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貧乏貴族令嬢ですが男装して入学します  作者: 仲田野 寿
学園編
20/31

13

学園祭当日


生徒の家族だけっていっても、こんなに多いんですね……!

人がたくさんいてびっくりです。


こんな中でジルは模擬戦するのかー。緊張しないのかな?


模擬戦は、二十四人が出場するらしいです。あ、学年ごとになります。さすがに一年生と九年生が一緒に試合することは危険が多すぎてダメなんだそうです。

そういう模擬戦もあるにはあるらしいんですけど、それは模擬戦ではなくなって稽古=胸を貸すことになるそうです。

たまーに恐ろしいくらいの才能のある子がいるらしいのですけど、そういう子は先生が先に特別枠に入れちゃうから、こういう模擬戦にはでないようです。ちょっと見たかったですね。


二十四人からトーナメントで三人まで絞って、三人になったら総当りでやるとのことでした。これは二試合連続だからクジ運もあるみたいです。

そして、二回勝てたら、三位になれます! 賞品は三位まで出るんですって! ジル頑張れ。



わたしたちのクラスの学食は、さすがに午前中は人が少ないようでした。わたしはジルの出番が最初のほうなので、午後からが応対の出番になります。

ただ、お昼はたくさんのお客様が見込まれますので、全員参加になっています。


ということで、みなさんを激励してから模擬戦の会場に向かいます。



王子とエルネスト様と一緒に移動しました。

一緒に見る気はなかったのですが、捕まりました。

だって、ご家族様方がいらっしゃるかと思いまして、王族とご一緒に観戦とか……ありえませんよね!?

あ、王子にはもう慣れてしまいましたよ?


でもご家族様方は今はいらっしゃらないようです。後で来るよとエルネスト様がおっしゃっています。

その前にクラスに戻ることになるだろうから、まあ、いいです。



そしてここは二階です。いつもの稽古している場所ではなくて、外です。

校舎の裏にこのような闘技場みたいなところがあったのですね。魔術学園の方も使える場所にあるようで、たまに練習に来るそうです。

知りませんでした!


と、エルネスト様がジルのことを聞いてきました。

応援する前に人となりを聞いておきたいのでしょうか? ジルはあまり話しませんからね……。

ジルの対戦相手がお知り合いの方だとしても、わたしは断固ジルを応援しますからね!


しかし、ジルを応援してもらいたいわたしは、こうなったらジルをなんとか持ち上げて、お二人にも応援してもらいましょう。と考えました。


そこで、ジルはわたしの大事な幼馴染だということ。ジルが孤児として初めて領地に来たときのことや、逃げ出したこと。一緒にいるようになっていろんなことで遊び始めたこと。神父様からよく怒られたこと(主にわたしが)。牛乳配達をしようとしたら重くてもてなくてジルに助けてもらったこと。わたしが学園を受けると言ったらジルも猛勉強して受かってくれたこと。などなど……。


話していたらただの思い出話になってしまいました……。うわぁ恥ずかしい。


「ふーん? 大事な幼馴染ねぇ?」

王子は意味ありげに言っておりますが、エルネスト様は黙って聞いてくれてました。


「え? もしかして幼馴染って、生まれたときから一緒じゃないと『幼馴染』と言えないのでしょうか?」


「え?」

「え?」


驚いた顔のエルネスト様を見て、あれ、やっぱりわたしの解釈でいいんじゃないの?? と思っていたら王子が失礼なことを言い出しました。


「ぶっは!! シリルお前、ほんと面白いな。うん、予想が付かない。」


王子はわたしに対して失礼すぎると思います。うん。



っと、模擬戦が始まりました。


ジルは三戦目のはずです。


お? 一戦目は、あの剣を飛ばした方ですね。

……あーー。負けたようです。というか、うん、また剣を飛ばされていますね。たぶん、これはお説教なのでしょうか? 誰かが話しかけに行っているようです。



王子がエルネスト様に聞いています。

「今の負けた者は、武官のくせに握力がないのだろうか? 剣を飛ばすのは一番よくないのではないはずなんだが……。他に短剣でも持っているようでもないしな。」


「うーん。そうですね。剣が自分に合っていないのではないでしょうか? あの者は剣ではなく槍にしたらいいのではないかと思いますけどね。

ああ、ほら。OBが。……あれは侯爵家騎士のフェルディナン様でしょうか? 何か助言をしに近づいてくださっておりますから、大丈夫なのではないでしょうか?」


ほほー、あの方がOBなのか。

ああ、侯爵家騎士の方がOBなんだ。って、侯爵家って跡継ぎがいなかった気がするのですが、いたということなのでしょうか? 騎士という事は跡継ぎではない? んー、さすがに貴族名鑑を暗記まではしていないからわからないですね。

……王族の方とその血筋の方だけは覚えておりますが、はい。


んー? 王子やエルネスト様に聞きたいけれど聞いていいものか迷います。

……侯爵家といえば、王族とお身内になりますからね。やめておきましょう!


と、どなたかが王子やエルネスト様に話しかけているようです。

お二人とも立ち上がってご挨拶しておりますね。


って、ま、まさかご家族の方でしょうか!?


なっ!? ええええええ!!?


このお顔は、まさか……だだだだ第二王子様っ! うわぁ! 王子より大人っぽくてかっこいい!!

それにっ、公爵家ご当主様と、侯爵家の奥方さまっ!? 美形すぎます!


王家や先代国王の甥御様と姪御様が勢ぞろい?


ナニコレどんな目の保養!? というかわたしはなんてところに……!?


たたたた立ち上がってご挨拶をしませんと。

あまりの緊張と興奮で、慌てて立ち上がったもののよろめいてしまいました!


って、ひぃぃ! エルネスト様が支えてくださいました。お優しい!

ではなく!!

「もも、申し訳、ございません、エルネスト様っ。」

「緊張しなくても大丈夫だよ、シリル。普通でいいから。」


支えてくださったまま、こっそりとエルネスト様が耳元でささやいてくれました。

ありがとうございます。エルネスト様。とお礼を言ってから、背筋を伸ばして王族の方々に対しての礼をします。


「お初にお目にかかります。シリル=フォン=クレティアンと申します。殿下とエルネスト様には魔術の授業で大変お世話になっております。」


大丈夫だったかな? とエルネスト様を見てしまいました。大丈夫というように、頷いてくださったエルネスト様を見てほっとしました。

王族の方々も、にこやかに対応してくださいました。


あー、粗相しなくてよかった!



と、盛大な拍手で気が付きましたが、……あれっ!? いつの間にか二戦目が終わっていたようです。危ない、次がジルなのに!


頑張って応援しよう。



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