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異世界転生して○○になったった(仮)  作者: 太もやし
第三章 異世界冒険者になったった
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第47話 交渉人になったった




 異世界で小型戦術核ミサイルをぶっぱなした、傍迷惑な勇者『アガタ結理ユリ』。


 俺たちがミサイルを回収したことで被害は無かったのだが、王族の命を狙った罪で、彼女は裁判も無しに『自決』させられようとしていた。


 せっかく異世界で出会った同郷人だし、話して見れば脳筋ではあっても悪人では無さそうだし。

 彼女を何とか助命したい、と嘆願してみたところ。



「勇者アガタを聖者さまの奴隷とし、その後、聖者さまがアリスの婿となって下されば、間接的に勇者を我が国の戦力にできますぞ!」


「 「 おおっ!! 」 」



 ……何故か、満場一致で俺の外堀が埋められようとしていた。




――――――――――――――――――――




「ちょ、おかしくないっすか!? そもそも、俺が魔族だと分かった以上、『聖者』として認められるわけ無いでしょ!」


「いえ、元が『異世界人』なら、人族以外に転生しただけ、ということで、特に問題ありませんよ? 記録では、エルフの勇者から吸血鬼の聖女まで、その存在が確認されておりますので。」



 しれっとした口調で、俺の外堀を埋めて行くトルメク国王ジョージ。

 魔族でもおkとか、割り切ってんなぁ。


 人族以外の人型種族も多い異世界。

 勇者を人族に限定して転生者を敵に回すより、間口を広くして味方に付ける方針らしい。

 獣人差別があるみたいだから異種族は敵視されるのかと思ったけど、国のトップの思惑はまた別なのかもしれない。


 しかし、エルフの勇者に吸血鬼の聖女か。

 きっと美男美女だったんだろうな。

 俺も、生前の外見のまま赤鬼になって巨大化した『魔神』なんて、名前負けしてる変な固有種じゃなく、エルフか吸血鬼が良かったよ。



「……種族に問題無いのは分かりました。凄く意外ですけど。

 ところで、イスハン王の話では、『国が勇者を独占したり隷属させてはいけない』、という話でしたが、過去に何かあったんですか?」


「それは、ワシから説明しよう。」



 説明しようとしたジョージの代わりに、背後から野太い声が応えた。



「タジーム国王ガラハドだ。以後、よしなに。

 過去に、強大な力を持つ異世界人をコントロールするため、愚かにも、魔法やスキルを用いて精神支配しようとした国があった。

 それが、初代タジーム王の出身国、バグロス海を挟んでこの地から南に位置するローグ大陸に、かつて栄えたタジマ国だ。

 勇者を敵に回したタジマ国が亡びただけで済まず、逆上した勇者は自ら『魔王』を名乗り、他の勇者と各国連合軍を相手に『恭順か死か』を問う一方的な闘争を宣言し、世界規模の大戦――『人魔大戦』を招く結果となった。

 連合軍が辛くも勝利したものの、肥沃な穀倉地帯であった南の大陸は版図の8割が不毛の砂漠地帯となり、初代タジーム王と共に脱出した大量の難民がこの地に押し寄せ、飢餓と疫病が蔓延した。

 連合国に味方した勇者たちは魔王と相討ちとなり、空を守護していた風の神竜『ウィンディア』も倒された。

 その後、百年以上の長きに渡り、この世界の人族は苦難の時代を過ごすことになったのだ。

 各国は『人魔大戦』に疲弊しながらも、穀倉地帯と乏しい資源とを求めて戦乱を繰り返した。

 国家によって討伐されなくなったモンスターからは強力な個体が現れ上位個体へと進化し、新たな勇者が現れるまでの間、対抗する力を持たない人々はモンスターのエサとなる恐怖に怯え、隠れ暮らすことを余儀なくされたという。

