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異世界転生して○○になったった(仮)  作者: 太もやし
第五章 ニセ勇者になったった
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第87話 勝者になったった



 一般には余り知られていないことだが、神聖ノトス帝国では、「魔法妨害術式を組み込んだ建築」の研究が進んでいるのだそうだ。


 魔法による暗殺を怖れる余り、皇帝の居城や、公式行事で皇帝が必ず訪問する施設に取り入れられたのが始まりらしい。

 もちろん、特定の建物に一生引き籠って居る訳にはいかないし、毒殺や武器による攻撃は防げないので、暗殺に対する有用性は絶対ではない。

 むしろ、近年発明された『転移石』施設の作動安定のために、干渉する魔法を排除する必要があるので、魔法妨害建築の研究に再び脚光が当たるようになったのだとか。


 伯父であるとは知らずに街の顔役『イル・イーロ』を訪ねてきた俺たちの、現在居る建物がまさにそんな感じだった。


 魔法が幅を利かせるファンタジーっぽい世界でも、魔法が使えないように細工の施された建物の中となれば、剣の腕が頼りとなる。

 そこで、第二皇子トウマの前で、俺の腕前、実力を量るイベントが発生したわけだが。



「参った。貴殿を勇者と認めよう」



 赤毛の中年・グラハムが放ったセコイ一撃を下し、これで終わりかと思いきや。



「剣士ナブラ、参る!」



 腕試しの次のお相手は、狼獣人の剣士ナブラ。


 狼獣人といっても、灰色の獣毛に覆われた耳が少し尖っていて、口に牙が覗いているだけで、顔立は普人族ヒュームと変わらない。

 少し野性味が強いが、美人と言っていいだろう。

 帝国では珍しい、反りのある曲刀を使うようだ。


 開始の合図があったのに、曲刀を抜かず、少し腰を落とした自然体で構えている女剣士。

 感情の読み取れない静謐な表情は、禅僧のような深い集中状態を保っているように見えた。


 獣人の身体能力フィジカルで力押ししてくるかと思っていたので、一瞬拍子抜けしたが。


(……殺気が読めない!?)


 思わずぞっとした。


 女剣士からは、何の気配も読み取れなかった。

 ――俺の『気』を視覚化して読み取る能力スキルを以てしても。




――――――――――――――――――――




 こちらから攻めていけば、間違いなく斬られていただろう。


(この相手は、多分、「達人」だ)


 そう思わせるだけの佇まいの持ち主。

 曲刀の見た目は金属製の柄や鞘で、「漆塗りの鞘に糸巻の柄」という日本刀の拵えではなかったから気付かなかったが、どうやら彼女は『居合』の遣い手らしい。


 居合で「目にも止まらぬ」速さの斬撃が可能な理由は、1つには、腕だけではなく腰を中心に肩や胸、足運びなどを協調させる、全身を使った「相手に気付かれにくい抜き方」の技術である。

 そしてもう1つは、反りのある日本刀の形状が素早い抜刀に向いていることによる。


 この大陸で普及している西洋風の直剣で同じことをしようとすると、抜くにつれて体の軸から柄が離れていくので、肘を大きく張らねばならない。

 抜ききった状態では腕も伸びきっているので、手首を返す力だけでそこから斬撃を行うのは難しいし、動きが相手にバレバレになってしまう。


 そもそも、斬り合いの予定があるなら先に剣を抜いていた方が有利だが、日本刀の居合――「抜刀術」は、本来、武士の作法・生活習慣の中から生じた技術で、例えば、正座をして礼をした状態から不意打ちをする、突然襲い掛かられた時に瞬時に抜刀して対応する、などの緊急時を想定したもの。

 試合のような場面で使う技術ではないはずだが。


(迂闊に近寄れない……)


 いくら気配を出さない相手でも、斬撃の瞬間には殺気を出すはずだが、俺の『気』を読む能力は相手の狙いが光の白い輝線となって見えるものであって、某魔眼のように未来を予測した映像が見える訳では無いので、斬撃の軌道が見えるわけではない。

