第4話「遅い真実」
少女は倒れたあと意識の中で声が聞こえた。
「これは未娘のあなたに託された運命。7大賢者を探して。そうすれば道は開ける」
そう告げると声は聞こえなくなった。
(あなたは誰なんですか?)
問いかけても返事はなかった。
ー2時間後
少女は意識を取り戻し辺りを見渡した。
基盤は地上に落下しており、大地を覆っていた氷は先程の隕石によって全て水へと変わっていた。
その水の上に基盤が浮いている状態だ。
辺りを歩いても生存者などいなかった。
残るのは大量の焼けた死体と酷い腐臭だけ。
その腐臭に嗚咽しそうになる。
守れなかった人であったそれを見つめ少女は静かに涙を流しながらひたすら詠唱した。
「ー全てのものを飲み込む業火よ、今我の願いを聴き、辺りを包み込め」
詠唱をし終えると辺りは火に包まれ、やがて全ての死体の火葬を終えた。
ふらつきながら街の方へ出ても見渡す限りの地獄絵図だ。
詠唱に疲れ地面にヘタレこみ、その瞬間王にもらった箱が落ちた。
何気なく開けてみるとそこには一本の桜のかんざしと手紙が入っていた。
「これを読んでいるということは箱を開けたということだな。どうだ?気に入ったか?本来は存在しない筈の日本文化の髪飾りだ。お前の母、ナスタリカが先祖代々受け継いだもので私に預けていたものだ。…と言ってもお前にはまだ明かしていないのだったな。お前ももう16だ。そろそろ真実を伝えよう。お前の母は知っての通り地下牢にいる。あれを閉じ込めたのは私だ。私が恐れていたんだ。お前が未娘と定められ、王として、お前に接せるのかと。どれだけ考えても無理だった。だからお前の存在をなかったことにしようとした。可愛い愛娘だ。そんなことができるわけもなかった。お前はどう思っていたか知らんが私にとっては可愛い愛娘だ。これを読んだ時、お前と家族になれることを祈る。愛する娘よ、生まれてくれてありがとう。
ルゼフ・シュターリアより」