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異世界転生して○○になったった(仮)  作者: 太もやし
第四章 村人Aになったった
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幕間4 闇の魔導師見習いになったった(ハーフエルフがダークエルフに弟子入りしましたがなにか)

4章の補足的なナニかです。




 学園に正式に入学した俺は、何となく番長的なナニカになった。



「アニキ、御席はこちらです!」

「アニキ、肩をお揉みしやしょうか?」

「ささっ、アニキ――」


「うむ、よきにはからえ」(棒読み



 同期の初等科生たちがドン引きする中、目の前で愛想笑いを浮かべる最上級生の5人組は、昔、俺とブランカに因縁をつけて魔法で襲撃し、今回アイシャが死にかけた(っていうかほぼ死んでた)事件にも加担した連中だ。


 全員15歳、男4女1からなるこのチンピラ戦隊、実は、巨猿との戦いの後のどさくさに、俺たちを襲撃したエルフ原種主義者のリーダー格や側近の子女だったりする。


 最初のうちこそ、自称高貴なエルフ様が何故にチンピラ風なのか、何故に舎弟になっているのか、何故にアニキアニキとうるさく纏わりつくのか、いちいちツッコミを入れていたのだが、だんだん面倒になって受け入れ体勢になった結果が、現在の『影の番長』(笑 な状況である。


 今回の一件で長老議会の出した結論は、エルフ原種主義者一派の里内での地位降格(彼らにとって最も屈辱的な処罰)に加え、首謀者は拘束、取り巻きは里からの追放とされていた。

 『地神竜の盟友』たる俺や青野氏に弓引いた連中に対し、少々罰が軽い気もしなくはないが、慰謝料として彼らの保有する魔結晶を全て俺に譲渡することと、もう1つの条件によって減刑された結果なのだ。

 その条件というのが、首謀者たちの子女であるこのチンピラ戦隊が『ジョシュの従者となる』というものだった。


 まぁ正直、こんな信用出来ない連中が傍に居ても全くありがたくないけど。

 とはいえ、エルフ至上主義でハーフや転生者を排斥するグループの次代の中核を担う人材が、ハーフで転生者である俺の下に付いている、というこの状況。

 見せしめの人質的な意味と共に、派閥の趨勢を明らかにする政治的な意味があるので、俺にも拒否権は無い。



「……『従者頑張ってますアピール』はもう良いから、自分たちの授業受けてきなよ。」

「うっす、アニキ、失礼しゃす!」

「「「――しゃす、しゃす!」」」



 これから初の魔法実技の授業だってのに、去り際までうるさい連中だ。


 ……誰か、こいつらに従者と舎弟の違いを教えてやって欲しい。




――――――――――――――――――――――――――――――――――




 闇属性持ちと発覚後、他の生徒から隔離されて1人で穴掘りしてたせいで、エルフの歴史や属性魔法入門・理論編など、座学の授業は受けていないけれど。


 『無属性魔法を修得出来たなら、属性魔法の修得は簡単』と言っていた鬼ジジイの言葉通り、実技の授業では、光・地・水・火・風の5属性魔法について、基本魔法をすぐに修得することが出来た。


 光魔法の『明灯ライト』、地魔法の『造地アース』、水魔法の『集水ウォーター』、火魔法の『発火ファイア』、風魔法の『ウインド』。

 攻撃力は無いが、これだけでも、旅をするのにとても便利な魔法だ。

 冒険者には必須と言ってもいい。


 いずれも魔力を操作し、簡単な詠唱で属性イメージを補助して発動させる。

 初心者の壁となるのは魔力操作だが、気功による精密な魔力操作も得意な俺にとって、属性イメージのコツさえ掴めば難しいことでは無かった。



「どうするの、ジョシュ? 1人だけ手持無沙汰になっちゃうけど。」



 俺に話しかけてきた若い女性教諭――ゆったりしたローブを着て、ウェーブした栗色の髪を額冠サークレットで纏め背中に自然に流した、タレ目の優しそうなエルフ女性。


 彼女は、ロゴス隧道越えで一緒のPTになったクローディアだ。

 ルメールで魔法学校の教師をしていただけあって、初心者に優しく噛み砕いて教えるのが上手い。



「う~ん、そうですねぇ」



 本来、1日掛かりで習得出来るかどうか、という初めての基本魔法。

 開始1時間で5属性全部覚えてしまった俺は、完全にヒマである。



「良かったら、魔力操作のコツを掴めるよう、皆の手伝いをしましょうか?」



 他人の魔力そのものを使うことは出来ないが、気功で他人の魔力の流れを導くことは可能だ。


(初等科同期生、エルフの10歳児たちと仲良くなるチャンスかもしれない!)


