表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/28

第3話

 人はやはり人に興味を持つのだろう。

隆が気になるのは休み時間の斉藤裕紀の足取りである。これが判らない。

普通、人が学校での休み時間に取る行動には3パターンあると隆は考えている。

まず1人行動するケース。トイレに行くか購買でパンを買うケースが殆どだ。

2つ目は2、3人またはそれ以上でグループ行動するケース。この場合は構成されたメンバーによってパターン化が難しいが、同じ部活の仲間で行動していれば間違いなく部活の準備だ。他には共通の友人のいるクラスへ連れ立って出掛けていたりする。

3つ目は教室の中から出ないケースだ。よく見ていると教室から一歩も出ずに毎時間必ず端っこの窓際で集まる特性を持ったグループがあったりする。

斉藤裕紀はどれにも当てはまらない。転校して来て3日目。まだ集団では行動するはずは無い。といっても休み時間に教室の中にはいない。気が付くといつのまにか姿が消えているのだった。


 また、斉藤君がいないのね。

境 菜摘が隆に声を掛けた。斉藤裕紀がいなくなる事に気が付いていたのは同じだった。

彼の席は二人の間に位置するのだから気付かない訳は無い。

でも、いつも気付くとそこにいない。それでいて次の授業にはきちんと戻ってくるのだ。

ときどき、影のようにうっすら透き通って消えてしまいそうに感じる。

菜摘の斉藤に対する印象はそうだった。

3日目だからだろうけど、まだ斉藤裕紀の事が良くわからない。聞くと隆も同じように思っていた。

 菜摘と隆が理解した斉藤裕紀について。

背が高くて足が速い。

割と勉強はできる。

無口だが、暗い奴じゃない。

群れる事は好きじゃない。

隆はそれに付け加えた。すぐにどこかに消える。

そうそう!と菜摘は笑った。

3時限目の始業ベルがなる頃に斉藤はふらっと戻って来た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