クラス分けと決闘
俺はアリシアの開発したある技術のお陰で苦もなくハイドできていた。そして試験開始から1時間ほど経った頃、試験終了を知らせる合図が鳴り、広場へと転送された。広場にはAクラス、Bクラス、Cクラスそれぞれが纏まるように転送されていた。BクラスとCクラスはレリックに乗っていないので一目瞭然だ。俺はレリックのそばに立つAクラスの生徒たちの機体に目をやる。まずヴァルキリーに乗っているのは一人だけ、恐らく運良く生き残れたのだろう。目についたのは出自が分からないが赤い高機動型と思わしき機体に黒い帝国の機体、あれは恐らく最新鋭機だろう。蒼いアレは聖教国の高い位の人間しか乗れないチューリップタイプだ。そして我が王国の王族専用機、蛇の王アナコンダ。確か第二王女様が同世代だと聞いた記憶がある。その隣には第一師団のエリートや師団長しか乗れないはずのコブラが見える。どうやら注目を集めているのはこちらも同じようで周りから数奇の目に晒された。そりゃそうだ見てくれは30年前のオンボロだからな。
暫くするとメカニック科の試験も終わったようでアリシアがやって来た。
「すごい機体が揃ってるねーアレ見た?アナコンダとコブラだよ?誰が整備してるんだろう?」
「僕だよアリシア嬢。」
「ジョン君!?」
「ジョナルドだ!このやり取りはやり飽きたから置いといて君もやはりアカデミーに来ていたか」
「誰だコイツ?」
「君こそアリシア嬢と一緒みたいだが誰だね?」
「えーっとねジョン君は私と一緒に師匠からメカニックのイロハを習ったんだよ!そしてクロウは、、」
ジョンの耳元で小さく喋る。
「お爺ちゃんの弟子なんだ。」
「成程老獅子殿の、、機体も見てくれこそガラガラヘビだが中身は上等に見える。おい、クロウと言ったなアリシア嬢は貴様に任せるがくれぐれもこちらのお嬢様はともかく王女様に危害を加えるなよ!」
「ここは王国じゃなくてアカデミーだ。だが帰ってすぐ打ち首は御免だから向こうが敵対してこない限り此方からは手を出さない」
俺の回答を聞くとジョンはコブラとアナコンダの元へ帰っていった。
「ところでクロウ教員が投入される前に試験が終わったみたいだけど目立ってないよね?」
「俺は一機も落としてない。暴れたのは他の奴だ。」
「ホントね?ならいいんだけど」
「そこの銀髪の美しい君?」
アリシアと歓談していると割って入って来た礼儀知らずが現れる。
「でね?メカニックの試験のここが引っ掛けでね」
「呼ばれてるぞ?」
「知らないわよあんな奴」
「ムキー!僕は由緒ある帝国の貴族でさっきのクラス分け試験で7機も落としたんだぞ!フンそこの男!そんなオンボロの機体でどうせ運だけで1機も落とさずに生き残ったんだろう!」
「確かに1機も落としてないな」
「そんなオンボロと男は捨てて僕の所に来ないか美しい君!」
「、、、して、、クロウ!こいつ完膚なきまで叩き潰して!」
「いやさっき目立つなって、」
「こいつガラガラヘビの事をオンボロって言ったのよ!絶対許さないんだから」
どうやらアリシアの逆鱗に触れてしまったらしい。
「いいだろう僕がこの男に勝って実力を示せば僕のメカニックになりたくて仕方なくなるさ」
そうして今期のアカデミー一年、最初の決闘が始まった。