 ……と、そう思ったのだが。



「「「  ひぃっ  」」」

「気を使わなくてもいいのよ? ほら、エルフは誰でも生まれつき魔力に敏感だし、コツは自分で掴まないとね……」



 一斉に怯えた表情を浮かべ、泣きそうになってる児童たちを見て、クローディアが大人の気遣いを見せる。



「そ、ソーデスヨネ。」



 闇属性持ちで、準魔王の巨猿アスラ・バブーンを倒し、新たな準魔王の狛犬ブランカを従え、傍若無人な最上級生を舎弟にする6歳児。


 怖がられるのも、無理ないかなぁ。




――――――――――――――――――――――――――――――――――




 鬼ジジイの指導の下、ブレタと一緒にする鍛錬は、授業の終わる午後遅い時間に始まる予定だ。

 しかし、現在時刻はまだ朝。


 絶賛ぼっち中の俺は、1人で八卦掌の型稽古――走圏を行いながら、ぽっかりと予定の空いた1日をどう使うか悩んでいた。


(このまま夕方まで八卦掌の稽古をするか? それとも、図書館でエルフ語の精霊召喚詠唱をアルに教えて貰うか? いっそ、天気もいいし、気分転換に、ブラッと出掛けちゃう??)


 ……自由って良いよな、ホント。


 俺が孤高(孤独じゃない、と思いたい)を噛み締めていると、遠くから巨大な気配が近づいて来るのに気付く。


(ん?)


……どどどどどどどっ、ずざざざっ


 俺の匂いを嗅ぎつけたのか、体長10mの巨大な狛犬が土煙を上げながらやって来て、目の前で急停止した。



「バウッバウッ、キゥュ~ン < アニキ、暇なら散歩連れてって下せぇ! > 」

「にーさま、こんなじかんに校庭にいるなんて、じゅぎょうサボったんだぁ!」



 首にしがみついている全身真っ白な美女(中身は幼女)は、妹同然に育った幼馴染、アイシャだ。



「……にーさま、どうしたの、泣いてるの?」

「な、泣いてないもん、涙目になってるだけだもん! っつーか、おまいら良いとこに来たな、我が心の友よ!」



 仕方ないからブランカの散歩に付き合ってやろう、あくまでも仕方なくだけどな!



「アイシャ、にーさまのともだちじゃないよ、お嫁さんだよ!」

「ぉ、ぉぅ。その件は、もう少し大きくなってからじっくり相談しよう。」



 アイシャは神竜の角と融合した結果、外見は大人化してるが、中身は幼女のままだ。

 俺も肉体的には幼児だし。



「それより、今日はもうサボリだ! ブランカに乗って遠乗りしようぜ。どこがいい? 山か、川か、湖か??」

「湖がいい! 見たことないもん!」

「バウッ、ハッハッハ < どこへなりと、お連れしやす! > 」



 目をキラキラさせるアイシャと、尻尾をブンブン振ってるブランカ。


 せっかく基本属性魔法も覚えたし、アウトドアで実践しようか。

 湖で釣りをして、昼飯は魚の串焼きなんていいかもしれない。


 一旦寄宿舎の自室に戻った俺は、背嚢ザックに釣り針や糸、調味用の塩とハーブ、敷物替りの魔獣の皮を詰め込んで、両親の形見のミスリルの短刀を腰に、ロジーナがくれたマントを羽織って、アイシャとブランカの待つ学園正門へ向かった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――