 まさに暗黒の時代だった。

 我々は、不幸な歴史から学んだのだ。

 『国家が、異世界から来た勇者・聖者を支配すること、その洗脳および奴隷化を禁じる』

 これは、大陸を超えて、この世界における共通の不文律となっておるのだよ。」



 長いアゴ髭をしごきながら説明してくれたガラハドは、がっちりした体格の毛深い中年男性だった。

 解説ありがとう。


 ジョージが話を引き取る。



「先の不文律は、勇者を世界の敵にさせない、という趣旨だけでなく、一国が勇者を独占することでパワーバランスが崩れぬよう、国家同士が牽制けんせいしあい、『勇者の独占を禁ずる』という意味合いもあります。

 しかし、『異世界人同士の問題には不干渉』ですので、聖者さまがアガタ殿を奴隷にしたところで、我らの預かり知らぬこと。

 他国から口出しされる心配もありません。

 ただし、他の勇者から聖者さまに対して何らかの干渉があるかもしれませんので、一悶着あることは覚悟して戴きますが……。」



 おぃおぃ、ちょっと待て!

 勇者アガタを奴隷にしたという汚名は俺が被って、アガタの武力は国のモノ。

 俺に何のメリットも無いばかりか、



「他の勇者が文句言いに来る可能性あるんですか?

 アガタさんみたいに、『チート持ちの魔族』ってだけで魔王認定して襲ってくるヤツが居るかもしれないってのに!?」


「光神教団の『剣の巫女』愛理殿が後見に付いていれば、問題ないでしょう。

 問答無用で襲ってくるような相手は、アガタ殿くらいなもんですよ、HA・HA・HA……」


「そっか、それなら……安心できねぇよっ?」



 危機感の無いジョージたち。

 俺と勇者たちが争いになれば、アルタミラも参戦して、たぶん、どエライ事態に発展すると思うのだが、……アルタミラの正体を知らないジョージの想定では、俺が危険を負担すれば万事解決らしい。


 そういえば、さっきまでの緊迫した空気はキレイに払拭ふっしょくされ、辺りをヌルい空気が支配しているようだ。

 自分達は安全圏にいる、と王族達は思ってるんだろう。



「俺がアガタさんを奴隷にするとしても、アリスちゃんの婿ってことになれば、結局、聖者と勇者の2人をトルメク国が独占することになりませんか?」



 『勇者の独占を禁ずる』という不文律に違反すれば、他の国だって文句付けてきそうなもんだが。



「国家が聖者さまに強制するのではなく、自発的に協力して貰うのであれば問題ありません。

 そもそも、一国の軍隊より強大な力を持つ相手の自発的な行動を止めることなど、我々には不可能ですからね。」


「異世界人は気紛れで何をしでかすか分からんが、幸いにして意思疎通が可能で、価値観の違いはあれど、心情的にはこの世界の人族と通じるものがある。

 真に深い紐帯ちゅうたいを築くには、魔法による支配や脅迫による強制は却って逆効果だ。

 また、規格外のレアアイテムを始め、莫大な資産を所有している相手には金銀財宝も無意味。

 となれば、異世界人に自発的に協力して貰う手段として、個人的な繋がり――『愛情』や『義理人情』で縛ることが穏当な方法と言えよう。

 つまり、政略結婚だ。」



 なるほど、それで俺を幼女の婿にしようと必死なのか。



「しかし、『情で縛る』なんて、ずいぶん緩いですね? それこそ、気分一つで裏切られるかもしれないじゃないですか?」


「仰るとおりです。

 だからこそ、相手は選びますよ。その点、聖者さまは、おひとよ……善良な人物とお見受け致しますので。

 それに、自発的な協力と言っても、情に訴えるだけではなく、弱みも握り、搦め手で深い結びつきを作るのです。

 聖者さまには、魔族であるが故に『魔王と見做されたくない』という弱み、『同郷人であるアガタ殿を助命したい』というしがらみがある。

 このような人物は、交渉のテーブルに乗せることが可能ですからね。

 我々は、当事者双方に利益のある解決策として、聖者さまを運命共同体に迎え入れる準備がありますよ。」


「もう一つ弱みと言えば、そもそも、故王宮を攻撃して王族に死傷者を出したのは聖者どのですぞ。

 もちろん、流れ弾による事故であり、死者の蘇生に成功した上、損壊した建造物の賠償まで申し出ておられることは重々承知。

 しかし、その一件が無ければ、アガタ殿が故王宮を襲撃することも無かったはず。

 聖者殿の引き起こした事故とアガタ殿の襲撃の件、トルメク国の外戚となるのであれば、纏めて不問とするのが良策と思うが……如何かな、イスハン国王ブルーム、カスガン国王シャナン?」


