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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
141/206

黒い天使短編「ハワイ大乱闘」7

黒い天使短編「ハワイ大乱闘」7



今度は中国人ギャング!?

一体何があるんだ!?

暢気に探検に入るサクラたち。

そして見つけたお宝!!

それはなんと……!!

***




「どうしたの? サクラ、大丈夫?」


『あー、うん。今んトコはね。それより聞こえる? コレ』


 全員静まる。

 すると電話の向こうから、小さいが確かに激しい銃声の応酬が聞こえた。


 フルオードの銃声だ。それもサクラたちを襲っているのではなく、別の場所で交戦しているようだ。


「戦闘……ですか?」とセシル。

『そうなのだ。なんかバンが二台来て、最初に押し入った連中と問答無用の銃撃戦してる。どっちもバリバリ、フルオートで武装! 会話もなし、確認もなし、もう問答無用の殺し合いね』


 確かに聞こえてくる銃撃戦は、確かに屋外で室内に向けられたものはない。セシルたちもプロだ。銃声だけで何が起きているか分かる。明らかに複数の人間が殺しあっている。サクラたちのことには気付いていない。


『ま! あたしが見るところ、横取り参入だね。元々どっちが横取りしにきたかはわかんないけど、そういう事だと思うよ。考えるに、ここに何か隠されていて、それを奪いに来た連中がいて、それを知った誰かが横取りにきたのか、それとも取るなって妨害しにきたのか。もしかしたらまだ増えたりしてね』


「何が目当てか、分かりますか?」


『それが分かったら、こんな苦労はしていない! 飛鳥とJOLJUが今家捜し中よ』


「見つけたら連絡ください。くれぐれも無茶しないで下さいね」


『OKOK。でも急いでな! 外の様子を見る限り、5分もすればどっちかが全滅する。そしたら今度はあたしらが狙われるから』


 その割にはサクラの声は平常通りだ。

 まぁ、この程度の危険、サクラには何てことはない。


 最後にサクラが「あっ」と何かを思い出した。



『ロザミィの<ラファ>見つけたから借りちゃうね~! ンじゃあ、また!』


「……<ラファ>……?」


 電話は切れた。

 何のことかさっぱり分からず、セシルは頭を傾げる。


 だがエダとロザミアは分かる。二人は黙って顔を見合わせた。



「ロザミアさん……<ラファ>なんて持ってきていたの?」

「何が起きるかわからないし、私も旅行なんてあまりしなし、邪魔になるものじゃないし、便利だしね」

「ロザミアさん。<ラファ>は通常使用禁止だよ? サクラだって普段は使わないように家に置いてあるんだよ?」

「地球人が決めたルール。私は関係ないわ」


 ロザミアは気にする様子なく、またシャンパンを飲み始めた。


「地球のルールじゃなくて……JOLJUのルールなんだけどね」


 エダはため息をつく。SAAや米国大統領が知ったら仰天しそうだ。まぁ、DNA登録しないと発動しない武器だから、他人にはただのガラクタだ。


 しかし、これはサクラにとってプラスだ。銃よりはるかに有効な武器だし、サクラは使い方を知っているし、JOLJUがいるなら登録もできる。<ラファ>を上手く使えば死者は出ないで済む。



 どうやら、まだ一波乱はありそうだ。





***





「どないや? 外の戦争は」


 ひょこっと顔を出す飛鳥。

 サクラは窓のカーテンを僅かに開けて、外の様子を見ていた。


「中国人ギャングVS白人のギャングね。他人の庭で勝手に実銃でサバイバル・ゲーム……とかでないのなら、三つ巴ね。どっちかが横取りしにきたか、どっちも横取りにきたか。まぁ連中が本気なのは確かね。双方半分は死んだし、ヘリやバンはどっちも蜂の巣」

「マジで戦争やな」

「そだな。こりゃあ面白い」


 サクラは窓から離れた。


「JOLJUと金庫とか部屋を色々調べたけど、高そうなものはなかったど? ユージさんも金庫とか使ってへんみたいやったし」

「ユージが持ち歩くものっていったら銃くらいだもん。貴金属とか宝石集める趣味はないし」

「何が狙いなんやろ?」

「わからん。けど、分かってきた」

「ふむ?」


 どういう事だ?