 刀が鞘の内にある間は、刃渡りが正確に分からず、正確な間合いが計れないのだ。


 また、居合の達人の抜刀は「タイミングが掴めない」というだけでなく、本当に「見えない」。


 (身体強化の魔法で視力を強化した場合は別として)眼球の水晶体の焦点ピントと視神経の伝達速度の関係上、人間の脳は、一定以上の速さで動いているモノを認識することが出来ない――つまり、本当は「見ることができない」。

 だが、脳には、情報処理をスムーズに行うため、力の向き、速度から、物体の動きを予測して脳内に映像を構築する作用があり、それが現実の物体の動きとほぼ一致するので、連続的に見えていると錯覚している――結果的に「見えている」。


 一般人の力任せの斬撃は、どれだけ早くても本能的な自然な動き――日常的な動作の延長上の動きであり、力の向きや速さから脳が予測可能な動き――つまり「見える」動きなので、反射神経さえ良ければ対応できるのだが。


 居合の達人の動きは、一般人の日常的な動作と懸け離れた所作なので、脳が認識できない――「見えない」動きなのだ。


 生前、日本人の相澤広人だった頃、祖父の形見となった刀の使い方が知りたくて、居合の実演を見に行ったことがある。

 横から見ていれば分かる動作でも正対していると殆ど気付けないし、達人クラスになると全身の動きが協調しているためか、横から見ていても何時抜いたのか分からない速さで、まるで手品か何かで騙されているような気分になったのを思い出す。

 同じ流派の剣を長年修行して、師匠・先輩の動きを目に焼き付けていなければ、その抜刀を正確に「見る」ことは出来ないのだろう。

 よほどの天才でもない限り、初見で「見切る」など不可能だ。


(……どうする?)


 両手に持つ短刀ボウィナイフの短さを、今ほど心許なく思ったことは無かった。

 冷や汗が、ツツっと背筋を伝う。



「おぃおぃ、いつまでお見合いしてんだぁ、お2人さんよぉ?」



 対峙する俺たちの緊張感――「空気」を読まない近衛騎士団長クリーグからヤジが飛んだ瞬間。


(しまった!)


 大声に注意が逸れた俺と、禅僧のような集中状態を保っていた剣士ナブラ。

 ほんの一瞬の隙を衝き、『気』と斬撃が、タイムラグ無しにほぼ同時に襲い掛かってきた。


 感じたのは、ただ白い風――まさに『気剣一致』。

 軌道を読む暇も無く繰り出された斬撃に対し、八卦掌の構えで短刀を握った両手を無意識に突き出していた。


ギャリィィィンッ


(危なかった……)


 自分の未熟さから先手を許してしまったが、何千回何万回と繰り返した八卦掌の基本的な構え――緩やかなアーチを保った両手で上段と中段の正中線を守っていたお蔭で、体勢を崩すことなく、斜め下からの斬撃を両手に持った短刀の鍔で受けることが出来た。

 しかし、勢いを逸らすのでは無く両手で受けてしまったため、「片方で受け、もう一方で攻撃する」という双刀の利点を活かす余裕など無い。


(だが、両手で受けた今なら『纏絲勁てんしけい』で弾き飛ばせる!)


 一見踊りのように見える八卦掌の構えと歩法は、体幹の捻じれから大きな力を発する「纏絲勁」を、タメの予備動作無しにいつでも放つことが出来るよう、独自の発展を遂げた拳法だ。

 考えるより先に、体の中を大きな螺旋のうねりが走り抜け、腕を通って相手の刀へと伝わる。

 刀を弾き飛ばせれば良し、弾き飛ばせなくても、相手の体勢を大きく崩せる。

長い刀を振るうには近すぎる距離、短刀の間合いでこちらが有利――


(なにっ!?)


 ――まるで「暖簾に腕押し」だった。


 弾き飛ばすつもりで押した刀が、何の抵抗もなくスッと降ろされた瞬間。


(下からだ!)


