#6
#6 誘われる。
そのお誘いは昼休みに突然来た。
私と静かと橘と横山という、いつものメンバーで昼食をとっていたときだ。
「ところで丙さん、今度の土曜一緒に出かけない?」
「土曜日か。構わないが、2人でか?」
「うん、僕と丙さんで。この間知り合いから映画のチケットもらったんだけど、横山とラブロマンス見てもね」
苦笑いする橘。
確かに、男2人がラブロマンスを見るというのは痛いな。
「分かった、だが、私とでいいのか?他の奴じゃなくて」
「構わないよ。じゃあ12時に駅前の噴水で」
それだけ言うと橘は体操着の袋を持って出て行った。
「おっ?・・・いけね、次体育か。また後でだぜぃ」
そういって横山も静の頬にキスをして体育着を片手に出て行く。
「ん、学校ではそういうことするなーっ」
静は真っ赤になりながら横山を見送った。
「なんていうか・・・ご馳走様?」
「人のこと言えた義理かな?」
「私はそう言うのとは違うと思うぞ」
「どうだか」
「静は知っているのか?」
「おねぇさんは何でも知ってるのよ?」
「同い年の癖に」
静は、
「その辺は言っちゃ駄目でしょ」
とだけ言うと着替え始めた。
気がつけば教室に男子はおらず、女子が少しずつ着替えていた。
気がつけば教室に男子はおらず、女子が少しずつ着替えていた。
「それにしても、涼がデートか・・・らしくなって来たじゃない」
「何のことだ?」
「あんたとは中学から一緒だけど、そういう浮いた話なかったじゃない」
「確かに。でも橘がそういうつもりか分からないだろ?」
「ま、それもそうね〜」
さて、土曜日は何を着ていこうか。
思いのほか楽しみな私だった。