魔獣襲来
エルシードはエルセフィアとの逃避行も半ば、ミリス帝国からアルカテイル領を奪い返す交渉を行うべく、ミリスの首都アリオラ入りしていた。そんな中、意図せず天界の魔女セルフィエルとの再戦が、、、
エルシードとエルセフィアは、現場に到着した。
上空を赤く染めた外壁門の内側が見えてくる。
そこには、首を7つも持った巨大な竜・腕が6本ある一つ目巨人・黒い炎を吐き散らす翼の生えた巨大なトカゲが暴れ回っていた。
迎え撃つのは、ボルコフ将軍率いるミリス王国主席兵団と、召喚された3体の黒龍であった。戦況は、敗色濃厚ですでに2体の黒龍は、戦闘不能である。
上空には、何やら怪しげな魔力が渦巻いている。確実に大天使がいる・・・でも、ここはボルコフにも恩を売っておきたい所なのである。
「お困りですか?ボルコフ将軍。」
「き、貴様はアルカテイルの魔剣士か?」
「お手伝いが必要でしたら、貸しでよければ協力してもいいですよ。」
「おのれ、つけ込みおって・・・ならばあの魔獣どもを何とかせい!」
「貸しですからね。」
エルセフィアが追加で、鎮痛魔法をかける。
「エルセ、少しだけ待っててね。」おでこにキスをして空中浮遊で旅立つ。
『身体強化・空間切断・空間転移!』
一気に黒炎トカゲの首に取り付き、絶対切断で首を薙ぎ払う。
間髪いれずに一つ目巨人の目の前に転移、正面から真っ二つにきりふせる。
残るは、ヒュドラのみ。
『多重空間切断!』
瞬時にバラバラになり四散してしまった。
「ば化け物め!」ボルコフは、呟く。
あっさりと魔獣を始末したエルシードに、天空から、声がきこえる。
「ここに居たか、探したぞ、魔剣士の王子よ。」セルフィエルが現れる。
厄介な大天使との戦闘が始まってしまった。
『ホーミングフリーズスピアーズ!』多方向から誘導攻撃魔法が襲う。
『空間障壁・空間転移!』避け切れない攻撃を障壁で防ぐが数が多い。
3発の攻撃を受けてしまう。
「やはり、ダメージが残っているみたいだね。動きが悪い。」
先程の一発が右腕に決まってしまい、剣が思う様に振れない。
不味い、今度こそやられる。
『アルテミスティアーズ!』セルフィエルの必殺の矢が放たれる
≪ガキィィン≫空間転移で割って入ったエルセフィアが攻撃を弾く。
エルシードを抱えると空間転移で回避、建物の影に隠れる。
「主様大丈夫ですか?」心配そうに攻撃の撃ち込まれた傷を確認する。
「右腕がやられちゃってる・・・これじゃ、閃空刃は打てませんね。」
圧倒的に不利であった。
「主様、私が時間を稼ぎますので逃げてください。」
エルセフィアの久々に見る闘志が、頼もしくも悲しかった。
「大丈夫、まだ僕も戦えるよ。今ここで君を失うわけにはいかない。魔導士として戦うから一緒に行こう。君を一人にはしない。」
エルセフィアは少し泣きそうになりながら答える。
「はい!一緒に生き残りましょう。」
話し終わると、すっと無表情になるエルセフィア。
『身体強化・エンチャント空間切断・多重空間転移』
魔法をかけると一挙に飛びだす。
「ああああぁぁぁぁつ」
エルセフィアはセルフィエルの真正面に出現すると同時に絶対切断を纏った細剣を浴びせかける。
セルフィエルは転移して躱すがすぐ後ろに連続転移したエルセフィアは閃空刃で凪ぎ払う。
「っち・こいつの動きは、調子のいい時の魔剣士王子並か?」必死に避ける。
「ならば、手加減なしだ!」
『ホーミング・フリーズ・スピアーズ!』誘導型多段攻撃がエルセフィアを襲う。
転移して出現する場所を先回りして攻撃が集中する。すべてを回避するのは困難な攻撃がエルセフィアを襲う。
《ドキャガガァァ》エルシードが遠隔からエルセフィアの周囲を空間障壁で守る。
『多段空間切断!』
エルシードも一気にセルフィエルに攻撃を加える。
転移で逃げたはずのセルフィエルの背中にエルセフィアが一閃!セルフィエルの背中から血しぶきが上がる。
そのまま、転移で距離を取りながら空間隔離でセルフィエルの拘束を試みる。
『ディメンションケージ!』
囲み切る前にセルフィエルに破壊されるが、エルセフィアは、すでにセルフィエルの正面に再び転移しており絶対切断の一撃を放つ。
「こいつ、本当に人間か⁉」必死に避けるが、左腕が切断される。
距離を取るセルフィエルは叫ぶ。
「お前、ここで生かしておくと後で憂いとなりかねないな!ここで死ね!!」
『ケラウノス!』
絶対神の使う、すべてを破壊する神の雷である。
エルシードは咄嗟、空間転移からエルセフィアを右腕で抱きかかえると
『インテグラル・ディメンション・ケージ!』
自分とエルセフィアを隔離保護した。寸前で間に合う。
《ズドドドドドオオオォォォォォォン》
この世の終わりを思わせるような大きな地鳴りとともに巨大な雷が大地すべてを吹き飛ばす。
ミリスの首都の半分は灰になってしまった。
空中には左腕に痛手を負った大天使1柱と、隔離空間に守られた2人の魔剣士が対峙している。
「おのれ、他の番もこれ程に鍛えられているとはな、舐めてかかっていたわ!だが貴様がここにいる事はわかった。次は覚悟しろ。」
激しい戦闘は一旦幕を閉じた。
エルセフィアは剣を握りしめたまま震えが止まらない。
「ありがとう、エルセがいなかったら、やられてた。」
「とんでもありません。主様がこんな恐ろしい相手と戦っていたなんて、震えが止まりません。」
「我々どちらか一人なら間違いなくやられていた。」
『ハイヒール』エルセフィアはエルシードに抱き着くと治癒魔法をかけ始める。
「また怪我が増えてしまいましたね。」
「これぐらいで、済んでよかったよ。でも、エルセはやはり強くなったよ。もう片腕のない僕より強いかもしれないね。」
「もう、怖いから強さを求めてはいないんですけど、この主様からもらった腕輪がなかったら、やられてました。」
抱き合っている二人に、ボルコフ将軍が近づいて来る。
「今日は、ミリス城に案内する。状況報告に参加してくれ。」
一言いうと、数人の案内の兵士を残して、
去っていった。
よろしくお願いします。




