ミックス・ワールド
この地球には三つの世界が存在する。それらはそれぞれ天界、魔界、人間界という。この三つは別次元に存在し本来交わることの無い世界である。しかし最近は魔界に生息する悪魔の力が強まり、三つの世界のバランスが崩れてきていた。
今まで均衡を保ってきた世界のバランスが崩れると何が起こるか、それは誰一人として知らない。
紫色の空が広がっている此処は2100年の魔界。
「サタン様!南よりマモン軍が北西よりベヒーモス軍とリヴァイアサン軍が進行して参ります。応戦の指揮を!」
「ウェスタン。お前はガーゴイルの集団を連れて迎え撃て!サーチャーは皆を集めろ!」
サタンは自己の部下にそう命じて、右手を前に出す。するとその右手が黒き光を放ちその手の中で《魔剣グラム》が姿を現した。
「皆の衆。この戰、必ず生きて終わらせよ!」
無数の悪魔とその前に立ち応戦を告げるその集団の頂点。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
悪魔の集団は歓声をあげる。と同時に前方から黒い集団が向かってくるのが見えた。
「南にマモン軍が見えてきました。」
サーチャーがサタンに伝える。
「マモンはかなり強い。ルシフェルに応援を求めよ。」
サタンはそう返してマモン軍に向かって飛び立った。
その姿はルシフェルに応援要請をしていたサーチャーから見れば百獣の王が鼠を蹴散らしているようにしか見えなかっただろう。
サタンの前に立ちはだかるは魔剣一の固さを誇るアロンダイトを持つマモンだ。
サタンとマモンが同時に振りかぶり、伝説の魔剣同士が交わる。
「ギィィィィン!」
たった一撃交わっただけで空気が震えた。が、サタンとマモンはそれに構わず剣を振り続けた。辺り一面に衝撃波が伝わった。
そこへベヒーモスとリヴァイアサンも登場した。
「おう、派手にやってんなぁ。おかげで部下らは衝撃波のせいで近寄れなかったじゃねーか。」
「・・・。」
リヴァイアサンがサタン達に文句を言ってベヒーモスは黙って頷いた。
「相手がサタンだからな、今回は俺達の魔力をお前に貸してやるよ。マモン。」
「・・・。」
続けてリヴァイアサンがマモンにそう伝え、ベヒーモスも肯定する。
「りょーかい。じゃあお言葉に甘えて全力で暴れさせてもらうよ。」
魔王三体の魔力が一つになる。それはサタンにとっては恐怖であった。
魔王の中で一番魔力が高いのはサタンであったが、敵の三体も魔王である。特にマモンについてはサタン、ルシフェルとほとんど魔力に大差はない。
「すまん、待たせた。」
「ぐっ!」
ルシフェルが到着とほぼ同時にサタンは力尽きてしまった。
「魔剣なき個体の魔王など話にならん!」
ルシフェルに向かって魔剣が振り下ろされた。その時だった、余りに強大な魔力が一ヶ所で放出され続けたせいで時空が歪んだ。
悪魔は本来命が尽きると記憶を失いその場で転生する。そして頭に魔力を流すことで前世の記憶が蘇る。
彼らにとって知らない場所に移動した。実際には次元融合が起きてしまったのである。その上消滅したサタンとルシフェルが転生されなかった。
地上を見下ろすと見知らぬ建物と生き物がいた。ビルと人間だ。
「ひとまずやつらに事情を聞くか。」
リヴァイアサンがそう呟きそのまま三体は急降下した。
「おい、そこの。」
「っ!!悪魔!?」
リヴァイアサンが話しかけるとその少年は驚いて尻餅をついてしまっていた。
「なにもしねーよ。それより此処は何処だ?」
「に、日本です。」
「何処だそれは?魔界じゃないよな?」
「魔界?だとすれば人間界です。」
「よくわからんがどうも別の世界に移動してしまったようだな。」
現在人間界にいることを知ってリヴァイアサンはそう呟いた。すると、
「おーい左端。何してんだ早くしないと学校遅れるぞ。」
と少年が叫びながら少女二人とこっちに向かってきた。
「「「っ!!」」」
その少年少女は左端同様に驚いた。
「左端何してんだ?そいつらって悪魔だよな。」
「ああ、多分だけど...」
するとリヴァイアサンが左端に尋ねた。
「おい。今お前サタンって言ったか?」
「俺の名前です。風間左端っていうんです。」
「そう言えばお前からは微かに魔力を感じるな。」
リヴァイアサンはまたも呟き続けて少女の一人に言った。
「お前は何て言うんだ?お前からも微かに魔力を感じるんだが。」
「えっ。私ですか?私は流姿笛留です。」
「おい。お前ら二人ちょっとこっち来い。まさかと思うが。」
リヴァイアサンはそう言って二人の頭に手をのせる。そしてそのまま魔力を流し込んだ。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
左端と笛留が頭を抱えて悲鳴をあげた。
「やっぱりな。どうしてか分からんが、どうもこいつらは時間を遡って俺達より前にこの世界に来ていたようだな。」
「っ!!お前ら左端と笛留だよな?なんで悪魔になってんだよ!」
「分からんが、俺らの前世は魔王だったみたいだ。頭の中に前世の情報が流れ込んでくる。」
「私はルシフェルで左端はサタンだったみたい。まだ頭の中が混乱しているけど。」
「やっぱりな。お前らだと思ったぜ。」
リヴァイアサンが納得するように頷いた。
大変短くなってしまいましたがこれで終わりです。
もしかしたらこれの続きを別のタイトルで書くかも知れないのでその時はよろしくお願いします。
後、もしかすると名前が本来と違っているかもしれませんがその時はご了承ください。




