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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
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黒い天使短編「ハワイ大乱闘」1

「黒い天使短編」「ハワイ大乱闘」1



なんと! サクラたちは家族でハワイ旅行!!

久しぶりの家族旅行!

とはいえ、いつものメンバーも行く!


ということで飛鳥も飛び入り参加!!


これで事件が起きないはずがない!!

「黒い天使短編」「ハワイ大乱闘」1



***



 今日も平和な東京練馬の夕方。飛鳥の家。

 久しぶりに顔を出したサクラとJOLJU。



「お? なんや? 珍しいな……お前、その荷物」


 現れたサクラとJOLJUは、大きなリュックを背負い、手には衣料品店の紙袋が握られていた。



「お前が服を買った? お前、いつも同じ服やん」

「ま、サクラちゃんだって服くらい買うサ。あがるぞ~。とりあえずご飯食べる」

「オイラごはん大盛りでだJO」

「ふむ?」


 今度は何をしでかすんだ?

 と飛鳥は首を傾げた。



 晩御飯後、リビングでサクラは今日買った服をリュックに詰めていた。このリュックもJOLJUカスタムだから見た目以上に入る。


 サクラが買った服は、どうやらアロハ服や夏服のようだ。



「お前、どこ行くんや?」

「ん? あ、ハワイ」

「ハワイ?」

「うん。家族旅行でハワイ」

「家族旅行?」


 サクラとJOLJUは世界中遊びまわっていてどこにでも行くが、ハワイも家族旅行で観光旅行というのも珍しい。サクラは基本金がないからお金がかかる観光地はあまり行かない。



「エダが福引でハワイのツアー旅行当てたの」

「ほんま、エダさんよく当てるなぁ。懸賞だけで生活できるんちゃう?」

「エダが本気になったら出来るかもね」


 エダは常人の何倍も強い<強運>と<第六感>を持っている。エダが予感を感じた時は悪い事も起きるしいいことも起きる。エダ自身その能力を悪用する事はないのだが、超人というわけではないので100%ではないし、サクラのテイコキネスのようにインチキしているわけではない。なので、たまにそういう福引をして、こうして見事に特賞を当てたりする。



「で……元々リゾートホテルだったんだけど……ホテルだと防犯に不安があるじゃん? だからユージがツアー会社に連絡して、ホテルの代わりに高級貸し別荘借りることにしたの。で……部屋が増えたから、拓ちんとセシルとロザミィも来る事になった。まぁあたしはホテルでも別荘でもどっちでもいいけどね~」

「なんやとー!? それやったらウチも行く!! なんでウチは誘ってくれへんねん!」

「三日後で旅行は一週間よ? アンタ、学校どうすんのよ」

「がっつり平日だJO?」

「休む!」

「お前いつか本当に留年するゾ?」


 サクラが大冒険を企画する度に学校をサボる飛鳥。成績は真ん中くらいで赤点はないが、サボりも重なれば出席日数足らずで留年だ。もしかしたら飛鳥は永遠に高校生でいたいのだろうか。



「いいの? ジッチャン?」


 サクラはテレビの前でJOLJUと格闘ゲームをしている飛鳥の祖父風禅に確認する。風禅は「ん?」と振り向いた。高校生の飛鳥の決定権は一応風禅にある。


 が、この点風禅は放任主義だ。



「留年せんなら、儂はええゾ?」

「あ、そうや! インフルエンザになったらええんや! そしたら堂々と休める!」

「うわー……最低な発想だ、こいつ。医者の診断書どうすんのよ?」

「JOLJU、作れ!」

「それはどうだろうかだJO」

「特製大分県特産かんた君の芋羊羹買ってやる!!」


「やるJO!」


「おい! そんなに簡単に買収されるな! 第一! あたしたちは国内旅行だけど飛鳥は外国旅行よ? パスポートどうすンのよ!? 観光客はパスポート持っていないとマズいゾ? 出発はNYなんだゾ?」


