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チート系主人公の横に立つ人  作者: 蓬莱の人々
2/2

自殺希望者発見⑴

初投稿です。

今日もいい天気であった。


曇天であるが厚い雲の隙間から紫がかった青色の空が見える。珍しく太陽が見えるかもしれないと少し気持ちが明るくなった。


午前は数学、国語、英語、化学とかなりハードなスケジュールであったがなんとか乗り切った。


何をやったかほとんど覚えていないけど。


まあ、とにかくそんなこんなでお昼の時間である。


数十年前に東欧と中東の紛争をきっかけに発生した第三次世界大戦から以降、核の灰や土埃からなる分厚い太陽光遮蔽層のお陰で、伝説の遺物となった野菜とか畜肉はなく、培養されたそれらしいものが私たちの給食だ。


嫌に酸味が効いていて、甘かったり塩辛かったりするが、食べないわけにはいかない。

味覚を閉じて胃の中へ収めていく。


嗚呼、午後の授業も憂鬱だ。

なんたって一番ややこしい現代史と古典文学だ。



………………………




放課後になると基本的には帰宅となる。


昔は部活なんてものがあったみたいだけど、今の時代死ににいく様なものだ。

長生きしたければ呼吸を抑える。放射性物質を体に入れない様にするしかない。

まあ、それでも耐性を持った人は多いらしくて、廃れてはいない様だけど、我が校は無い。


暗雲の下にある我が校をふりかえり、あった筈の青春を想起しようと思っていたその時。


私は屋上の柵外に立つ、あゝ、勇気100倍の人物を見つけてしまったのだ。


血の気が引く。

まさか飛び降りて、爆散はしないだろうか、と。


関わりたく無いという気持ちとは裏腹に私は駆け出していた。

職員室へ駆け込み、先公どもに事態を伝え、群れを作って屋上へ押し寄せた。


先公の1人が、何をしているか、命を大事にしろだの喚く。煩い。


彼は悲壮な顔をして呟いた。


「私にはとてつもない力がある。飛び降りたとてなんともありません。気にしないでください。」


あー、あれか。中のニの病か。

わかるわかる、私も3年前は、、、うっ、頭が。


先生方は。それぞれに彼を止めようと試みる。

されども彼がこちらを気にする様子はない。


「まあまあ、そこの彼、早まるもんじゃない。私もとてつもない力を持っていると3年前はおもってたんだけど、実はなんの力もなかったのじゃ。多分気のせいじゃ。」


自らの傷を開きつつ、背中に生ぬるい目線を受けながら彼へ近づく。


「おおう…」


ダメージにはなったようで、その先に異能で彼との距離を縮め、その腕を掴んだ。先公どもからどよめきが生まれる。


異能とは件の戦争で未知の放射性物質が放たれ、後代で生まれた子供に先天的にあった特殊能力だ。


個々違う能力を持っているらしいが、何百万もあってたまるかとは思う。


私の異能は他との"物理的"距離を操作することであるが、まあ後々詳しくお話ししましょう。

まあこれも増えたり減ったりするのでややこしいですけどね。


「へ?あっ」


その勢いで落ち始める私と彼。

ギリギリで柵を掴む私を彼は無表情で見ている。


「私の異能は108個ある」


あ、ここ、古典文学で聞いたフレーズだ。


「そのうちの一つ、生まれ変わりで私は134567回目の人生だ」


「あん」


◯感帯のお耳を刺激された結果、私は柵を離してしまった。

かつてのJR線の駅の最高標高の様な数字だな、と思いながら彼と落ちていった。

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