 ぞわり、と背筋に悪寒が走り、何も考えずに全力で回避していた。


 刀を振るには近すぎると思われた距離にも係わらず、巧みに刀を持ち替えた狼獣人ナブラは、腕をほとんど振ることなく、峰に添えた右手や、踏み込みと腰や肩を使った体捌きによって、真下から斬り上げてきたのだ。


 とっさに八卦掌の歩法で体軸ごと移動していなければ、鎖帷子に護られていない股間から下腹部に斬り込まれていただろう。


 そのまま密着するように体側に回り込みながら短刀を突き付けようとしたが、ナブラは片足を大きく踏み込んで斬り上げた状態から、体勢を崩すことなく流れるような動きでそのまま前方に抜け出した。

 クルリと反転して正眼に構えながら、スルスルと摺り足で後退して俺との距離を取る。



「どうして攻撃しなかった? 遠慮は要らないぞ。それとも、手加減したのかね?」



 実戦なら、相手が背中を見せた時に攻撃するべきだった。

 だが、人間の背中側は何本もの骨に護られていて、大型ナイフで動いている相手に斬りつけても骨ごと断ち切るのは難しいので、必然的に突きを見舞うことになる。

 皮鎧のカバーしていない首筋や腰に切っ先が刺されば、致命傷を与える可能性があったので、無意識に躊躇ってしまったのだ。


 それに、背中を見せたのが「誘い」だったように見えた、ということもある。



「試合の相手に全力を出さないのは、侮辱と受け取られても仕方ないぞ?」

「俺は『騎士』ではなく『冒険者』なんでね。試合で勝つよりも大事なことがあるんですよ」



 武勲や体面を重んじる騎士と違い、冒険者とは、『生き残ってナンボ』なのだ。


 俺の命は、簡単には落とせない。

 アルタミラやカゲミツ、アイシャやロジーナやブルー、ブレタやコルス、ついでに駄犬その他。

 俺にとって大事な人々、皆の未来のために、この人生でやり遂げないといけないことがあるのだから。


 第二皇子の御前で実力をアピールする必要はあるが、これは、あくまで腕試しの試合。

 たかが試合のために、名誉のために、「命を掛ける」など馬鹿げている。

 自分が死んだり、相手を殺したりするわけにはいかない。


 だから、俺の流儀で――俺も傷つかず、相手も傷付けずに、勝つ!


(防具で守られていない部分にナイフを突き付けて、俺の勝ちを認めさせるためには――やはり、剣術の間合いではなく、体術の間合い――密着に近い状態に持ち込む必要がある)


 浮遊魔法も(空中の足場として使える)障壁魔法も使えない状態で、こちらから一気に飛び込んで間合いを詰める、というのは悪手だ。

 床を蹴ってジャンプするような動作は、自由落下により放物線の軌道を描くし、何より一旦空中に浮けば、その後、方向転換も軌道修正も出来ないのだから。

 攻撃の届く間合いや着地位置を相手に読まれてしまうばかりか、カウンターの突きを見舞われたら避けられないだろう。

 奇襲が成功する状況以外では使うべきではない。


 ブーツに仕込んだ棒手裏剣を投げて隙を作る、という手もあるが、観客クリーグのヤジにも集中を乱されなかったナブラに、通用するとは思えない。


 相手の攻撃を読んだ上で、相手に先に攻撃させて、それを避けつつ攻撃する――『後の先』、要するにカウンターを狙うのが定石か?