 今回は旅行ツアーを利用しているからサクラたちだって転送機ではなく飛行機だ。それにサクラたちはいい。米国人でハワイは国内だ。だが飛鳥は日本国籍で出国記録と入国記録が必要だ。普段の冒険と違い観光なので、いつパスポートの提示が求められるか分からない。飛鳥の身分証明書はパスポートしかない。


 解決方法は簡単だ。飛鳥だけ自力でハワイにいくかNYに行けばいい。しかし、それだと10万円以上が移動だけで消える。



 こうなると飛鳥は図々しかった。



「JOLJU! パスポート偽造、やれ!」

「えー」


 JOLJUなら偽造だけでなく出入国記録のデーター改竄も簡単だ。


「ハワイについたらハワイアン・ドーナツ腹いっぱい奢る! 他にも奢ってやる!」

「仕方ないJO。じゃあ、やっとくJO」


「オイ! いいのか、元神様!」

「今はニートだからモーマンタイだJO」


 あっさり引き受けるJOLJU。全く悪びれていない飛鳥。

 この二人は世界のルールをなんだと思っているのだろう。サクラは呆れてしまって言葉が出ない。もっとも人のことはいえないほどサクラも悪用しているのだが。


 という事で、飛鳥だけはハワイに転送機で行く事になった。現地合流だ。


 仕方がないのでユージに電話で確認したところ、OKが出た。



「OKだって。ああ、JOLJUは飛鳥と一緒に来いって。飛鳥一人で迷ったら面倒だから」

「お前は?」

「あたしは飛行機でいく。たまには飛行機乗るのも悪くない。映画観て機内食食べて昼寝すれば着くだろう」


 サクラはユージの娘ととして飛行機を予約してある。ここで娘だけ予約を取り消せば、保護者としてユージが調べられる。長時間狭い飛行機でじっとしているのは好きではないが、まぁたまにはいいだろう。最近の機内食は美味しいし、エダやセシルやロザミィもいるし。


「今回は遊ぶゾ! お金あるしな! ウォーターリゾートやジャングルリゾートや食べ歩きしまくる!」


 今回はバカンスということで、珍しくユージが小遣いをくれた。なんと1000ドル! これだけあれば遊びまわれる。


 もっともこの高額小遣いには裏の意味もある。

 ユージがエダと二人だけでデートするときは付いて来るな、勝手にお前らで遊べ! という意味だ。

 今回の旅行を一番楽しみにしているのはエダだ。たまにはエダも無邪気にユージと遊びたい。



「あんたも自分の分は小遣い用意しときなさいよ? ドルで!」

「分かっとるワイ!」


 飛鳥はいつでも冒険に出られるように、1000ドルくらいは自宅に置いてある。それにハワイであれば円を持っていっても交換できる場所は多い。


「いやー! 楽しみや! よしサクラ! 明日服買いにいこう! ウチもアロハ買うで! ……って、そういえば何でお前、日本でアロハ服買いに来てるねん?」

「NYにアロハシャツ売ってるか? それにサクラちゃんのサイズだったら日本のほうが安いし質もいいし、一人で買い物できるし」


 米国は子供一人の買い物は出来ない。中学生までは保護者と一緒に買いに行くのが普通だし、米国の服のサイズは大きめだからサクラのサイズだといかにも子供らしい子供服になる。そして高い。その点日本なら一人で買えるし安い。1000ドル(10万円)あるが、できれば安く済ませたい……ということで日本に買いに来たわけだ。


「よし! 明日よしむら屋に買いにいくど!」

「学校終わってからな! サボるな! そんでもって体調悪い芝居もしとけ!」

「まかせろ」


 飛鳥は楽しそうに微笑む。



 そう。これが事件の始まりであった。



「黒い天使短編」「ハワイ大乱闘」1でした。



ということで、小話ではなく、今度はほぼフルメンバーのドタバタ事件編です。

事件は起きますが、シリアスというよりコメディー系です。

事件自体はシリアスですが。


しかし飛鳥……こんなにしょっちゅう遊びにいっていいのだろうか?

飛鳥はどんな学生生活しているのか、そっちも気になりますね。


ということで次回はハワイです!


これからも「黒い天使短編・日常編」をよろしくお願いします。

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