 里を一歩出れば、周囲には鬱蒼とした森が拡がる。

 里の周辺部と街道に隣接する一部は人手が入り、里山的な整備もされているが、それでもモンスターに遭遇する危険の高い魔の森だ。


 本来、属性攻撃魔法と精霊魔法を修得していない子供は、保護者抜きで里から出てはいけない決まりだが、準魔王へと進化したブランカ、山を削り大地に穴を穿つ生体兵器のアイシャ、この強大な戦力を従えた俺は、自由に森を駆け回ることを許されていた。

 まぁ、スキルや魔法だけでなく、本人のLVも上げてかなきゃいけないし。


 だから、ちょっとくらいのモンスター遭遇エンカウントならばっちこい! なんだけど……



「なんでこんな場所に入り込んで、モンスターを刺激してるんですか!?」

「この先に、良い砂鉄の取れる支流があるはずなんじゃ!」

「……ミスリルの材料、良質な鉄探し。」



 里の傍を流れるブエナ川沿いに、上流のワイリング湖を目指す途中、森の奥で闘争の気配を察し、大量の『樹怪トレント』に襲われる人物約2名を発見!


 触手のように伸びてくる木の枝を、両手持ちのまさかりのような大斧でばっさばっさと斬りまくるドワーフの父娘――鍛冶屋のゲーリングさんと、その娘であるブレタ。


 そして、視界を埋め尽くす、トレントの群れ、群れ、群れ。


 まるで、森がそのまま襲い掛かってきたような光景だ。


 トレントは果実のような匂いのフェロモン?で鳥や獣を誘いこみ捕食する、木に擬態したイソギンチャクのような肉食モンスター。

 一体だけではフェロモンの誘因効果が薄いので、群生して『トレントの森』を形成するのが特徴だ。

 やつらは本物の植物ではないので、根に擬態した触手で歩くことも出来るが、ほとんど群生地から移動することは無い。

 トレントの森に立ち入らなければ人間が襲われることは少ないし、追ってくることなんて無いはずだが……



「なんとかブレイドォっ!」



ザシュッ、ずずん


 八卦掌の歩法で転身して触手を躱しながら、ミスリルの短刀から放った勇者流剣術の斬撃で太い幹?を切裂き、3体目を撃破。

 あ、LV上がって11になった、ラッキー!



「きゃー、やー、にーさまたすけてぇー」



メリメリッ、べきべきっ


 向こうで悲鳴を上げながらトレントを素手で引き裂いてるアイシャも、危なげ無い。



「グオォォォォン、ガルルルル……ぺっ」



 一旦噛み砕いたトレントを吐き出して、< こいつらマズイっすよ、喰えたもんじゃないっすよぉ > と哀しげな表情を見せる駄犬も、心配なさそうだ。


 しかし。



「父さんっ!」



 よろけた親方に突き刺さりそうになる触手を、娘のブレタが斧で薙ぎ払い、父親を背中に庇う。



「はぁ、はぁ、歳は取りたくないもんじゃ、ワシのことは置いてゆけぃ」



 鍛冶屋の親方はそろそろ限界みたいだ。

 力仕事が得意でも、戦闘にそのまま使える動作ではない。

 戦士として鍛えているブレタのようには行かなかったようだ。


(既に囲まれた状況、このままでは、物量に押し切られる!)



「やむをえんっ、アイシャ、例のアレだっ!」

「え~、レギダスさんにおこられちゃうよ?」

「大丈夫、後で俺が謝っとくから。――焼き払えっ!」



 こくり、と頷いたアイシャの右手が、明々と輝きだす。

 勇者流剣術の斬撃と同じ、だが遥かに高出力な彼女のビームなら、トレントの森ごと地表を焼き払えるはずだ。



 ヴォォォォォォンッ、という震動と共に、今まさに超破壊光線(仮称)が放たれようとした瞬間。



「そこまでじゃ! これ以上の狼藉は控えよっ!!」



 ぴたり、と動きを止めたトレントの合間からこちらを狙う、弓に矢を番えた褐色肌の狩人たち。

 その中から歩み出て声を上げたのは、スタイルのいい褐色肌の肢体を露出の多い服装に包んだ、耳の長い女性。


 ――ダークエルフだ!




