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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使」シリーズ
12/206

「黒い天使短編・飛鳥の事件簿インド編 8」

「黒い天使短編・飛鳥の事件簿インド編 8」!


ほぼほぼノープランの<ドベルクの悪魔>作戦!


サクラと飛鳥が巨象を誘き寄せる役となるがゾウさんは意外に速い!


ついにお手上げ、一同はJOLJUの神様パワーに頼るのだが……。

 飛鳥の事件簿 8



拓とエダの誘導が終わったのだろう。<ドベルクの悪魔>の周りに人はいなくなった。

 すでに<ドベルクの悪魔>は村内に入ってきている。


 サクラと飛鳥がいる場所は約40m先。ゾウは視力がいいわけではないのでこれだけ離れれば一応安全だ。


「デカいねぇ……全長5.8……6m近いな。インドゾウとしてはかなりおっきくて高齢。あれが猛獣の如く暴れまわるンだからたまったもんじゃないなー」

「車くらいは簡単に踏み壊しそうやな」

「んじゃあ、とにかく始めるか。とりあえずサクラちゃんがまず接触して誘き寄せるから、途中で飛鳥にチェンジ。飛鳥が全力で走って森の入口で今度はサクラちゃんとチェンジ」

「ふむふむ」

「ところで……お前正気か?」

とサクラは呆れ顔で飛鳥を見た。なんと飛鳥は報道カメラマンの如くビデオカメラを右手に握り構えている。このゾウとの鬼ごっこを動画に撮るつもりらしい。

「ゾウって意外に速いンだゾ? 踏み殺されても知らんぞ」

「モーマンタイっ!!」

 これ以上言っても聞く奴ではないのでサクラはもう何も言わなかった。


 こうしてついに<ドベルクの悪魔>大作戦はスタートした。



 サクラがどうやって最初にゾウの気を引くのか……何せ相手は<精神干渉能力>が効かない相手である。まぁサクラならその自慢の頭脳と能力で上手い事やるだろう……と思っていた飛鳥やセシルやマリー。


 が……今回のサクラはいつもらしくなく超力技であった。


「どりゃああっっ!!」


 サクラは上空に舞い上がると、距離にして30mの長距離のドロップキップを容赦のなくゾウの顔面に食らわせた。……サクラの重量だから大きなダメージにはならないが、それでも唯でさえ怒っている<ドベルクの悪魔>をさらに怒らせるのには見事成功した。

 サクラは一度着地すると、<ドベルクの悪魔>が激しく怒り出したのを確認して走り出した。


「うおぅ……! さすがはサクラ。怖いもの知らずや」


と言いながらビデオを回し始めた飛鳥。サクラはすぐに走り出すと<ドベルクの悪魔>は猛然とサクラを追いかけ始める。


 ……おう! 中々すごい迫力や……!!


 と飛鳥が暢気であったのも数秒間の間の事。すぐにそんな事言っていられない事に気付く。体が大きくて感覚では分かりづらかったが、ゾウという生物は意外に速いのだ。サクラも走っていては危険なので全力飛行に切り替えた。道路は舗装されていない土の道で、全力で走るのは大変だしサクラは飛ぶほうが走るより速い。あっという間に飛鳥の出番となった。サクラは一旦上空高くに逃れて飛鳥にバトンタッチ! 飛鳥は走り出した。<ドベルクの悪魔>はサクラを見失いしばらくは周囲を見回していたが、すぐに飛鳥を見つけると咆哮を上げ向かってきた。


「なんや!? 思っていた以上に速いヤン!!」


 ビデオで逃走劇を撮る……なんて余裕はなく、瞬く間に<ドベルクの悪魔>は飛鳥のすぐ後ろまで迫った。そりゃあそうなる。ゾウは平原では最高時速50キロも出るのだ。人間より全然速い。道が悪路でそこまで出ないが、それは飛鳥だって同じで、距離は瞬く間に縮まっていく。飛鳥は運動神経もよく足も速いがとても逃げ切れそうにない。


