第2話「誕生日」
「どうした。こんな時間に」
少女はそう言われ感情のあまりない瞳を王に向けた。
「いえ。ただ、民衆の事をもっと思って欲しい。そう思っただけです」
すると王の視線が少し鋭くなった。
「こんな時間に来たかと思えば、そんな事か。何度も言っているだろう。民には最低限の食事を与えていると」
「ええ。何度も聞いております。ですがあれでは存分に働けないでしょう」
と、話し終えると外の景色を見た。
「これから強い雨がくる」
「羽は?」
「まだ見えていません。でもきっといつもと同じくらいでしょう」
「わかった。幹部に伝えておく」
「お願いします。では」
「待て」
「?なんでしょう。シュターリア王」
「今日はお前の16の誕生日と聞いてな。これをやろうと思ったのだ」
渡されたのは縦長い白い箱。
「これは?」
「あとで開けてみるといい」
「?ありがとうございます。ではおやすみなさい、シュターリア王」
「ああ」
その後、少女は自室へは向かわず中枢にある地下牢へ向かった。
地下牢の門番に話しを通し、奥に進むと一つの扉に辿り着いた。
その扉にノックを3回する。
すると中から声がした。
「今日も来てくれたのね。今日は誕生日と聞いたわ。門番が話しているのを聞いたわ。だから私からこれをあげるわ」
顔も見えない牢の僅かな隙間からネックレスを渡した。
それは昔初めてここに訪れたときに母と話していたネックレスだった。
「でもこれは母さんが!」
「いいの。これくらいしか娘にしてあげられないし。もらってちょうだい」
「でも!」
そう言い合っていると突然強い揺れが起きた。
するとすぐに門番がこちらに来た。
どうやら羽がやられたらしい。
私は母に軽く挨拶をし、整備室へ向かった。
だが、その途中でそれは起きた。