入学3
3話です。
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「副島。君はこの座席が何を意味しているのか、理解しているのか?」と横沢は聞く。
光輝は周りお見渡し、少し考えたあとに言う。
「クラスメイトのことを詳しく知らないので正しいかわかりませんが、副島の僕がこの座席にいることからして、出席番号順ではないと思います。」
「よろしい。この座席は君たちの入試成績順になっている。副島っ。君が首席だ。おめでとう。副島から後ろにいき、また前にくる。最後は右後ろだ。」
横沢の表情に変化はない。
康介は後ろの生徒の椅子を引く音が聞こえた。明らかに動揺している。
教室の生徒がクラスの人数と各々の位置を確認し始めている。
康介もまた例外ではなかった。クラスが5×4の20人で、自分は左列の前から三番目。つまり、19位。康介は顔をあげることができなかった。
「それでは、副島。首席としての最初の役目を果たしてもらう。志望大学、又は志望学部をはっきりと言ってもらう。入学課題で書かせてあるものでも良い。」
横沢はテレビで見せたのと同じように言った。
「北帝国大学。医学部。医学科です。」少し置いてから言い、座った。すると、後ろの男子生徒が立ち上がる。横沢が目配せした。
「京都帝国大学。文系学部。」
横沢は頷くだけである。
順に生徒が発表していく中、康介は必死に考えていた。
入試成績19位の俺が本当に言っていいのだろうか。変えるべきなのか。
「北帝国大学。総合入試理系。」「東北帝国大学。工学部。」「大阪帝国大学。理系学部。」康介まで残り一人となっている。
康介は立つのが少し遅れた。
「札幌帝……………北帝国大学。総合入試理系。」
康介は逃げるように座ろうとした。
「待ちなさい。藤井康介。今すぐ入学課題を提出しなさい。」
康介は動けないでいた。
「藤井。もう一度だけチャンスを与える。君の第一志望大学はどこだ。周りを気にするな。自分で決めろ。」
「札幌帝国医科大学。医学部。医学科…」
康介は顔が熱くなっているのを感じていた。
「よく言ったな。次。」横沢は表情は変えないが声の質が少し違った。
20名全員が言い終えると横沢が話し始めた。
「当たり前だが、首席の副島。ついで前田。その次の近衛は入試成績トップ3。そして、その点数は他を圧倒している。しかし、4番手は2組の綾瀬、5番手も2組の若松。この後に1組の生徒。クラス内4番手から20番手まで点数差は13点。ほとんど差はない。加えて20番手の石嶺は俺の作った入試理科で初めて満点を取った生徒だ。誇っていい。」
クラスはまた少しざわめく。
札幌帝国高校の入試理科は国立高校入試より難しいことで有名である。大学入試を受ける高3でも満点は取れないと言われ、高校入試平均点は毎年15点前後。その中で満点を取った石嶺に対し、クラス中が驚いていた。
「さて、次はこの私立札幌帝国高校について話そうか…………」
横澤は不気味にも笑みを浮かべる。
次話投稿も頑張ります!