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無属性魔剣士の聖戦記  作者: バナナ―ド
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敗北

永い眠りから覚めた異国の王子が、仲間とともに、恋をしたり、神との戦いに身を投じていく不思議な物語。少し出来が荒いですが、ご閲覧よろしくお願いいたします。



「セルフィエルよ、かなりの痛手を負ったようだな。大丈夫か?」


セルフィエルは、左腕は火傷で包帯を巻き、動かなくなった右足を引きずって報告のため神殿へ出向いていた。


「ガレス様、正直言って、つらいですね。標的の二人は、協力して、絶妙なタイミングで攻撃してきます。一人なら倒せても、二人いると止めを刺させてもらえないどころか、こちらが彼らの攻撃から逃げきれません。結果この様です。」


「ゼロと双璧を張った、そなた程の大天使でも厳しいか?」


「故もございません。ただし、魔剣士には最後に致命傷は与えたはずですので、狙うなら回復するまでの間に攻めるとよいでしょう。」


「そなたは、参加できないのか?」


「辛いです。少し休息をいただきたく思います。私の代わりならルカルドエルあたりが適任でしょうか?相手にはどうしようもない位の強大な魔力を放出してくる、天使もどきがおりますれば、ルカルドエルの魔力吸収のスキルが役に立つかと・・・」


「ふむぅ。なるほどのぅ。」


「よかろう、その案を採用じゃ。魔獣と天使軍を率いさせて出撃じゃ。」


**********


セルフィエルが消えた後、エルシードの元に駆け付けるエリアは、彼を見て、口を押え声も出ない。


「エル!エルゥ!!」エリアの呼びかけにもエルシードは返事もできない。


ただ涙だけがボロボロと零れるのみである。


何とか心臓は動いているが、腹部は大きく裂け、内臓が周囲に飛び散り、必殺の矢が心臓を掠ってエルシードの胸を貫いている。


地面に叩き付けられた際の内臓損傷も無視できないレベルのダメージだ。


出血量も多く、どうにかできるように思われない状況であった。


『クリティカルヒール!』


治癒魔法はかけられる。大元の体力が不足しており、表面的な傷は癒すが、根本的な治癒には至らない。


特にアルテミスの矢による傷は、治癒が困難なのだ。


「とりあえず早く戻って輸血をしなきゃ。」


エリアは泣きながらエルシードを必死に背負うと、飛竜の上に股がった。


エリアは知っている。


自分が敵の攻撃対象にならないように、常に彼が標的になり続けていたのだ。


エリアリーゼは、守られていた事を理解している。


「お願い、死なないで!必ず助けるからね!!私を置いていかないで!!」


アルテミスの矢による傷によって、恐らく蘇生魔法も効果を上げないであろうという事も知っているのだ。心臓が止まったら最後だ。


結果としては、町は守ったものの自分は致命傷を負わされ、敵の大天使は、取り逃がしたと言う状況は、敗北と言わざる得なかった。




間もなく、ドラウネス城の屋上に飛竜に乗った2人は到着した。すぐに、エルセフィアとレシールが駆けつけてくる。


「ひどいけがですね・・・すぐに治療室に連れていきましょう。」


「まずは、輸血をしないと。」


エルシードは、病衣に着替えさせられ、輸血バッグからエリアがストックしておいた血液を点滴する。


『ホーリー・リジェネレーション!』

『リペアード・フォースエリア!』


エリアは、持続回復・持続修復空間を作成して、憔悴しきったエルシードの枕元にペタンと座り込む。


手を握る。もう待つことしかできない。


心配そうに、顔を覗き込み首に手をまわし、エルシードの横顔に自分の額をつける。


「お願い、生きて・・・」


泣きながら、意識のないエルに縋り付くのであった。


**********


「エルセフィア君、エルシード殿の具合はどうだった?」


「はい、アスファ様、かなり良くないです。正直普通なら死んでいます。」


「早速だが、まずいことになった・・・天使軍がこの城に向かっている事がわかったんだ。魔獣も3体いるようだ。」


「ついに、我々魔剣士の出番ですね。最善を尽くします。」


「うむ、末特殊訓練を受けたアルカテイル兵も千人程度ならいるから、連れて行ってくれ。端の天使兵なら、戦えるはずだ。それから、赤い月の遺跡にいるルフェリエル殿にも協力要請を頼む。」



天使軍の先発隊が一番外の結界と接触、魔法陣が軌道し広範囲に光の矢が降り注ぐ。天使兵のかなりの数が戦闘不能に陥る。


3匹の魔獣が光の矢をものともせず侵入してくる。


「まずは、先陣はこのランディアが制する!」


ほか、スレインとアーバインが傍らに立つ。2人を待つこともなく、ランディアは飛竜にまたがり敵に向かって飛び立つ。


『身体強化!』『エンチャント灼熱付与!』『魔法障壁』


天使軍を先導する先頭の魔獣に接近し、大きな羽の生えたライオンに切りかかる。ライオンは口から炎をまき散らす。


「もらった!!、炎を避けてライオンの横に出る。」


《がっしゅぅぅぅ!!》ライオンの首に大剣を振り下ろす。激しく血液をまき散らし、ライオンは地面にたたきつけられる。


後ろを向くと、大きなトカゲが周囲広範囲に稲妻の嵐を起こしている。サンダーリザードか・・・スレインが対応している。


スレインは魔法障壁を展開して、水属性魔法を練る。グリフォンを操りオオトカゲに接近する。


『ブリザード・スピアーズ!』


冷気を纏った氷の槍がトカゲを貫く。


動きが鈍った所を、装甲の柔らかそうな腹部に潜り込み、氷の魔剣アイスブランドで貫く。


彼らの本領発揮だ。


魔獣の3体目は巨大なサイクロプス・一つ目の巨人である。


アーバインが飛竜に乗って、迫る。

「まずは足を止める。」


『ストーンキャノン!』


サイクロプスを遠隔から攻撃、全身に石の弾丸がめり込む。


《ぐおおぉぉぉん》雄たけびが響く。


『アースバインド!』


動きを止めたサイクロプスの顔の前に一気に浮上して

土属性の衝撃波を頭部に叩き込む。


『グランドハンマー!!』


サイクロプスは頭部を砕かれて、地面にひれ伏した。


あとは天使の通常兵だけだ・・・と思った瞬間、巨大な光の柱が彼ら3人の前に降り立つ。


中には、少し小柄な幼い雰囲気の天使が空中に浮遊していた。


「我が名は、ルカルドエル。12天使の一人だよ。さぁ楽しませておくれよ。」


3人の魔剣士はそれぞれの魔剣を振るいルカルドエルに切りかかる。


「ふ~ん、直接攻撃でこれだけ時間がもらえたら、十分な対応ができるね。」


両手に白い魔力を集中させて、その魔力で剣を受けると、その魔力の塊が瞬時にはじける。


3人の魔剣ははじけ飛ばされ、地面にたたきつけられる。


「どぁっ・ぐはっ・うぐっ」


それぞれ、肋骨の骨折、手足の不全骨折のダメージを受ける。


「魔力を変換しない分、破壊力は高いんだよ。」


「ちっ、直接攻撃で近付くのは難しそうだな。」


『ファイアーストーム』

『アイスランス』

『ストーンキャノン』


一度に三人の攻撃魔法がルカルドエルを襲う。


何の防御もされずに、ルカルドエル体の中に吸収されて消えていった。


「なんだ、これで終わりかい?じゃ、今度は僕の番だね。」


両手に集中する魔力が巨大化していくのがわかる。

出来ましたら、ご意見・応援などいただければ幸いです。

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