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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
100/208

黒い天使短編「そうだ射撃場にいこう」9

黒い天使短編「そうだ射撃場にいこう」9



実銃でサバイバルゲーム!


三人バトルロワイヤル! のはずが、実はサクラと飛鳥は結託! 

セシルはまんまと騙された!


しかしそれに気づいたセシルの本気がサクラたちを追い詰める!



***




 森は意外に広い。東京ドームでいえば3つ分くらいはあるだろう。


 それぞれ森の端からスタートである。皆150mは離れている。


 サクラは愛用のS&W M13。飛鳥はS&W M586。セシルはフリーダム・アームズM82(以後454カスール)を手にしている。ちなみにサクラは赤色、飛鳥が青色、セシルが黄色だ。


 森は鬱蒼というほどではないが、視界は精々30mくらいの森で、足元の茂みは少なく動いたり走ったりはしやすい。


 最初は誰も撃たない。森は広いがチタンターゲットは50個、ちょっと探さないと見つけられないが、それでもよく見渡せば視界内にターゲットの一つ二つはとっくに見えている。が、さすがに第一射目は三人共警戒している。


 スタートしてから三分。まだ誰も発砲しないからそれぞれの場所はまだ分からない。

 すでにセシルはチタンターゲットを二つ見つけた。サクラや飛鳥も見つけたはずだ。



「…………」


 ちょっと本気でセシルは戦術を考える。

 このゲームの攻略方法は二つだ。一つはチタンターゲット中心的に狙って動く事。邪魔されてもひたすらターゲットを撃ち抜く事に重点を置く。当然動き回ることになり中々大変だが、上手く立ち回り過半数を得れば、敵も悠長にはしていられなくなる。ターゲットを狙うか射手を狙うかで混乱も起きる。そうなれば最初にターゲットを稼いだ分勝算は高い。


 もう一つは、ひたすら人ばかり狙って攻める方法だ。撃たれればセーフエリアに移動して3分休まなければならない。その間にターゲットを稼ぐことが出来るし、敵はセーフエリアに行った事は分かっているから、自分もそこに向かい復活後すぐに叩く。これを繰り返せば敵はポイントが貯められない、ちょっと意地悪な戦法だ。


 性格的な面でいえば前者が飛鳥、後者がサクラ……という事になりそうな気がするが、問題は射撃の腕だ。サクラはそれができるほどの腕はなく飛鳥は論外だ。今回は射撃のプロ、セシルも参加しているのだからサクラたちがこの戦法に出る可能性は低い。

 ということからすると二人ともターゲットを撃ってポイントを稼ぐ方法しかなさそうだが、まだ一発も銃声は聞こえない。


 5分が経過した時、ようやく銃声が一発ずつ、計二発の銃声が森に響いた。サクラと飛鳥、それぞれが撃ったようだ。これを皮切りに、タンタンッ……タンタンッ……と二人はターゲットを撃ち始めた。


 するとどうだろう……。


『サクラ3! 飛鳥3!』と、JOLJUの声が聞こえたかと思うと、すぐ目の前の空間に、光で出来た3Dスコアボードが出現した。これはJOLJUが審判をしているのではなくJOLJUが開発した自動立体スコア表のようで、その光はどうやら被っているフェイスガードから出ているようだ。セシルがためしにフェイスガードの前に手をかざすと、立体スコアボードが揺れた。そしてチタンプレートと連動していると思われる。随分親切な設定で、本当にテレビゲームかオンラインゲームのようだ。このゲームを民間に売り出したらきっと銃社会である米国では大ヒットし巨額の金を生み出すことだろう。残念ながらJOLJUはこんな超科学ゲームを民間に売る気はないだろうが。


 その後すぐにサクラと飛鳥はほぼ同時にスコアを4に伸ばした。


「……銃声はまだ遠い。二人共中心部には進んでないようですね。外苑部攻略かな?」


 このまま稼がせるのは拙い。そう思ったセシルはとりあえず視界の中にある一番近いチタンターゲットを十分に狙い、撃った。二人が使う357マグナムの倍以上の轟音が森に木霊する。


 その時だった。セシルは思わず眼を見開いた。



「あいつら!! ……そういう事か!!」


 セシルは悟った。



 ……これは公平なゲームではない。セシルは嵌められた!!



「万年金欠病のサクラと守銭奴の飛鳥が20ドルなんてすんなり支払うはずがない!」


 二人がやったのは談合だ。最上手は同着一位。それが不可能な時、二人のうちどちらかがセシルの相手をしてどちらか一方が一位を取る。そして儲けを山分けする。そうすればどっちにしてもお互い最低10ドルは手に入る……というワケだ。なんとセコい連中だ。


 申し合わせたように同タイミングで撃ちぬかれるチタンターゲット。そして二人共同じ357マグナム。さらに銃声で状況把握ができるようにセシルにだけ454カスールなんて化物銃を持たせた。セシルには同じ357マグナムを持つ二人を銃声だけでは判断できないが、サクラと飛鳥の二人には誰がいつどのあたりで何発撃ったか全て分かるのだ。


「でもいつそんな相談したのよ、あいつら!」


 負けじと3つ目のターゲットを撃ち終えたセシルは舌打ちする。そんな時間もなかったし、森に入るまではセシルも一緒でそんな会話はなかったではないか。



 ……いや、待て。サクラはテレパシーで会話ができるじゃないか!!



