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貧乏貴族令嬢ですが男装して入学します  作者: 仲田野 寿
学園編
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17

わたしはジルに会えたうれしさよりも恥ずかしさの方が勝ってしまって、逃げてしまいました。


少ししてからジルが恐る恐る部屋にやってきました。


部屋に入る一瞬、口元を手で覆い頭上を見上げて、何か気合を入れるようなそぶりをしておりました。


二人で向かい合って話をします。



さっきのことを聞こうと思ったのですが、ジルが話しはじめました。


女子用の制服をわたしに渡してくれて、もう男装しなくても良い。ということをジルは言いました。


なぜなら、わたしが男装して入学したことはバレてしまったけれど、わたしが学園に入らなければジルはここに来ることはなかった、という事情を話して、ジルのお父上様や、公爵様、王様を説得して、そして、一計を案じてくれたというのです。


そして、正式に女性も仕官できるように、学園に入学できる法律をできたことを教えてくれました。

それで、もうみんなも分かっているから、女子として堂々と卒業しようと言ってくれました。


ジルは、学年にいない一年の間にも、わたしのために色々してくれていたのです。

うれしかった。

待っていて欲しい。と手紙には書いてあったけれど、それから全然手紙も来ないから、本当はとても不安でした。


しかも、制服だけでもうれしいのに、ジルのお母上様から可愛らしいレースの下着一式も送られてきました。なんて準備の良い方なのでしょう? サイズも網羅しているようです。

わたしは女性用の下着を着けたことがないので、見た目がちょっとおかしいかもしれません。制服を着るので見えないでしょうけれど、やはり不安です。


ジルにチェックしてもらおうと、お願いしました。


制服を着たのはいいのですが、スカートはすーすーしますし、サラシよりはましですけれど、胸はきつい感じがします。下着の上に何を着たらいいのかわからないので、すぐにブラウスを着てしまいました。

これはどなたに確認したらいいのでしょうか?

違和感がありまくりですが、本当に大丈夫でしょうか?


ちゃんと女の子に見えるだろうか、と不安だったわたしは、照れながらジルに聞きました。

ジルは似合っていると言ってくれました。


その言葉に勇気を出して、わたしは恥ずかしかったけれど、どうしても確認しておきたかったので、ジルに、さっきのは口付けしようとしたの? と聞いてしまいました。


わたしの勝手な想像でしたらどうしましょう……。そのときは逃げてごめんなさいと謝るつもりだったのです。


すると、ジルはうれしいことを言ってくれました。

久しぶりにわたしに会えて、ずっとずっと可愛く女らしくなっていて何も考えられなくなってしまった。だそうです。

わたしはうれしいやら恥ずかしいやらでもう、意味がわかりません。


ジルはさっきわたしが怖がったと思ったのでしょうか?

わたしがジルのことを怖がるはずがあるわけないのに。

と、フォローしたのですが、なんかもう驚きすぎて言葉になりません。


ジルが急にわたしを引き寄せたと思ったら、口付けされていました。


驚いて身体が固まってしまいましたが、その間に後頭部を押さえられて息が出来ません。そしてジルの身体が熱くなっているのが感じられます。

息を吐こうとジルに離して欲しいと胸を押しますが、びくともしません。ジルは男の子なのですから当然です。心臓も早鐘を打っているようです。

口を開けると、ぬるっとした熱いものが入ってきました。これはなんでしょう!?


やっ!


逃げるのですが、わたしの舌を執拗に追ってきます。いつのまにか絡まっているようです。


そのまま逃げたり捕まったりしているうちになんだか、頭がもやもやします。

身体の力も抜けていきます。


立っていられなくなってジルに体重をかけてしまいました。重くはないでしょうか? なぜか身体が言うことを利かないのです。

ジルがわたしの腰を持ちながら、後頭部にあった手を使ってわたしの身体を撫で始めました。


ジルに触られるごとに、わたしの身体がぴくっとはねてしまいます。

わたしは身体がおかしいようです。頭のもやもやもなくなりません。なんかもうこのままジルにくっついていたい気持ちになってしまいます。


と、素肌が外気に触れる涼しい感触がしてはっとしました。いつのまにか制服のボタンがはずされていて、下着がジルに見えています。


えっ!?


