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喫茶と怪しい少年

「吾輩の奥の手を出させた事誉めてやろうッ!教員権限でクロウ、貴様に15APを付与するッ!」

機体を失い演習場のモニタールームに一堂に集まったAクラスの生徒たちは唯一人システムダウンした機体に取り残されたクロウに注目する。確かあいつは帝国貴族に唯一泥を付けた奴だとか見てくれは旧型だが近代化改修されてるのかもしれないだとか話題になっていた。リン曰く帝国貴族の坊ちゃんは一人不快そうな顔をしていたそうだが。

ゴリ先生は戦斧を元に戻すと講釈を始めた。

「良いかッ貴様らッ吾輩に手も足も出なかった事で自分たちがまだまだヒヨっ子である事を理解しただろう!明日からは近接防御の実習を行う!機体が直らなかった者はヴァルキリーを借りてくるようにッ!以上ッ!解散!」

俺は話を聞きながら機体の再起動を済ませる。スタンバトンは機体を破壊する武器ではなく一時的に無力化する武器だ。勿論実践ではその一瞬が命取りになるのだが。俺はモニタールームに寄ってリンを拾い、ガレージに戻った。アリシアも授業が終わっていたようでガレージで合流する。アリシアにスタンバトンを食らった事を話すと少し機体をチェックした後、問題なかったようで大丈夫と言われた。リンが今日の報告会も兼ねてお茶しないと提案してきた。アリシアも賛成しているので俺に拒否権はない。3人でアカデミーの町エリアに繰り出す。町エリアには雑貨店や書店があり軽食などが食べれる学食もある。町エリアでは他の学年の生徒もいる。美少女二人を連れている以上下手に目立ちたくないのでメインの通りから外れた人気のない場所の学食に入る。小さな学食にはカウンター4席と4人掛けのテーブルが2つありカウンターには一人の少年が座っていた。

「おや?マスター、僕以外の客が来るなんて珍しいねぇ。あぁ君たち一年生かな?そこのテーブルを使うといいよ。」

マスターは言葉も発さず無愛想にカウンターの前で皿を磨いていた。

俺たちは少し警戒しながらテーブルに腰掛ける。何かあってもすぐ逃げれるように通路側に女性二人、壁側に俺が座る。本来俺が座っている方が上座になるがこうゆう未知の場所では警戒するに越したことはない。いや場所ではない。警戒すべきはカウンターに腰掛けている少年だ。ニコニコしながら糸目でこちらを見ている少年は尋常じゃない気配がする。リンも同様に感じ取っているようでかなり警戒している。

「キミたちここのマスターの紅茶は最高なんだ。是非飲んで行くといい。苦いのが苦手ならミルクと砂糖がテーブルに備え付けられてるよ」

糸目の少年は俺とリンが警戒しているのも気に留めず気さくに語りかけてくる。

「あぁ紅茶には甘いものが欠かせないね。大丈夫クッキーもパンケーキもあるよ。ここだけの話僕はねぇパンケーキにバターとレモンを塗ったのが一番のお気に入りだよ」

「じゃぁそれを3つお願いします!」

アリシアが無邪気に声を出す。

「クロウは酸っぱいの大丈夫だよね?リンちゃんは?」

「私もそれで大丈夫よ」

マスターは注文を受けると厨房の奥の方へ入っていった。

「うん。先輩の薦めに素直に従うのも新入生として大事なことだ。じゃ、僕はお茶終わっちゃったからお先に失礼するね。多分君たちとはまた会うことがありそうだまた、近いうちに。」

そう言って糸目の少年は扉から出て行った。

「なんだったんだアイツ」

リンはさぁと言わんばかりに首をかしげてみせる。

暫くしてマスターが紅茶とパンケーキ、そして2つに割られたレモンを持ってくる。片方は紅茶に入れ、もう片方はパンケーキに塗るとジェスチャーで説明してきた。マスターが厨房へ引っ込むと俺たちは今日の授業の報告会を始めるのだった。ちなみに紅茶もパンケーキも本当に絶品だったのは余談だ。

設定解説:帝国

王国の西にある大洋を渡った所にある島国。国民皆軍という、老若男女問わず全ての帝国民は軍籍を持ち、幼いころからレリックの訓練を受ける。資源の殆どをさらに西の海を渡った先にある魔大陸への遠征で賄っており魔物産の資源に富むが領土は狭く国力は大きくない。少数の貴族が軍内部の高い地位を独占しておりレリックの実力にも秀でている。レリックの特徴としては碌に補給の受けられない魔大陸遠征での運用を基盤としているため帝国の機体は近接戦に特化している。

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