「異議ありません。異世界人との政略結婚はどこの国でも試みておりますしね。不文律に抵触することも無いでしょう。」

「うむ。ノトス帝国とギリーク連合に挟まれたトルメクに、異世界人を戦力として配置できれば、諸王国の盾となろう。賛成だ。」



 タジーム国王ガラハドの問い掛けに、頷きを返す他の2国の王たち。

 俺の意思とは関係なく、話がどんどん進んでいくんですけど。


 彼らの持ち掛ける話は、王族の外戚として義務が発生するというデメリットもある。


 しかし、俺の存在は、既にこの国の王族たちに知られてしまっている。

 『魔王の疑いのある魔族』として隠れ暮らすような生活をするよりも、『魔族に転生した異世界人の聖者』として彼らの味方をすることで、俺たちの地位を向上させ、ひいては、カゲミツを守るための味方を増やせる、というメリットに繋がるかもしれない。


(どうしたものか。)


 どこかの勢力と手を組む必要があるなら、大国の方が有利かもしれない。

 だが、アガタの助命の件もあるし、諸王国の首都・アイギスにはイクスと愛理の居る光神教団の本拠もあるし、ジョージの国には元勇者であるイゾの領地もある。

 もう、この国でいい気がしてきた。


 ジョージとガラハドの2人からステレオ音声で説得された俺は、既に心が折れ掛けていたりするんだが。



「アガタさんはどうなんです? 俺の奴隷になってもいいんですか??」



 彼女が断れば、この話は成立しない。

 武人の誇りから『隷属の屈辱より死を選ぶ!』とか言い出すかもしれないし。



「私がキミの奴隷となり、キミがアリスの婿になる……、つまり、アリスの夫の奴隷である私は、四六時中アリスの傍にいても構わない、ということだな!!」



 むしろ、鼻息荒く喰い付いてきた。

 論理が飛躍しているが、俺からアリスの護衛を頼めば、そういう状況も可能ではある。

 しかし、どんだけ美幼女好きなんだ。



「それじゃ、アガタさんはジョージ国王の提案に賛成なんですね?」

「ああ。だが、アリスに手出しすることだけは許さんぞ!」

「俺、ロリコンじゃありませんからっ?」

「ふむ、そうか。ならばよし。

 どうしても我慢できない時は、私がキミの欲望の捌け口になってやろう。」

「……いえ、それは謹んで遠慮させていただきます。」



 ドーランで顔は分からないが、俺より頭1つ背が高くて腹筋の割れた雌オーガみたいな方は……ちょっとね。


 いや、それ以前に、俺にはアルタミラが居るわけで。

 これはジョージに確認を取るべきだな。



「実は、既に妻の居る身なんですが、それでも第三王女との政略結婚に支障無いですか?」


「構いませんよ。ただ、その方が王族以上の身分で無い限り、正室はアリスで、その方には側室になっていただくことになりますが。」


「いやぁ、それはちょっとマズイんじゃないかなぁ?」



 王族・貴族との結婚は『身分』ってやつが優先されるのかもしれないが、アルタミラの方が側室になるなんて、彼女が承知するとは思えない。


 もっとも、アルタミラは『神竜』で自称『神様くらいエラい』って話だったから、王族より偉いのかもしれない。となればアルタミラが正妻のままなのか。

 人族社会で通用するかしらんけど。



「――先ほど、聖者さまと一緒に飛び立たれた、あちらの女性のことですね? 砂漠の民のようですが……紹介して戴けますかな?」



 アルタミラは、と姿を探してみれば。


 俺と王族たちの話に退屈していたのだろう。

 褐色肌の銀髪美女の姿は俺の隣にはなく、いつの間にか議事堂の壁際に移動し、王族に随行している文官に命じて持ってこさせたらしき酒を、瓶からガブ飲みしている。

 ぁ、傍にいるカゲミツと愛理にも勧めてる? 未成年相手に……ってこの世界では問題ないのか。



「お~ぃ、アルタミラ~っ、ちょっとこっち来て!」

「なによぉ、このお酒飲み終わるまでの間くらい、待ってなさいよ?」

「ぉ、おぅ。」



 ジョージとガラハドから、生暖かい視線を感じる。



「べっ、別に尻に敷かれてるわけじゃないんですよ?」

「うむ、あまり妻の機嫌を損ねない方がいい、それが家庭円満の秘訣だ(遠い目)。」



(やっぱ、王族でもそうなんだ。)