ジルに下着の上から胸を揉まれているようです。と、ジルの指が触れるどこかから、わたしの身体に電流のような衝撃がはしります。


なにっ、これっっ!? あっ、やぁっ


「っやぁっ……ジルっ……だめぇっ……」


きちんと話したつもりだったのですが、熱くなっていたわたしの身体と同じような、熱い吐息と共に甘えるような声が出てしまいました。

自分が自分ではないようです。


……やだっ、何今の声っ……恥ずかしいっ。


恥ずかしすぎて泣いてしまいました。

子供でもないのに、恥ずかしくて泣くなんて……!


ジルの手はまだわたしを触っています。

嫌ではありません。でも、恥ずかしいです。


わたしの身体はちゃんと女性としておかしくないのでしょうか?


と、ドンドンと扉を叩く音と、ジルベールそろそろ理事長に話しに行くぞ。早く来い。というアロイス殿下の声が聞こえました。


「シリルごめん。可愛すぎて理性吹っ飛んだ。ちょっと頭冷やしてくる。すぐカギかけて。」

ジルはそう謝ってから慌ててわたしから離れ、部屋から出ていきました。


とても焦っているようなのに、最後までカギの心配をしていってくれるジルが大好きです。


わたしはなぜか、ジルの離れていった体温がなくなり寂しく思ってしまいました。


……気がつくとわたしの下着が汚れておりました。……わたしはおかしいのでしょうか? おもらしをしたわけではないのですが、濡れています。


保健では、男性の方の授業しかしておりませんので、わたしはよくわからないのです。母も死んでしまったので、こういうときはどなたに聞けばよいのでしょうか?

うーん、うーん。


そういえば、『下着のサイズを教えてね。お手紙待ってるわ。』と袋の中に入っていたカード。

侯爵夫人に恥を忍んで聞くことにします。下着のサイズも教えてといわれてもわからないからです。測り方もわかりません。

なので手紙を書くことにしました。

ついでに、さっきのことを教えてもらおうと手紙に書きました。


乱れた制服を直して、--思い出すととても恥ずかしいです--部屋の外に出ると、殿下とジルはいなくて、エルネスト様とガスパール様が待っていてくださいました。


わたしを見て目を見開き、

とても似合っている。可愛い。とみなさま言ってくださいました。


わたしは騙していたことを謝り、仲直りをしました。


そして、侯爵夫人に書いたお手紙を、ジルがいなかったのでエルネスト様にお願いしました。

エルネスト様は使いの方がまだいたらしく、すぐに渡してくださいました。


そして、その日のうちに、なんと侯爵家から侍女の方がわたしのために来てくださいました。

侍女の方は、ニーナさんと言います。

とてもお優しく、なんでも知っている方です。

下着のサイズの測り方も教えていただきました。というか、測っていただきました。


これから、亡き母上の変わりに、色々女性として覚えなくてはいけないことを教えてくださるそうです。

とてもありがたいです。

本当は、侯爵夫人がわたしに教えてあげたい。学園に行きたいととおっしゃってくださったようですが、さすがにそれは無理ということで、ニーナさんが来てくださったようでした。

そして、まず今は、わたしを確実に守るようにと言われたそうで、気合がすごいです。


何から守るのでしょうか?


ニーナさんは、理事長のところに居たジルを見て、なぜかジルは小声で怒られておりました。

「婚約も…いうちに……触れ……なにもわからない……それでも侯爵……!」


ジルは思いっきり小さくなっておりました。


ジルを怒っていいの? と心配になって聞くと、ニーナさんは侍女長という、旦那様にもご意見を聞かれるくらいの方だそうで、大丈夫なんだそうです。


それからわたしは、ジルと一緒の部屋だったのですが、もうそれはだめとのことで、ジルの変わりにニーナさんと住むことになりました。

ジルは一人部屋だそうです。


わたしはニーナさんに、

「改めて、卒業まで一年間、よろしくお願いします。」

と言ったら、

「末永くよろしくお願いします。」

と言われてしまいました。


大げさだったので、わたしは笑ってしまいました。



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