神の警告
永い眠りから覚めた異国の王子が、仲間とともに、恋をしたり、神との戦いに身を投じていく不思議な物語。少し出来が荒いですが、ご閲覧よろしくお願いいたします。
大天使との交渉から戻り、つかの間の休息が訪れていた。
エルシードとエリアリーゼは、ドアルネスのアルカテイル自治区にある、小さな砦の執務室で二人は過ごしていた。
問題だったエリアとゼロの人格の奪い合いも落ち着き、平和な時間がゆっくりと流れていた。
「ねぇエル?私人間じゃなくなったと思うんだけど、エルは嫌いにならない?」
エリアリーゼは不安そうにエルシードの顔を覗き込む。
「違和感がないとは言わないけど、君は君のままだから、何も変わらないつもりだよ。」少しだけ遠い目をしながら、偽りの無い気持ちを伝える。
「ただ、エリアをこの戦いに巻き込んでしまった事については、後悔がないわけじゃないんだ。初めはただ君を守りたかっただけなのに・・・」少し心配そうな顔をしながらエリアの青い瞳を見つめる。
「うん、私も不安がないとは言わないけど、ゼロのくれた力や知識は私自身に自信をくれたんだ。もうエルに守られるだけのお荷物ではいられないよ。」
エルシードの手に抱き着いて、肩に頭をのせる。
「でもね、ゼロの力ってすごいよ!今まで4つの魔法を無詠唱で同時に重ねて発動で来たんだけど、その魔法構成が倍以上重複しても発動できるようになったの。一つ一つの魔法の力もかなり上がったし、前の2から3倍の威力の魔法が使えるようになっているわ。自分くらいは、自分で守れるよ。」
エルは少し、さみしそうに言う。
「エリアには前から助けてもらっている方が多いから、僕の方が足を引っ張らないようにしないといけないな。」
「役に立っていたらうれしいなぁ。」頬を赤くして、エリアはエルシードの目を見つめる。
突然会話を割って窓から突然に石でできた鳥の石像が飛び込んでくる。
部屋の窓際の大きなテーブルの上に降り立つ。
「お前たちは何を考えている?いま、お前たちが準備していることは、神にあだをなす行為だぞ。神を畏れぬのか?」鳥の形をした石像がしゃべる。
直ぐに、それが神族からのメッセージである亊に気づく。
「あくまで防衛のための準備ですから、神様に仇をなそうとする行為とは違うと思います。あなた方が何もしなければ、こちらから戦にすることはありません。」
「何をいっているのか?いつも争い亊やいざこざを起こして、同じ種族同士で傷つけあっているのはそなたらではないのか?」
反論できない。
「今回もそうだ、我々を仮想敵にしなければ、まとまることさえできないのであろう。」
「よい、見せてもらおう、そなたらの力を・・・近いうちに、神の怒りがそなたらを打ち滅ぼすだろう。特に前大戦の影を残すお前は必ずや葬ってくれよう。」鳥の石像は飛び去ってしまった。
「もう気付かれていたんだな。わかっていたけど侮れない者たちだな。」
「どうするの?そんなに時間もないみたいだし。」
「僕に関しては、魔剣アルシオンがどこまで神族に通用するか?くらいの希望しかないんだろうな。」
「私も一緒に行くから・・・私も攻撃参加するわ。ゼロの力もあるから、有効な戦い方もあるはず。」
暗い気持ちで時が進んでいく。
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