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ゴリ先生と戦斧

Aクラスの入学後の自由期間が終わり本格的に授業が始まる。他のクラスはこの期間でレリックに関する知識を身に着けたり基礎操縦訓練を受けていたがAクラスはその期間殆どの生徒が決闘に明け暮れクラス内でカーストを形成していた。そのトップに君臨するのが王女様と聖女様と帝国貴族。それぞれが派閥を形成し王女様と帝国貴族は10人聖女様の下には8人とAクラスの生徒が綺麗に分かれていた。どの派閥にも属することを選ばなかった俺とリンは人数合わせで聖女様の派閥の助っ人として振舞うことになる。そしてやってきた最初の授業はゴリ先生の担当だ。レリックの近接戦闘に特化した実習である。

「良いかぁ!貴様らはAクラスになって自分の事を強いと思っているかも知れんがまだまだひよっこである!!手始めに近接武器のみで吾輩にかかってくるが良い。全員同時にな!ガッハッハ!」

ゴリ先生のレリックはパワー型の大型機体だ。巨大な戦斧を肩で抱えている。ゴリ先生の言葉で特に実力主義の風潮が強い帝国貴族の派閥の10人と他派閥の数名が一斉にゴリ先生に飛び掛かるが戦斧ひと薙ぎで3機また3機とゴリ先生に斬り捨てられる。

「ねぇクロウ貴方ならゴリ先生に勝てるかしら?」

「今のが全力なら勝てるか五分までは持ってけるだろうがどう考えても手を抜いてるな」

「同感ね」

「どうした貴様ら!活きが悪いな!もっと本腰を入れてかかってこい!吾輩に一回斬り捨てられるまで今日の授業は終わらんぞ!!」

「だそうよ私はレリックが近接戦に不向きすぎて乗ってるの借りてきたヴァルキリーだし一回やられて来るわ」

「リンのやられ様を参考にさせてもらうよ」

アリシアに機体を直してもらったばっかな手前出来るだけダメージを少なく負けなければならない。まぁゴリ先生は構わず一刀両断してくるだろうがリンも瞬殺され次第に挑む生徒が居なくなってくるとゴリ先生の方から攻めてきた。巨体に似合わず早い。帝国貴族も王女様もケーキにナイフを入れるかのように両断されていく。俺は一撃目を寸でのところで躱し二撃目をロングソードで攻撃を逸らして一人無傷のまま残る。ゴリ先生の近接戦スタイルはジジイとは対極だ。どちらかと言うと第一師団長のオッサンに近いか近衛騎士団長でもあるオッサンは王国で一番近接戦の強い男だ。名前は何と言ったかまぁ一人称がオッサンだったし思い出せないのは仕方がない。話を戻そうオッサンの流儀は圧倒的パワーとスピードでまるで一方的に制圧するかのような近接戦をする。それに対してジジイと俺は技巧派と呼べばよいだろうか、生身の剣術と同様の技術をレリックで再現するのが真骨頂だジジイ曰く人機一体の呼吸だそうだ。

状況はゴリ先生と俺のタイマンになる。俺はロングソードを両手で構える。そもそもレリックでの近接戦に於いてロングソードを両手で構えるパイロットは少ない。近接戦では殆どが片手に盾を持つ。いや半数は両手に構えられないと言った方がいいか。理由は簡単だ。両腕の可動域的に辛うじて両手持ちは出来るがいざ振るとなるとぎこちない動きしか出来なくなる。俺とジジイの機体は稼働の妨げになる装甲を減らしたり引き出し関節?とかいう変なギミックでその問題をクリアしている。人間の練兵では両手持ちするのにレリックでは片手持ちしかできない。つまり殆どのパイロットは人間の剣術とレリックの剣術を別物だと認識している。だがそこを逆に考えたのがジジイの言う人機一体の呼吸だ。両手持ちにより従来より細かな動きが出来るロングソードは相手に大きな脅威となる。だがゴリ先生の巨大な戦斧を正面から受け止めてはこのレンタル品ではすぐ折れるだろう。事前に理想の動きを頭に叩き込む。戦斧を少ない力で受け流し間合いを詰めてカウンターを決める。ゴリ先生の方から仕掛けてくる。フェイントで右に少し機動してすぐに左に動く。この速度で機動にフェイントを混ぜれるのはかなり対人慣れしている証拠だ。戦斧が斜めに振り下ろされる。読み通りだ。ソードで戦斧の軌道をそらして懐に飛び込むあとはソードを突き立てるだけだが突然戦斧の柄が眼前に迫る。この戦斧はかなりの重量のはず。一瞬で引き上げられるわけがない。俺のレリックは顔面から戦斧の柄に飛び込む形となるその瞬間足元を見れば戦斧の刃が落ちているのだ。成程ブレードを着脱してその柄を軽量なポールアームとして使うそしてこの柄にもギミックがあるだろう、スタンバトンだ。超高圧の電流が機体に流れ俺のレリックのシステムはダウンした。

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