「連中の狙っているのは、最低でも3000万ドル以上! 超高額なお宝!」

「なんやと!? すごいやん!! 何で分かったんや?」


 サクラが部屋を出て行く。それについていく飛鳥。


「分かったも何も……連中の費用を計算しただけ。犯罪者10人が2セット。一人10万ドルだとして100万ドル×2。さらに経費が100万ドル。で、逃亡に200万ドル。そこまでかかるとすれば……報酬は2000万ドル以上ないと割に合わない。ここまで戦争してもやり続けるってことは、3000万ドル以上は確定でヤバいもので普通じゃあ持ち出せないもの。多分小さいものじゃない。襲撃犯はヘリでやってきたから、多分この後海上の秘密の船か何かに運ぶ……ここで500万ドルね。だから3000万ドル以上!」


 サクラはこういう事件ネタは大好きだし、ユージやセシルから得た知恵もある。犯罪だって商売だ。利益が出なければやらない。これだけのことをしでかせば、当然警察に追われるリスクは跳ね上がり危険だ。それでも行うということは、それだけ利益があるということだ。



 しかし何だろう?



 ヘリまで用意するということは、大きいものだろう。10人も強奪要員ではなく運送要員だ。



「核兵器とか!! 生物兵器とか!!」


 心なしか声を弾ませる飛鳥。相変わらず不謹慎な奴である。


「いい線だ。そのあたりなら高値がつく。だけど誰も防菌服や放射能服着ていないからそれはないわ。兵器とかじゃないと思う」


 ハワイには太平洋艦隊本部があり、軍施設も沢山ある。そういう米軍がすっ飛んできそうなものを隠している可能性は低いし、そういうものであればCIAやNSAや軍が全く察知していないとは考えられない。何かしら監視もしているはずだ。それが奪われそうな動きがあれば、軍の特殊部隊がすっ飛んでくるはずだ。


「じゃあ宝石や絵画とか?」

「どっちも特別な販売網がいるゾ? 100万ドルや200万ドル程度のブツならギャング程度でも売り捌けるけど、今回はちょっと規模が大きいし違うんじゃね?」

「じゃあ他に何があるんや?」

「しらん。しらんが先に見つけないと、あたしたちも危ない」


 サクラたちはこっそりとリビングに向かって歩いていく。


 その時だ。サクラの携帯が鳴った。

 相手はJOLJUだ。


「なんだ? どうしたJOLJU?」

『めっけたJO!』

「何を?」

『お宝!!』

「マジ!?」

『地下室で隠し部屋見つけたJO! すごいJO! 飛鳥が大喜びしそうだJO』

「わかった、すぐ行く」


 サクラは携帯をポケットに仕舞う。


「JOLJUの馬鹿が地下室でお宝見つけたってさ。見に行こう!」

「おお! なんかドキドキしてきたな! 何があるんやろ?」

「そだね! なんか楽しくなってきた」

「何が出たのか聞かなかったンかい?」

「いきなり見て吃驚するほうがドキドキしていいじゃん!」

「おお! お前、よく分かっとるな!」



 こうして緊張感のないノー天気小娘たちの暴走は、まだまだ続くのであった。



 そして、めったに驚かないサクラと飛鳥が、腰を抜かすほど驚く宝がそこにあった。




 なんと……1億ドルの現金だった。


 日本円だと約100億円である。




黒い天使短編「ハワイ大乱闘」7でした。



テロリスト大乱闘!!

そして見つかったのは、なんと1億ドル!!

100億円ですね。

そりゃあこんな大金があれば強盗もします。

だが問題はこのお金が誰のものか。奪い合いにくるということは合法的なものではない?

とりあえずユージは関係ないことが分かりましたが、だったらこのお金は何なのか?

犯罪の臭いプンプンです。

そして「AL」に先行して登場したロザミィ愛用武器の<ラファ>とは!?

本編で言っているとおり、地球の武器ではないですが、サクラは持っています。普段は使うな、と封印されてますが。ということで今回はちょっと「AL」とクロスオーバー、<ラファ>の活躍回です。

お金も見つかったし、サクラたちが大人しく隠れているはずがない!

ということでサクラ反撃編です。


これからも「黒い天使短編・日常編」をよろしくお願いします。

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