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貧乏貴族令嬢ですが男装して入学します  作者: 仲田野 寿
学園編
14/31

10

さて今現在の教科ですが、わたしは、教養、数、魔術、外国語、経済、歴史(外国の歴史含む)になりました。

ジルは、剣、数、魔術、兵法、地理、経済、と、交換一つで行くようです。


そう、交換はなんと武官志望の授業でもいいのでした! まさかジルが剣と交換するとは思いもしませんでした。

武官の方も経済に来る方もいらっしゃるそうです。デスヨネー、領地経営をするには経済は必須ですよね!


ジルは剣以外はとても優秀な成績なので、もったいない気もするのですが、自分で決めたのですから、うん、頑張るしかありません。



そして魔術ですが、あれは裏技だから言わないでね。と、セルジュさんに言われました。

手っ取り早くするのはあの手が一番なんだけど、それだと授業にならないから、と、少々困り顔で言われました。


わたしは笑いながら、分かりました。と答えました。



もうお分かりかと思いますが、わたしが一番楽しみにしているのは魔術の授業です。

王子様の近くで受けれるなんて!! なんて光栄なんでしょう!


ワクワクしながら待ちます。早く来すぎてしまいました。

なんとなくジルは呆れているようです。


と、ガスパール様とアレクサンドル様がいらっしゃいました。わたしたちを見ると、立てと言うように手を上にあげました。

わたしたちはばっと立ち上がって王子が入室してくるのを待ちます。


ひぃぃぃ緊張します……。


……オーラすごい!

王子は、なんでしょう?何色? 金でも銀でもありませんでした。明るい茶色?橙色?のような少し長めに切られた髪に、緑がかった青い瞳の美貌の王子でした。ジルったら! 紫とか適当に言ったのかしら!?

そんなに大きくないかな?細身です。 ジルくらい。冷たそうですけど怖くはないですね。

しかし、美しいです。


はっ!? ガン見してしまいました。とがめるような目つきをされてしまいましたっ……。申し訳ありません……。


お次の方は、公爵家の方でしょうか?

琥珀色に近い橙色のような髪に、濃い青い瞳。落ち着いた感じのこちらも美しい方です。こちらの方もジルくらいの大きさで細身のようです。


なんという目の保養なのでしょう!?


次の方は、黒髪にこげ茶の瞳の、文官なのに武官のような凛々しく厳しい顔つきの、しかしそれが魅力的に映る不思議な方でした。ガスパール様くらい大きく、どちらかというと武官が似合う体つきのようですね。


次の方は、金髪にわたしと同じ緑の瞳です。なんとなく親近感が沸きました。少し小柄で細身です。わたしよりはもちろん大きいですが。


そして、セルジュさんが入室しました。わたしはほっとしてしまいました。

けっこうな威圧感が貴族の方々からします。ジルは怖くないのでしょうか?



セルジュさんが挨拶をしております。


席の並び順は、セルジュさんを真ん中に入れて、コのような感じです。

上に王子と公爵様。右側にアレクサンドル様と子爵様と男爵様、そして、下にガスパール様とジルとわたしです。


目の前に王子がいるなんて!


そしてみなさまの自己紹介が始まりました。


怖いです。こんなに怖いのは人生初です……。


「アロイス=フォン=エタンセランだ。水の適性だ。よろしく頼む。」

第三王子です。

立ち上がり、みんなを見回しています。


「エルネスト=フォン=エヴラールです。同じく水の適性です。どうぞよろしく。」

こちらは公爵家の方ですね。

優雅にお辞儀をしておりますね。ステキ。


「アレクサンドル=フォン=バルテスです。風の適性です。よろしくお願い致します。」

アレクサンドル様です。

うん、偉そうです!


「フィルマン=フォン=ギャリオと申します。土の適性です。よろしくお願い致します。」

子爵家の方かな?

