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春夏秋冬

アキ―少女―

作者: 柏木ひな

春夏秋冬の秋の物語少女版です

秋は作者が一番好きな季節です

その秋の色合いが最後に伝わればと思います


田舎ではススキの穂が垂れ下がってるだろうか


田舎から上京して早二年

公立の普通科の高校を卒業してデザインの勉強がしたくて両親の反対を押し切って入学したデザイン専門学校

高校の三年間、皆が部活で青春してる傍らバイトを遮二無二頑張り貯めた資金で上京し入学した

バイトをしながらの勉学との両立は厳しかったが成績が落ちると両親からバイトをさせて貰えないので必死だった


少女は幼い頃から絵が好きだった

幼稚園ではお絵描きの時間、小学校では図工の時間、中学高校では美術の時間そしてたまに自由な絵を描く時間が幸せだった

他の科目の成績は中の中といったごく一般的な平均レベルであったが、絵に関してだけはずば抜けた才能があると思えるくらい上手かった


幼い頃から絵が好きだったのがいつの間にか絵の仕事に就きたいと思うようになり高校も美術の道に進みたかったが両親の反対により公立の普通科に通う事となった

高校の三年間は悔しさでいっぱいだった

目指していた高校には反対され入れず親の決めた普通科というレールを歩かなければいけなかった


――絶対に卒業したらデザインの学校に入ってみせる――


その思いを胸に三年間、勉学も頑張り中の上か上の下くらいは取れるようにし、卒業後反対されるであろう可能性のためにバイトにも明け暮れた

三年間、友達も作らず勉学とバイトに精を出した

ごくごくたまに息抜きに絵を描く時間が唯一の落ち着ける時間であった


高校三年になってからはデザイン関係の学校のパンフレットを可能な限り取り寄せた

勉学、バイトに重ね学校の選出までこなしていた

夏休みはバイトと学校説明会で予定は埋まっていた

秋にはある程度の目星もつけた


高校バイトでは三年生はだいたいは夏休みを期にバイトを辞める人が多い中、少女はバイトを辞めなかった

三年間、勉学とバイトに費やしたのである


幸い少女が最終的に決断したデザイン学校は入試がない

AO入学のため三年間成績は落とさず非行もせず先生に目を付けらるような言動は慎み先生の後ろ盾を得た


入試がない事はいつもの生活でいれる最大の利点であった

成績を落とさずバイトに励める

これは彼女にとっては本当に有難かった

時給850円を6時間~8時間それを週5日

夏休みには10時間~12時間それを週5日

三年間で400万ほど貯める事が出来た


AO入試で合格し、バイトで得た資金を入学資金に使い両親の反対を押し退けて念願のデザイン専門学校に入学出来、上京した


家賃25000円の風呂なしアパート、近所に銭湯があるのが有難い

そんな家に一人暮らしでデザインの勉強をしながらバイトをし暮らしていた


入学したての頃は胸に夢を膨らませていた

やっとデザインの勉強を堂々と出来る、誰に気兼ねすることなく

絵には自信があったし勉強はデザイン、それだけで胸踊る気持ちだった

真面目に授業を受け熱心に勉強をした


入学から一年が経とうとする頃、少女に変化が見られた

自信のあった絵、デザインが周りの人より劣っている気がしたのだ


いくら描いても周りに追い付けない


この事実は少女を焦らせた

中学、高校と絵を描く時間を減らした両親を心底恨んだ

自分よりも上手い他の学友達を妬んだ

自分の才能のなさを痛感し愕然とした


入学して二年目の夏にはすっかり心は折れていた

夏の暑さが残るが空は高くなっていた

バイトの帰り道少女は肩を落としながら帰っていた


このまま燻るだけだろうか


現実を直視するのが怖かった

学校を終えバイトに向かい帰宅したらデザインの勉強

いつしか楽しかった絵が苦痛に変わっていった


帰路の途中に公園がありその先に歩道橋がある

そこを抜ければ家はすぐである

少女は公園のブランコに腰掛けていた


私には才能などなかったのだ


空が茜色に染まる頃、少女は歩道橋へ向かった

歩道橋から見上げる空は綺麗な茜色であった

少女は空をぼんやりと見上げていた


やがて茜色から紫に変わり闇が迫る頃、少女は歩道橋の手すりに手を掛けていた

紫色の闇に吸い込まれるように手すりから手を離した

下には何も無いただの道である

少女は頭から道に落ちた


田舎ではススキの穂が垂れ下がってる頃だろうか

都会では夜になっても明かりが消えない

街灯に少女の遺体は照らされていた

少女の握り締めていた鞄にはたくさんのデザインが詰まっていた

この小説は作者自身の投影でもあります

作者の経験に基づき少し肥大させて書いています

この少女の最期が作者であった可能性もあると考えると今生きているのが不思議です

公園と歩道橋、そこから見る空が好きでした

そこが上手く伝わっていれば嬉しいです

読んで頂きありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[良い点] 柏木ひな 様 「バイトをし暮らしていた点。」 につきましては、 4月12日の投稿記事、 『「気になる点」の件』 https://ncode.syosetu.com/n0138fl/…
[良い点] ススキの穂が垂れ下がってる点。 [気になる点] バイトをし暮らしていた点。 [一言] ブランコに、
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