝生が敷かれ、花壇があり、大きな水槽には金魚が泳いでいる。そしてバーベキューセットが真ん中に置いてあって、いつでもバーベキューができる。半分は建物の陰で、そこは雨に濡れない。
「この金魚や小鮒はJOLJUの趣味やな」
「そだJO! オイラが飼ってるJO!」
「お前、我が家の池でも金魚とかフナとか鯉飼っとるやんけ。魚、好きやなぁ~。お、これ、マジックミラーか? 外からは中が見えへんのやな」
「マジックミラーじゃない。似たようなものだけど、ガラスじゃなくてJOLJU特製の強化パネル壁で断熱も完璧。ま、ガラスみたいに開けられるし、操作すれば透明にもなるけど、あんま開けない。街中だし、ここだと見えるし、狙撃されても嫌だし。ま、狙撃されても関係ないんだけど」
「関係ない?」
「窓も、このバルコニーも、フォースフィールドのバリアーが張ってある。だから銃だろうがバズーカだろうが核弾頭だろうが、撃ち込まれてもビクともしない」
「どんな秘密基地やねん……でも、ここで洗濯物干すんか? 洗濯物干してるの、見たことないな?」
「基本干さないよ? たまにエダは干したり、ふとんを干したり、JOLJUが手製の干物干したりしてるケド、服は基本みんな乾燥機使っているから。マンハッタンど真ん中で洗濯物が干してあったら恥ずかしいじゃん? NYの金持ち族は乾燥機がメインだね。ま、恥ずかしくないよう、このバルコニー全体に<非認識化>と<視覚撹乱>をかける装置があって、誰かに見られることはないから、バルコニーで気軽にバーベキューも天体観測もできるゾ」
そういうとサクラは突然自分の銃を抜いて、問答無用で自宅に向けてぶっ放した。
「何しとんや!! お前!! アホか!!」
「こんなことしても、フォースフィールドがあるから問題なし」
サクラは自分が撃ち込んだガラスの前にいく。すると、そこにはバリアーで空中停止している弾丸があった。
「こんなカンジで、我が家は完全にバリアーで守られている」
「バリアーいうたら、パキーン!って、弾き返すイメージやのにな」
「弾き返したら他所に迷惑じゃん。それに襲撃者の貴重な証拠品よ? これで弾は回収できる。とはいえ、このバリアーの解除はJOLJUしかできないけど」
「だJO」
ひょいっとJOLJUは飛び上がって空中停止した弾丸を掴んで「熱っ!」と言いながら回収していった。
ちなみに過去笑うに笑えない事件もあった。朝起きたら100発以上の弾丸が害虫のようにそこいらじゅうに張り付いていたり、かなり難易度が高いのだが、壁をよじ登ってバルコニーから侵入しようとした襲撃者がバリアーで中に入れず、かといって下にも降りれず、ユージとエダは旅行中……ということで、放置の結果衰弱しきった間抜けな殺し屋がベランダで倒れていたのを見つけたことがある。
「では! いつもダラダラしているリビングだ!」
「おー♪」
ということで、三人は屋内に戻った。
黒い天使短編「ようこそ我が家へ」2でした。
今回は玄関とバルコニー編!
もうここまでだけで特別で、政府施設も真っ青なセキュリティー! 何せJOLJU監修!
逆に言うとここまでしないとユージの平穏はこないということですが。
そしてこんな強固なセキュリティーなので、たまに政府の承認保護を頼まれるわけです。頼まれてもエダたちには影響ないくらいこの家は広いし、実はプライベート空間に普通の人は入れない。なので飛鳥もよく知らなかったわけです。
ちなみにバルコニーの太陽光発電機は、さりげに同じものを「AL」でJOLJUは作って使っていたりするので、JOLJU的にはそんなに難しい高度な科学技術ではなかったり。まぁコイツにとってはどんな科学技術も高度ではないんですが。
次回は皆が遊ぶリビング!
超ハイテクが色々です!
これからも「黒い天使短編・日常編」をよろしくお願いします。




