天使の国へ
永い眠りから覚めた異国の王子が、仲間とともに、恋をしたり、神との戦いに身を投じていく不思議な物語。少し出来が荒いですが、ご閲覧よろしくお願いいたします。
今回は天使の伝説のある国を訪問するために旅をします。
ルーセリア王国そこは、ドアルネス王国とミリス帝国と東側に接する。
ミリス帝国と同規模の大国で、昔から天使降臨のおとぎ話・堕天使塔の存在・多数の宗教の存在、といった神秘的な話が多く存在する国でもある。
今回ドアルネスが巨大魔法を使用して、ミリス帝国の進行を撃退した話は、良い形でルーセリアには伝わっており、その立役者である2人の幼い魔導士の話は、奇跡を歓迎するこの国では大きな話題となってた。
一人はアルカテイルの伝説の魔剣士、かたや美しく可愛らしくも最強である少女魔導士の物語である。
今回、ミリス帝国の再侵攻に備えて、ルーセリアと同盟を結ぶために、使者として向かうのがこの魔剣士と少女魔導士とルーセリアの事情に詳しい魔剣士エルセフィアの3人であった。
「すみませんね、お二人のお邪魔をしてしまって。」
エルセフィアはバツが悪そうに言う。
「とんでもないです、エルセについてきてもらわないと、成人が誰もいないことになってしまいます。本来はアスファの仕事なんですが、手が離せない案件があるということですので・・・」
「うん、エルセなら一緒に来てもらっても問題ないよ。私も楽しい!」
エリアはご機嫌だ。
エルセは年齢16歳と若いのだが、性格もおっとりとして毒のない性格で、社交性には定評がある人物なのだ。
もともとアルカテイル時代から貴族家の令嬢でもあり、よくルーセリア貴族とも交流があったのだそうだ。
「実は少し注意しないといけない事がありまして、少しよろしいですか?」
「はい、教えてください。」
「ルーセリアには、多くの大小の宗教があるのですが、邪教も多くて非常に危ないことがあります。今回はあなたたちは注目を浴びているお二人なので、誘拐や拉致には注意してもらわないといけないと考えていますので覚えておいてくださいね。」
交通手段は、それぞれ立派な軍馬に乗って進んでいく。
その途中、小さいとはいえなかなか良い物を置いていそうな、バザールも出ている。
「遺跡が多いので、遺跡の発掘から出る出土品にすごいのがあることがあるんですよ。」エルセは楽しそうにいう。
「少し見ていこうか?」
「うん、何かお守りみたいなのが欲しいかな。」
3人は馬を降りて、アンティークな髪飾りや、ペンダント、リングを見回り始めた。
「エルセには、これにあうかな?」
きれいなグリーンのエメラルドを取り込んだ髪留めを手に取って、エルシードは髪にかざしてみる。
「え~、私はいらないですよ。」
「そういわないで、僕の討伐してきたマジックドラゴンの素材を売ったのお金で、お金持ちなんだよ。いつも世話になってるから貰ってよ。」
軽く言って手渡す。
「さぁ、主役のところに行ってくるよ。」
笑いながら、楽しそうにエリアのところに歩いていく。案外、かっこいいのだが、13歳のマセガキであるのも間違いではない。
「気に入ったものあった?」
「エルに選んでほしい・・・」
「OKまかせて!」
じっくり見て回る。なかなか目に留まるものはなかったが、一番端に太陽の光を浴びて光り輝いているペンダントが目についた。
中央には大きくとても奇麗なブルーダイアがあしらわれていて、その周りに薄い金色の羽を広げた天使を模していた。
「僕の天子様にはこれだな。」
他の店を見ていたエリアに後ろから、ペンダントを首にかけてあげる。
「君とどっちが天使かな?」
エルシードは渾身の微笑を添える。
「ありがとう、本当だ天使だぁ。ありがとう、大切にするね!!」
頬を赤く染めて、エルを見つめる。
「エルにはこれ上げるね。」エルシードの正面にふり返る。
三日月の形をした、透明感のあるきれいな黒曜石でできた、ピアスである。
「つけてあげるね。」
額にキスをして両耳たぶに丁寧につけていく。
「なんか、結婚してるみたいだね!」
エルは抱きしめたい気持ちを抑えるので必死だった。
・・・まさか後に、この天使のペンダントと黒曜石のピアスが、二人をとんでもない物語に巻き込んで行くとは思いもしなかった。
翌日には、ルーセリアの城下町に到着した。今日はこの街に一泊して、明日午前中に王城に入城する予定になっていた。
町に入ってから、すでに何かに気付いているのか、周囲の民衆がエリアを囲み覗き込んでいる。
その幻想的なペンダントをした少女は、なぜか全身輝いており、まるで宙に浮きそうに軽い。
ふわふわと空中に浮きながらエルシードの後ろに隠れる。
「なんか、これペンダントの力ですかね?」
町人の一人が話し出す。
「あんた、知らないのかい?一番有名な伝説だよ。これは天使の正装の一つだと思うよ。」
怪訝な顔でエリアは眉を顰める。
「これはエルにもらったものだから、絶対に返さないよ!」
「そのペンダントに選ばれた、人間は天使の力を得るのだという言い伝えなんだ。」
「あんたの彼女は選ばれたんだよ。生きている間に天子様を見れる時が来るなんて思わなかった。できれば早いうちに大聖堂に行ってくれんかね。」
連れて行こうとする始末だ・・・
騒ぎになってしまった。
そんな天子様と一緒に明日はルーセリア国王に会いに行く。
出来ましたら、ご意見・応援などいただければ幸いです。