 厳めしい雰囲気のタジーム国王ガラハドに、人生の先輩として共感を覚えた一瞬だった。


 もちろん、その発言には全面的に同意である。

 そもそも、アリスとの婚姻だって、アルタミラが反対したらお断りするつもりだし。


 その場合は、ガイエナ諸王国のためにアガタの武力と俺の聖魔法を使う、別の正当な理由を模索しようと思う。

 政略結婚の場合ほど対外的に有効な大義名分にはならないかもしれないが、例えば、俺たちの方から持ち掛けて、諸王国と同盟関係を結べばいいんじゃないだろうか?



「しかし、『アルタミラ』とはまた、珍しいお名前ですね。

 わざわざ、『黒い災厄』『暴虐の女王』『暗黒魔竜』の名を名乗るなど、並みの神経の持ち主とは……」

「冒険者の中には、そのような悪名を自称することで自分を目立たせ売り込もうとする者もあろう。

 あまり良い趣味とは思えんが……」



 『アルタミラ』の名前について、ジョージとガラハドの評価は散々だった。

 しかしソレ、本名なんです、彼女の。



「あら、何よアンタたち。ワタシの名前に文句があるっての?」



 酒瓶を握りしめたままつかつかと歩み寄ると、中年男2人をギロリ、と睨み付けるアルタミラ。

 相手が王族でも全く意に介さない。

 そして地獄耳だ。



「まぁ怒らないで。『闇の神竜アルタミラ』は畏怖の対象だ、って話してただけだから。

 紹介するよ、こちらはトルメク国王とタジーム国王。」


「トルメク国王ジョージⅠ世です。」

「タジーム国王ガラハドだ。

 王族を前にその態度、一介の冒険者にしては随分と腹が据わっておるの。お主も異世界人の転生者か?」


「ハァ? 寝ぼけたこと言ってんじゃないわよ!

 このワタシを知らないなんて、無知蒙昧むちもうまいにもほどがあるわ。

 我が名は『アルタミラ』。

 闇の神竜ダークバハムートにして、闇の竜族を統べる者なり!」



 びしっ、と左手を掲げ、ポーズを決めたアルタミラ。

 右手の酒瓶を離さないあたりで台無しである。


 っていうか、よく考えたら正体バレたらマズイことになるんじゃ……



「聖者さま、言いにくいことですが、こちらの女性、心を病んでおられるのでは?」

「異世界から持ち込まれた『ちゅうに病』という治療薬のない病の可能性もある。

なんでも、時間だけが解決できるとか。聖者どのも苦労するのぅ。」

「ぇ、ええ、そうなんですよ、HA・HA・HA……」



 大丈夫、誰も信じてない!

 アルタミラには、このまま厨2の痛い人で通して貰おう。



「人族の王家なんて、ワタシから見れば吹けば飛ぶ塵みたいなモノ。

 頭が高いのよ、ひれ伏すがいいわ!

 それとお酒のおかわりちょうだい!!」



 実際そうなのかもしれないが、口に出して言うことじゃないだろ、ソレ。

 離れた所で話を聞いていたイスハン王が、この発言にキレた。



「なんだ、この痴れ者は? つまみ出せ!」



 随行の護衛や、議事堂警護の兵士たちがわらわらと寄ってきて、剣を突きつける。


 マズい!

 ただの人族がアルタミラをつまみ出すなんて出来るはずも無いし、逆鱗に触れたら、それこそどんな災害が発生するか分からない!



