座学とリアクター
最初の決闘から五日が経過した。最初の一週間Aクラスの生徒は自習と位置付けられた自由時間を設けられ殆どの生徒は決闘に明け暮れたり、機体の調整を行ったり、仮想訓練に籠ったりと気ままに過ごしている。そんな中俺は、Cクラスに交じって基礎知識の授業を受けさせられていた。どうしてこうなったというと時は遡り三日前、俺はアリシアに説教されていた。理由は簡単だ。俺にレリックに関する常識的な知識すら欠落していたからである。ジジイの元にいた時から俺は魔物だろうが対人だろうが関係なくレリックに乗って敵を倒すことしか教わっていない。そんな俺の知識不足はアリシアの逆鱗に触れた。そして半ば強制的に座学をさせられているというわけだ。毎日アリシアにノートをチェックされるため雑な字ながら必死に板書を写す。今日の講義はレリックの心臓、リアクターについてだ。
「えー、先日の講義でもご説明した通りレリックの始祖は四機神とされています。その中で人類の技術向上の為に己を分解して提供したヘパイストスのリアクターを模して世界に流通しているレリックのリアクターは製造されています。オリジナルたるヘパイストスのパーツは9割以上が行方不明でリアクターも行方知れずとなってしまっています・・・」
あまりにも講師の話が長い。退屈しのぎにテキストに目をやる。配布されたテキスト曰くリアクターは特殊な加工が施された魔物の素材を使って製造された"消えない火”を中核にしている。この火は搭乗者に呼応するように誰かが乗る事で火力を増し、それに伴い出力も増大していくそうだ。リアクターの質はこの火の周辺部品の品質や精度にて決定されるらしい。確かアリシアが昔リアクターを自作してそれを見たジジイの目は娯楽版画のように飛び出ていたな、そんなことを考えるうちに講義終了のチャイムが鳴った。座学はあと一日耐えれば終了だそしたら解放されると思うと自然と軽い足取りで格納庫への帰路についた。
「あら、まさかCクラスに混じっているなんて、やっと見つけたわ王国の合成獣」