「戦いの最中にあれこれ考えているようではダメだな。迷いがあれば隙を生むぞ?」

「……対戦相手に余裕のご忠告、どうも」



 こちらの内心を見透かしたように声を掛けてくるナブラ。

 一歩も動かず、正眼に構えた刀は微動だにしないが、いわゆる「居付いた」姿勢ではなく、どのようにも変化できるのだろう。

 リラックスしているのに、微塵も隙の無い立ち姿だ。

 格下の相手に稽古を付けているような、一見気さくな雰囲気だが、先程の抜き打ちも斬り上げも本気だった。


(心を乱したら負ける。迷うのはやめよう)


 さっきは受けるので精一杯で、刀をじっくり見る余裕は無かったし、現在はナブラが正眼に構えているため、正面にいる俺からは刀の切っ先が「点」になって見えているだけで、やはり正確な刃渡りまで分からない。

 間合いが読めない以上、斬撃を「見切って」避け、カウンターで攻撃するのは成功の確率が低い。


(さっきみたいに、両手で受けて動きを止めるしかない)


 2本の短刀ボウィナイフを掌の中でクルリと回し、切っ先を下に向けた逆手リバースグリップに握り直す。



「ほう、守りに徹する気か? 『光速ナブラ』と言われたワタシの剣を受けたのには驚かされたが、守るだけでは勝てないぞ」

「……」

「問答無用というわけか。では、こちらからいくぞ!」



 もはや、言葉も余計な思考も不要。

 ただ、最適な反応をし、練り上げた技を繰り出すのみ。


 正眼から上段に変化して一足一刀に斬り込んで来るナブラ。

 分かりやすい太刀筋、これはフェイントだ。

 膝を抜いて沈み込む動作を加速度に変える八卦掌の歩法で、初太刀の斬り下ろしを側面に廻り込むようにして避ける。


 追うように返す刀が逆袈裟に斬り上げてくるのを、両手のミスリルの短刀で弾くように受け流す。

 斬撃が軽い、これもフェイント。


 その場で足を踏み換えて、振り向き様に踏込みつつ上から必殺の斬撃を放ってくる――これが本命!


 刀を上に跳ね上げられて伸びきったように見える体勢から、左肘を鳩尾に引き付け、右手を高く掲げた体勢――これは、示現流の『蜻蛉とんぼの構え』。

 踏み込んだ足を「壁」にして、全身の力と突進力の全てを神速の斬撃へと変える『雲耀うんようの太刀』だ。


 示現流のエピソードで有名なものとして、幕末の戦場で、幕府の講武所師範が受けた刀ごと頭に斬り込まれ、師範が受けた刀は頭蓋骨にめり込んで、敵の刀傷と併せて十文字の切傷になっていたという。


 両手の短刀でも受けることの出来ない、強烈な斬撃――



「っ!?」

「チェックメイト。俺の勝ちですよ」



 頭を斬り割られるしかなかっただろう――その場に居たなら。


 だが、ナブラの後ろを取った俺は、彼女の右肘と首筋に短刀の峰を押し付けていた。


 2撃目の斬り上げを跳ね上げた瞬間。

 俺の姿が、刀を握る両腕によってナブラの視界から遮られた一瞬に、八卦掌の転換で逆回りに廻りこんだのだ。

 俺の進行方向や速度を予測して背後へ振り向き様の斬撃を放ったナブラだったが、結果、最初の位置に戻っていた俺に背後を取られたというわけだ。



「甘いな。ワタシの攻撃が、君を殺すつもりで放ったモノだったのは分かっているはずだ。このまま首を掻き切りたまえ。それとも、戦いに身を投じながら、殺す覚悟が無いとでもいうのかね?」



(アンタ、どんだけバトルジャンキーなんですか)