「仕方がない!」


 セシルがショットガンを構え、<ドベルクの悪魔>の足元に向かって発砲した。足に当てるのではなく足元の土を舞い上がらせて気を引くのが目的だ。目論見通り、大口径のスラッグ弾が起こした大きな土埃に驚き<ドベルクの悪魔>は両足を上げ、咆えた。


 確かに<ドベルクの悪魔>の足は止まったが、怒りはさらに高まった。


 これはどうやら作戦変更するしかないようだ。


「仕方ない! JOLJU! 行って下さい!!」

 セシルはそういうと、足元にいたJOLJUを問答無用で掴むと<ドベルクの悪魔>の前に容赦なく放り投げた。「JO~!!」という悲鳴と共にJOLJUは放物線を描いて<ドベルクの悪魔>の正面に落ちた。

「頑張るのデス!! JOLJU~っ!!」

 応援するしかできないマリーの声援で、JOLJUは立ち上がり勇敢に<ドベルクの悪魔>に向かい合った。


 飛鳥が道から外れ脱し、そこにサクラも合流する。


 <ドベルクの悪魔>と、JOLJUは対峙した。


 そこに、様子を見に来たエダと拓も加わった。


 <ドベルクの悪魔>は、足を止めた。


「ゾウさんゾウさん~。まぁまぁここは一つ、落ち着くんだJO~」


「…………」


 全員が固唾を呑んで見守る中……<ドベルクの悪魔>とJOLJUは静かに対面している。サクラと違い……というか人類と違い、元神様JOLJUは完璧に動物と対話することが出来る。


 JOLJUは悟りを得た仏様のように落ち着いた優しい顔で、語りかけながら<ドベルクの悪魔>に近づいていく。


「なんか未知のと遭遇! ってカンジやな!」と飛鳥はビデオを回しながら様子を見ている。すでにサクラもセシルもマリーも皆集合している。


 できれば自分たちの力でなんとかしたかったが仕方がない。ここは元神様の手腕を見ようではないか。そもそも今回の言いだしっぺは奴なのだし。



 <ドベルクの悪魔>はJOLJUを見て、すっかり大人しくなった。



「感動的なのデス。これぞ神が迷えるゾウさんを導く、神秘の瞬間なのデス」

「ま……腐っても元神様だしな。てか、初めからJOLJUでよかったんじゃないの?」

「それを言うと……さっきのウチらの鬼ごっこは何の意味があったやら」

「気にするな」

 などと無責任に感想を言い合うサクラたち。

 これでゾウさん暴走事件も終わりだな……全員がそう思った。


「<ドベルクの悪魔>さん~。話せば分かるJO~。まぁまぁ落ち着いてだJO」


 と、JOLJUがにこやかに微笑みながら<ドベルクの悪魔>の足にそっと触れたときだ。



 ……どげしっ……!!



「…………」



 ……へっ……???


 という顔で固まる一同。



 何の感情もなく、まるで人が蚊を払うかのようにあっさりと……目の前に立っていたJOLJUを踏み潰した。「ぷちっ」という擬音をつけたいくらいの、あっけない結末であった。

 容赦なくJOLJUを踏み倒した<ドベルクの悪魔>は、再びこれまでのような咆哮を上げ激しく頭を振り乱し始めた。


 このまま<ドベルクの悪魔>は更なる暴走を始めるのか。もう殺処分しか手がないのか!? 


 JOLJUの説得がきかない以上、もはや平和的な解決はないのか!?



 その結果は、神のみが知る!!





 あ……元神様JOLJUは踏み潰されて気絶したから、この後どうなっていくかは神も知らない……。




「黒い天使短編・飛鳥の事件簿インド編 8」でした。


うーーーん……JOLJUとは一体なんなんだろうか……という話です。


それにしてもすっかり怒らせてしまったサクラたち一同。

はたしてサクラと飛鳥たちはどうするのか!? 収拾つける気があるのか!?w


とか言っていますが、次回状況急展開です。

ストーリーはちょっとだけシリアスモードになります!


ということでドタバタ・コメディー冒険シリーズの『黒い天使・飛鳥の事件簿インド編』!

ついにクライマックスに突入していきますー。今後も宜しくお願いします。

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