 そもそも20ドルずつ計40ドルを言い出したのはサクラだ。狡猾?にセシルを誘い入れたのもサクラである。


 恐らくこのズルい談合作戦を思いついたのはサクラだろう。


 後はテレパシーで飛鳥にその作戦を伝えた。飛鳥はそれに乗った。敏腕CIA諜報員のセシルでも見抜けなかった。だがテレパシーを使われたらセシルだって分からないし、サクラと飛鳥はなんだかんだいって歴戦?の相棒同士だ。セシルに悟られないように以心伝心するくらいはやってのける。



「世の中そんなに甘くない事を教えてやる!!」


 セシルは弾を交換、新しい弾を装填し終えると駆け出した。


 二対一上等!! プロのセシルの腕を考えればこのくらいのハンデがあってもいいくらいだ。いや、こうなった以上、プロの凄さをあの小狡い二人に思い知らせてやる!!


 一番最初に森の中心部に辿り着いたのはサクラだった。フィールドには一番慣れているし射撃の腕だってそこそこあり20mくらいの距離でチタンターゲットを狙い撃てる。いくら銃に馴れてきたとはいえ飛鳥だと10mくらいのものだ。


 まずは飛鳥と連携してスコアを調整する。しかしすぐにセシルも迫ってくるだろう。

 問題は多くのターゲットが集中している中央エリアだ。視界の中にあるだけでもざっと10以上はある。まだ飛鳥はここには到達できていないようだ。とりあえずサクラは一番近いターゲットを狙い定め撃ち抜く。そして弾を交換した。


 応じるように飛鳥の銃声が聞こえた。飛鳥も5分もあればこの中心部に辿り着きそうだ。


 問題は……セシルの454カスールの銃声が途絶えたことだ。




 ……気付いたな、セシルめ……。



 なんだかんだとからかっているが、相手は一流のエージェントだ。この程度の談合作戦に気付かないはずがない。問題は気付いたセシルがどういう作戦で来るか……だ。


 殺気は感じない。ということは近くには来ていない。どこかに隠れたかな?


 サクラは頭上に浮かんでいる3Dスコアボードを見た。セシルは5ポイントで止まっている。進めば進むほどターゲットは目に入るはずだし時間的に考えて中心部に到達していいはずだが気配はない。



 ……こりゃあ、あたしたちを撃つ気だな、セシルめ。あいつ、意外に好戦的だしな……。



「しまった。あたしもFBIスペシャルじゃなくてパイソンにすりゃあよかったな~。357マグナム乱射は手が痛いナァ」


 サクラの愛用銃S&W M13・3インチはいい銃だ。持ちやすくバランスもよく重過ぎない。スマートでそれでいて精度もいい。フィクスト・サイトだが狙いやすいしその分引っ掛りもなく抜きやすい。いい点だらけでFBIが80年代~90年代に採用していたから通称FBIスペシャルという。

 実はこのモデルもカタログには載っていない公的機関専用の特別品なのだが、かなりの数が作られ、そしてオートマチック拳銃の移行に伴ってかなりの数が民間に払い下げされたので入手はそれほど難しくはない。子供のサクラには丁度いい銃だが、欠点もある。元々38口径用に作られたS&WのKフレームなのであまりハードな357マグナムを乱射するのには向いていない。あまりに強い強化357マグナム弾を撃てばシリンダーが割れる危険もある。また、357マグナム専用のLフレームやパイソンに比べ357を撃つギリギリのスマートな銃で重さが1キロを切るので、ちょっと反動もキツい。


 なので……サクラも357マグナムをドンドン撃ちたいときは、次に愛用しているパイソン4インチを勝手に借りていく。S&Wとコルトはトリガーシステムが全然違っていてトリガーの感覚も全然違うから、本格的なS&Wシューター(というか世の中のリボルバー愛用者の8割)は、パイソンの独特のトリガータッチに馴れずあまりパイソンを撃って遊ぶ事は少ないのだが、サクラ程度の素人シューターはその違いなどよく分からない。第一クロベ家ユージ所有のパイソンの半分は実戦用にトリガーチューンされていてS&Wシューターでも驚愕するほどトリガーが軽く命中精度が高い、スペシャルな改造がなされている。もっとも、パイソンの一番の問題点はその値段だろう。コルト・パイソンは生産が終了し今では高騰の一途……貸してはくれるが失くせば大目玉なんてレベルではすまない。



 それはさておき、ゲームである。



黒い天使短編「そうだ射撃場にいこう」9でした。



ということで実銃サバイバルゲーム第二話!


サクラと飛鳥のセコい策略はあっさりバレました。

しかしそれを補って余りある実戦経験と射撃の腕!

さぁ、サクラたちはどうなるのか!

そしてこのままサバゲーはすんなり終わるのだろうか?


もちろんそのうち事件が起きますが、はたして……?


ということでこれからも「黒い天使短編・日常編」を宜しくお願いします。

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