正義の味方ショウプ
「ヒーロー」
それは物語の主人公であり、その物語で一番強くてたくましくてかっこよくて誰もがあこがれる人物。
子供のころに誰もが妄想したことがあるだろう。
けど、そんな「ヒーロー」はいいことだらけなのでしょうか。
僕は正義の味方、そしてみんなのヒーロー「正義の味方ショウプ」だ!!
悪いやつはやっつけて、困っている人には助けるぞ!!
「ヒーロー」はみんなの役にたっているのだ!!
けど、本当はそんなことだらけではない。
実のこと言うと、大変なことだらけだ。
この前の戦闘で建物を壊してしまったり、変質者扱いにされたり、子供達が棒倒ししているところを邪魔してしまったり………。
本当に大変なんだ。
大変てより、いらないよね。こんな「ヒーロー」
邪魔したり、迷惑かけたり………。
やめよう「ヒーロー」なんて。
僕なんかがやってたって何もいいことなんてない。
普通の人生を歩もう。
トボトボと歩いていた。
その時だった。
通り過ぎた公園から何やら男の子らしき声が聞こえた。
「僕ねー。大きくなったら『ヒーロー』になるんだ!!」
「それでねー。お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、みんなみんなを悪い奴から守るの!」
「それでそれで。悪い奴が現れたら僕がやっつけるの!みんな守ってあげる!!」
僕の耳にそう届いた。
「ヒーロー」なんてならないでくれ。そんな冗談はよしてくれ。
そう思っていた僕だった。
けど、公園にいた男の子を見てみると、とても真剣な目をしていた。
その目は、冗談にはとても見えなかった。
「絶対守る」「悪者はやっつける」と言う強い意志が男の子の目に焼きついていた。
「ヒーロー」でも「ヒーロー」じゃなくても、意思と言うとても強く、たくましく、かっこいい感情さえあれば夢は実現する。
そんなことが、あの男の子を見つめていくうちに伝わってきた。
何故だか、僕の目には「涙」がこぼれはじめていた。
「涙」に気がついた僕は、慌てて両手で両目をこすった。
やがて、僕は走り出した。
どこに走り出したって?
自分でもわからない。
けれど、何故走り出したのは分かる。
自分自身が一歩強くなれたから。
一歩一歩下がっていた僕に、一歩だけ進む勇気がわいてきたから。
僕は走り続ける。
目的地なんてない。
「ヒーロー」という「夢」を持つ子供達がいる限り。
僕は走り続ける。