「TPO(時・場所・場合)ってモノがあるんですよ。戦う必要があれば戦いますし、殺さなければならない相手は殺します。今はそんな必要無いでしょ?」



 昔は、里の近くの森で鹿に似た動物を狩るのにも躊躇したものだ。

 つぶらな瞳と目が合って、勇者流剣術の斬撃を撃てなかったことも何度かある。

 貴重なタンパク源なので、やむにやまれず狩るようになったけど。


 だが、大猿バブーンと戦ったり、ゴブリンなど人に近い形のモンスターを倒した経験から、殺すべき時には殺さなければならないことは学んだ。


 そして、殺すべき相手もいる。


『吸血聖女マリナ』


 転生者でブルーの友だった人物だが、今生の俺の実母・マリエルの仇で、神竜をつけ狙う敵。


 奴だけは許さない。


 将来の禍根を絶つためにも、機会があれば殺すつもりだ。

 『精霊合体』の技は、そのために受け継いだのだから。




――――――――――――――――――――




パン、パン、パン……


 乾いた音が、石造りの室内に反響していた。


 それが、第二皇子トウマからの拍手だと気付くのにしばらく時間が掛かったのは、帝国にもルメールにもエルフの里にも、賞賛をそのように表現する作法が存在しなかったため――要するに、「拍手」というモノ自体を俺が忘れていたからだ。



「もうよい、ナブラ、おぬしの負けだ」

「……御意ぎょい



 項垂れたナブラを解放すると、納刀して皇子に向かって拝跪の姿勢を取る。

 俺も短刀ボウィナイフを鞘に仕舞い、「右に倣え」で跪いた。



「勇者ヨシーロ、見事であった。『光速ナブラ』と『幻惑ケイン』、帝国内で5本の指に入る剣士を2人まで下したそなたの力、認めぬわけにはいくまい」

「お褒めに預かり、恐悦至極きょうえつしごくに存じます」



 ナブラはともかく、『幻惑ケイン』って誰だ?

 と思っていたら、赤毛の中年剣士が会釈しながら『カツラと付けヒゲ』をむしり取った。



「『グラハム・オルコット』は、いくつもある偽名の1つ。平民出身、苗字なんて無い、ただの『ケイン』だ。不意打ちや騙し討ちのレパートリーが自慢でね。魔法が使えれば、おめぇに負けるつもりは無ぇよ」



 そういってニヤリ、と笑って見せたのは、短く刈り込んだ黒髪を持つ、年齢不詳の男だった。

 貴族のような服装も、試合でまさか卑怯な手を使うとは思わせないための演出だったのか。



「ケイン、魔法が使えなかったのはヨシーロも同じ。勝負に『たら、れば』は無いぞ。我らの負けを、素直に認めようではないか」

「フンっ」



 一見、ナブラの抜刀術とケインの奇襲戦法は対照的だが、うまく役割分担が出来ているようだ。

 この2人が護っていれば、並みの襲撃者ではトウマに指一本触れられないだろう。



「それはさておき、我の能力を見せる機会は無かったな。実演は出来ぬが、約束だ。我が切り札を明かそう」



 そういえば、『トウマの力があれば怪我の心配は無い』、というような外野ハゲの失言があったっけ。

 皇族・王族となれば、勇者を懐柔するための婚姻によって、チート持ちの転生者・転移者の血を引いている場合が多い。

 勇者に準ずる能力スキルがあっても不思議ではないような。



「殿下、お待ちください。この者も全ての手の内を曝した訳ではありません。わざわざ切り札を教える必要は……」

「よせ、ケイン。殿下が御決めになったことに口を挟むなぞ……」



 護衛のケインと、伯父イル・イーロが口論を始める。


 一緒に『魔竜討伐』に挑む仲間なんだから、それくらい教えてくれても良いんじゃなかろうか。

 そんなことを考えている俺の横で、いきなり、隣に跪いていたナブラが皮鎧を毟り取った。



「ちょっ!?」



 肌着こそ着けているが、ぶるん、と大きな胸のふくらみが形を露わにする。

 いや、そんなサービス、……うん、悪くないな。



「ワタシが殿下の御力を証明するお手伝いをいたしましょう。殿下、後はお頼み申し上げます」

「うむ」



(何をする気だ?)


 俺が鼻の下を伸ばしてガン見している間に、正座に座り直したナブラが、抜刀するなり、切っ先を自分の左胸にあてがう。



「へ?」



ズブリ


 ……止める間も無く突き刺された刀の切っ先は、血飛沫と共に女剣士の背中から突き出した!




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