――――――――――――――――――――――――――――――――――




 トレントの大群に囲まれていたせいで、ダークエルフたちの殺気と接近を読み取ることが出来なかったらしい。

 なんか既視感デジャブ


 俺の『気』を読むスキル、乱戦の中では過信してはいけないようだ。



「アイシャ、撃つな! ブランカ、お座りっ!

 ……弓を下ろしてください。

 我々は、トレントに襲われて身を守っただけです。

 あなた方と敵対する意思はありません。」



 2本の短刀を腰の後ろの鞘に差し込んで、両手を上げて戦意の無いことをアピール。

 ブレタと親方も倣い、大斧を地面に置く。



「それならば、何故結界を破って我等の隠れ里へ侵入を試みた!?

 トレントに追われているのがその動かぬ証拠。何か言い訳があるか?」



 結界を破った?


 ゲーリング親方の顔を見ると、頭に『?マーク』が浮かんでいる状態だ。

 しかし、ブレタはハッとした表情になる。



「……父さん、あの魔石」

「おぉ? これか」



 親方が懐から取り出したのは、こぶし大の魔結晶。

 ダークエルフ達の視線が、痛い程集中する。


 どう見ても、ソレが原因です。




――――――――――――――――――――――――――――――――――




「すいませんでしたぁっ!」

「スマンかったのぉ。」

「……申し訳ない」

「ごめんなさい」

「キュ~ン」



 ブレタ達がトレントに追われていたのは、親方がミスリルの材料にしようと持ち去った魔結晶のせいだった。


 魔結晶には、魔力を貯めておく魔力電池的な使い方の他に、契約精霊の憑代にしたり、特定の属性魔法の術式を刻み込んで魔道具として使う、などの方法がある。

 ダークエルフの隠れ里は、周囲を使役獣のトレントに守らせ、部外者やモンスターが入りこまないないよう、視覚や認識を歪ませる闇魔法の『イリュージョン』の術式を組み込んだ魔石で結界を施してあったのだ。


 親方は、炭鉱族ドワーフ特有の鉱床を嗅ぎつける能力で、より良い砂鉄を求めてブエナ川の支流を遡ってきた。

 視覚に頼らなかったために、結界を越えて、偶然にも魔結晶の設置場所に辿り着き、何だか分からないままにアイテムゲットしまったのだ。


 魔結晶を返却した上で、『ミスリルの原料となる良質な鉄を探していただけ、魔結晶はたまたま見つけて持ち去っただけで、隠れ里の存在自体知らなかったし、悪意は無かった』ことを説明し、謝罪した。