「お、お願いします、みんなでひれ伏して、お酒のおかわり持ってきて下さい、今すぐ!」

「聖者さま、何を言っておられるのです? いくら尻に敷かれているとはいえ、酔っ払いの戯言に我ら王族が従うわけには参りませんよ?」



 誰よりも早く土下座した俺を、疑いの目で見るジョージたち。

 人化しているアルタミラの正体に気付くのは無理かもしれないが、もし人化が解かれた時、彼らの命は風前の灯なのだ。



「って、なんでアイザルトがひれ伏してるの? アンタはワタシのご主人さまなんだから、もっと堂々としてなさいよ!」



 兵士たちの突きつけた剣など、全く気にも留めない。

 むしろ逆効果だ。


 

「それより、コイツら気に食わないから街ごと灰にしてやるわ。カゲミツと愛理を連れて、ここから離れてなさいな。」

「いや、ちょっと落ち着こう!? カゲミツ、ママを止めるんだ!!」

「ママ、おとーさんが困ってるから、やめてあげましょう、ね?」



 アルタミラの腰にしがみついて懇願する俺とカゲミツ。

 「アンタたちどいて、街が壊せない」と言いながら俺たちを引き剥がそうとするアルタミラ。


 アルタミラがその気になれば、本当に王族ごと街1つ消し飛ばすことが可能なだけに、発言内容は『本気』と書いて『マジ』である。


 ここで人化解除されたら、建物が倒壊して、ここにいる者は俺たち以外皆死ぬだろう。

 そして、街の上空でダークブレスを吐かれたら、住人たちも全滅だ。


 ……核ミサイルの次は毒ガスか。

 この街は大量破壊兵器の脅威にさらされるよう運命づけられているのかも?


 涙目になって必死にアルタミラを押しとどめる俺を見て、王族たちも、ようやく事態の急変に気が付き始めた。



「まさか、本当に『暗黒魔竜アルタミラ』なのですか、その女性は?」

「だが、暗黒魔竜は光の神竜と4勇者に敗れ死んだはずだ! そうですな、愛理殿、アガタ殿!?」



 『死の大空洞』で出会ったアルタミラの死骸は、嬲り殺しにあったと言っていい無残なモノだった。

 同格の光の神竜バハムート(イクシオル)だけでなく、勇者が4人も居たなら納得だ。

 愛理についてはそれとなく聞いていたが、アガタもイクスと共にアルタミラを殺害した実行犯だったのか。

 アガタは、スキルでアルタミラの正体に気付いたようだ。



「馬鹿な、この女、確かに暗黒魔竜!? どういうことだ愛理、なぜ暗黒魔竜が生きているっ??」

「ぁ~、アガタさんには説明してなかったかぁ。うん、色々あってね、今は同盟関係なのよね~。ね、相澤くん?」



 どうやら、アルタミラとアガタ、お互いに知らない方が良いことを知ってしまった瞬間だった。



「あら、コイツもあの時ワタシを襲ったうちの1人だったの? イクスとは手打ちが済んだし、愛理はアイザルトの友達らしいから見逃してやってるけど、コイツには遠慮要らないのよね?

 あの時はこのカゲミツを守るのに精一杯で反撃出来ないのをいいことに、よくも好き放題やってくれたわね! ここで借りを返してやるわ!!」



 瞳孔が爬虫類のように縦になり、アルタミラの瞳が人間のものからドラゴンのモノへと変わりかけている。

 『人化解除』を唱えるまでもなく、溢れ出る闘気オーラで自然に人化が解けかかっているのだ!


 彼女の全身から想像つかない量の無形のエネルギーが漏れ出し、議事堂の空気が、深海の水圧を受けたかのように重くなる。

 王族とその随行の文官や警護の兵士など、普通の人族では耐えられない威圧感。

 彼らは冷や汗を流しながらうずくまり、声を上げることすらできない。


 俺ですら生命の危険を感じ、緊張から横隔膜が上にせり上がって、浅い呼吸しかできず、胸が苦しくなる感覚。


 擬音を付けるなら、ゴゴゴゴゴ、って感じだ。




 ……ヤバイ、このままじゃ、アルタミラの黒い武勇伝がまた増えちゃう!?





次話は来月初め頃の予定です。

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