少しぎこちない感じがギャップ萌えですね。


「ユーグ=フォン=ジェダルジュと申します。風の適性です。よろしくお願いします。」

男爵家の方だと思います。

緑の目です。一緒です。つい微笑んでしまいました。


「ガスパール=フォン=ディノワールです。火の適性です。どうぞよろしくお願いします。」

ガスパール様ですね。

いつも通りです。


わたしですっ!! 緊張します……。

「シリル=フォン=クレティアンと申します。光の適性です。どうぞよろしくお願い致します。」

よっし、終わった。

ほっとして座りました。次はジルです。


と、

「お前は……。」

王子様からお言葉がありました。って、ひぃぃぃ!?

ななななにかご無礼でも…? もしかしてさっきのガン見のお叱りでしょうか!?


わたしはガタッと立ち上がり、王子様を見つめました。怖い怖い。

「お前は、本当に十三か? 声変わりもまだだし、小さいな?」


あああ、ジルから言われてた声を低くするのを緊張の余り忘れておりました……。

これは、なんて言えばいいのでしょう? 怖い。どうしよう?

なんていっていいかわからず口をパクパクしていると、


ガタッと音がしたと思ったら、

「恐れながら……。」

「彼は早生まれなのです。」

「食事はきちんとさせております。」


ジル、ガスパール様、アレクサンドル様の順で王子様に言ってくださっていました。


ぶはっ

王子様がそれを見て笑っております。


「王子。」


エルネスト様が王子様を嗜めておられるようです。


「ああ、すまなかった。早生まれでまだ少し小さいのだな? 分かった。そして食事はしておると。ぶはっ! お前らはこいつの……あー、シリルか? シリルの保護者か何かなのか? っはは! 久しぶりに面白かった。つい、からかってしまいたくなってな。すまなかったなシリル。次いいぞ。」

「いいえっ。」


あー怖かった。

あとでみんなにお礼を言っておこう。


「ジルベールです。水の適性です。よろしくお願いします。」


「ほう? 苗字がないということは、平民なのか?」

「はい。」

「珍しいな。……ああ、しかしセルジュ殿も平民でしたな。ふむ。なるほど。」


王子様はジルを見つめた後、セルジュさんも見て、それから頷いていた。


こうして、恐ろしい自己紹介は終わりました。


あー、なんかものすごく疲れた。


セルジュさんが魔法のことや魔力の身体への通し方を説明しています。

しかしわたしは精神的にぐったりでしたので、右から左に聞き流していました。もう出来ますし? えへへ。


と、急にセルジュさんに名前を呼ばれました。

「ひゃい!」

うわあああ、あまりに驚きすぎて噛んでしまいました……。


ぶふぉ! 王子様が噴出しています……。

エルネスト様もガスパール様もフィルマン様まで肩を震わせています……。


なんという失態を……。


アレクサンドル様は、やれやれ、という顔をして見ています。

ジルは、あーあ。と言っていますねこれは。

なんか応援しているような目で見てくださるのはユーグ様です。


セルジュさんは驚いたように、そして笑いを噛み締めながら、

「シリル、お手本をみせてくれるかい? ガスパール様がちょうど怪我をしておられるんだ。」

「こほん、はい、分かりました。」


「では、ガスパール様、失礼します。」

上着を脱いでくださったガスパール様の左手に打撲の跡が青く残っています。


と、セルジュさんが、わたしの手を掴みました。

みんなに見せるように手のひらを上に向けて、

「ここに熱が感じられてきます。イメージしてくださいね。じゃあ、シリルお願い。」


「分かりました、ヒール」

ふわっとした光が手から出て、ガスパール様の怪我を治していきます。


「ありがとう、シリル。」

くしゃっとわたしの頭を撫でてお礼を言い、また説明に入ったセルジュさん。


もしかしてわたしが授業を聞いてなかったからわざと驚かせたのかもしれません!

そしてこの手本は罰なのかも!


うん、きちんと授業を聞くことにしましょう。



授業が終わってからみんなに先ほどのお礼と、セルジュさんには授業を聞いてなかったお詫びをしました。



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