「我等ダークエルフは、エルフの里から排除され、普人族からは怖れられ、迫害される運命さだめ。外界と要らぬ軋轢を生じさせぬよう、隠れ里に籠っておるのじゃ。」



 ただでさえ見た目に差異のある少数派で、『光と闇が交わると邪神が生まれる』という迷信?により迫害されているので、警戒心が強いらしい。

 だが、話が通じない相手では無く、どこぞのエルフ原種主義者よりよっぽど理性的だ。


 隠れ里の警備責任者であるダークエルフ女性はリーネと名乗り、俺たちの謝罪を受け入れ、里の案内役まで買って出てくれた。


 それというのも。



「ハーフエルフで、光と闇の両属性持ちとは、なんとも数奇な運命じゃな。

 肌の色こそ白いが、闇属性ならば我等の同胞。客人としてもてなそう。」



 要するに、俺はダークエルフの一員とみなされたらしい。

 そして、俺1人が案内された一室には。



「わたしがおさのソウラです。あなたがジョシュですね? ブルーから話は聞いていますよ。」



 黒髪の者が多い中で、輝く銀髪を持ち、一際強いオーラを放つダークエルフ女性。

 彼女が隠れ里の指導者だった。



「どうして、俺の名を……いや、青野さんとどうやって連絡を?」

「エルフの里でダークエルフが生まれた場合、大昔は魔の森に赤子を放置していました。

 しかし、ブルーたち穏健派の意向により、人道的見地から隠れ里が用意され、ダークエルフの赤子は迫害を受けぬよう、隠れ里に送られるようになりました。

 逆に、隠れ里で生まれた赤子が普通のエルフだった場合には、親の意向に依りますが、里に養子として送り込むこともできます。

 そのために、里の上層部とは通信用の魔道具で連絡を取り合っているのです。」



 理想は差別意識を廃絶することだが、実現が難しいのは人類の歴史が証明している。

 これを隔離政策と取るか、保護政策と取るかは人それぞれ。

 自由を求め出て行った者もいるが、ここに居るダークエルフは争いを好まず、安全な暮らしが営めるようになった点で青野氏一派を評価しているのだとか。



「……そう、ブルーは壮健ですか。私も元気にしていると、彼に伝えて下さい。」

「はい、必ず。

 ところで、俺たちがこの地に立ち寄ったのは、ミスリルの原料となる良質の砂鉄を探しに来たからなんです。ドワーフの鍛冶屋・ゲーリングさんに、砂鉄の採取を許可して貰えませんか?」



 元はと云えば、授業をサボって遊びに来ただけなんだけど、それは言う必要ないよね。


 ブレタ達ドワーフについては、エルフやヒュームと異なり、特に遺恨は無いらしく、魔結晶返還後は警戒を解かれている。

 俺の仲間ということもあるが、隠れ里には鍛冶屋が居ないので、武器、狩猟具や農工具の修理や砥ぎ直しを依頼したい、とのことで、結構引っ張りだこ状態だった。



「ミスリル原料となる砂鉄の採取については、ある程度長期の滞在となると、すぐには許可を出せません。

 しかし、定期的に行商に来てくれるなら皆も喜ぶでしょうし、検討しても良いと思います。」

「ありがとうございます!」



 良質の鉄さえ取れれば、魔結晶については俺が慰謝料として受け取ったモノを使えば良い。


 ブレタには世話になってるし、これから共に冒険する仲間。

 ミスリル製の槍斧ハルバード鎖帷子チェインメイルなど、装備の充実はPTの戦力UPになる。

 彼女の性格からして、無料では受け取ってくれないだろうから、俺の分のミスリル製防具を親方に注文し、代金を魔結晶で支払うことにしよう。



「時にジョシュ、あなたは闇属性魔法を覚える気はありますか?」



 突然何だろう?



「いえ、エルフの里で警戒されるので、今は考えてませんけど……」

「ブルーのスキルに、光属性の耐魔障壁があるのを御存じですか?」



 確か、『光の壁』というスキルだったな。



「ブルーの後継者であるあなたは、いずれそのスキルを身に付けるでしょう。

 私も、同様の闇属性のスキルを編み出しました。もし、あなたが望むなら、私の闇属性の耐魔障壁スキルをお教えしましょう。」

「本当ですか? それはありがたい話ですが……」

「ええ、その前提として、闇属性魔法を修得して貰う必要があります。」



 こいつは悩みどころだ。

 精霊魔法や青野氏の奥義を覚えて、里を出る時がくれば、闇魔法を警戒されることも意味が無くなるんだが、現時点だとなぁ。



「すぐに決める必要はありませんよ。

 この里の門はいつでもあなたに開かれています。覚える決心が着いたら、訪ねていらっしゃい。

 光と闇、両属性の耐魔障壁スキルを修得すれば、『聖属性の耐魔障壁』を覚えられる可能性があります。

 きっとあなたの旅に役立つはず。」

「――聖属性の耐魔障壁っ!?」



 カゲミツの『聖域サンクチュアリ』を思い出す。

 そういえば、カゲミツの実父・勇者ヨシーロも聖属性の耐魔障壁を持ってたんじゃなかったっけ?


 ……なんか、ムラムラと対抗心が湧いてきた。



「お願いします、俺にそのスキルを教えて下さいっ!」



 こうして、ひょんなことから俺はもう1人の師匠と出会い、弟子入りすることになったのだが。


 これが、将来どんな影響を及ぼすのか、その時の俺に分かるはずも無かった。




次章はエルフの里を旅立つ場面から始めるので、書ききれなかった部分を幕間として追加しました。

本当は学園編で徐々に頭角を現してチートになっていく部分を書くつもりでしたが、4章が長くなり過ぎたので割愛。

あと一回、人物紹介・用語説明を追加してから5章を始めます。

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