カーネーション
急にあなたが私のことを見おろして
白髪が増えたね
とほほえんだ。
当たり前だけど
出会ったばかりのころは
ふたりともとっても若かった。
おばあちゃんになっていくのは
ほんの少しだけ
さみしいような悲しいような
すこし残念な気持ちにはなるけれど
あなたが私の白髪を見てほほえんだ
その表情を見たときに
歳をとるのも悪くないなって思った。
こどもはまだまだ手はかかるし
このまま大人になって大丈夫かしらって
心配になることばかり
だけど
なんの心配もしなくていいような
とても立派なこどもが
もしうちのこどもだったのなら
きっと私は親として必要じゃなくなってしまうような
そんなさみしい気持ちになる気がする。
だから
わがままで
甘ったれで
泣き虫で
口ばっかり達者で
生意気で
でもまだひとりじゃなんにもできない
そんなあなたがいてくれるから
私はおかあさんでいられるのかもしれない。
私をおかあさんにしてくれて
ありがとう。
べつにね
カーネーションを催促してるわけじゃないのよ。
ただ、そんなことを思いついたのが
そういう日だっただけ。
べつにね
お花がほしいとか
そういうのじゃないの。
でもそうだなあ
おいしいミルフィーユが
食べたいなあ。