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ルキウスの友達

 微かに夢にまで響いた爆発音と、部屋の揺れで目を覚ます。

 瞬時に体をひねり布団を巻き込みながらベッドの下に落ちた。無人のベッドでパンッと小気味良い音が鳴る。


「フッ、そう何度も叩かれてたまるものか。帝国軍人をなめるなよ。あっ、軍は辞めたのだった。危ない危ない」


 寝ていた場所には竹刀が振り下ろされている。

 明るく肩に付かない長さで青緑の髪は乱れているものの、サンティー・グリンは寝ぼけもせず色気のない下着姿で立ち上がり、共に落ちた布団を豪華な天蓋付きのふかふかしたベッドに戻した。

 そして大きなため息をつく。


 〔電気能力者/エレクトロマスター〕のサンティーは最近、帝国心覚軍准尉から、ルキウスの友達に望まぬ転職をした。

 いや望まぬではなく、あくまで自由意志による転職であった。


 そう自由意志、自由意思に基づいた対等な友人。ここは大変重要である。これを友は大変重視する。ここに気を配らなくては友人関係が破綻してしまう。

 そうなれば終わり。どんな終わりかも予想できないが、間違いなく終わりがやってくる。


 彼女は起床して重大な現状確認をさっと済ました。

 面積が約二十メートル四方相当で台形型の部屋は、所せましと多種多様な人形で埋め尽くされている。


 この部屋のコンセプトは人形。説明されなくったって見ればわかる。

 棚、机、天井、床、部屋の全てに人形、人形、人形、人形。


 辺境の軍基地に配属され、無機質な兵舎から荒野の空を眺めた時は、こんな所は人間の生活する場所ではないと思ったものだが、これはこれで人間の暮らす場所でない。


 それでも最初に案内されたコンセプトが拷問の部屋よりは百倍マシだ。

 友が初日で少し開けてすぐ閉めたあの部屋。その隙間から見えた、やたら棘のある器具、絞る器具、伸ばす器具。一応ここも寝台あるけど? と言われたが、残っていた力の全てを使って断った。

 その結果、階段を少し上がった十階の、この部屋が居室になった。


 サンティーは面だよ!目覚まし面熊君の頭を掴んで床に置く。この魔法の目覚まし人形こそ、現在彼女が交戦中の敵である。


 身長約七十センチ、全体的にコミカルで目と眉毛の吊り上がり吠えた表情をした二足歩行する熊の人形。一メートルの竹刀を両手で持っていて、これで登録された対象を叩いて起こす。背中側に操作用のパネルが付いている。


 初日、出力ランダムに設定されたこれに叩かれ、腕を骨折した。骨折は友が治療した。

 やべーやべー最大出力が出てたら死んでたな、と言った友の小さな声は聞き逃さなかった。友はこの部屋が一番安全だと説明したが危険しか感じない。


 今の出力設定は最弱、叩かれても痛くない。無駄によいパンッという音が響き、腹が立つだけ。

 この無駄に高性能な人形は、非常に高い索敵能力と踏破能力を有し、どうあっても定刻に竹刀を振る。起床して外にいても、わざわざ探して叩きに来る。実に鬱陶しい。


「こいつはなんとかならんのか……」


 サンティーは床に置いた熊をまじまじと見つめる。

 この人形は友の善意、捨てるわけにもいかない。今は慎重に振る舞わなくては。


 実に人生は危険に満ちている。ある日、基地が妙な奴らに襲撃されたかと思えば、そこからさらに酷い目に合わされ、やむなく……ではなく自由意志でもってルキウスの友達に転職してどうにか命脈を保っている状態。余計な行動はしない方が賢明だ。


「まあいい、服だ」


 クローゼットを開けて服を取りだす。派手なフリルの服を避け、落ち着いた印象のゴスロリ風の白のブラウスと青のコルセットスカート。


 クローゼットの中身は全部同じような服。これらは真っ赤なゴスロリでチェーンガン等の大型火器を抱えて定期的にルキウスを殺しに来ていたプレイヤーからの鹵獲品だ。


「なんで私だけこの系統の服なのだろうか、ここには他にこんな感じの服を着ている者はいない。軍服と少し似た意匠がある。普段着ではないだろうに。何か宗教的な意味が……」


 それを知らない彼女は、悩みながら着替えが終わった。

 ドアへ向かう彼女の機嫌は悪くない。ここに来て数日、緊張で神経をすり減らす日々で、顔の筋肉が引きつる変な表情が顔に張り付いていたが、普段の若々しく強気な顔が戻ってきた。


(案内役だった一見柔和だが完全にいかれている女がいなくなったおかげで気が楽だ。久しぶりに安眠できた。面を回避もできたし、今日は良い日に違いない)


 ドアを開けて部屋を出れば、正面には吹き抜けと螺旋階段が見える。このでかい木の中の全ての部屋がそうだ。中心から吹き抜け、螺旋階段、手すり、廊下、部屋の構造になっている。

 エレベーターを使用せず、階段を下る。間違っても身を乗り出し吹き抜けを覗くことはない。むしろ爆発物を警戒するように歩く。


 この吹き抜けは飛行可能な者が高速で空気を切り裂き移動する。

 サンティーも初歩的な念動力で体を浮かすぐらいはできるが、比較にならない凄まじい速度であり追突されれば危険である。ここでの生活は、あらゆる場所に死の危険が潜んでいるのだ。慣れても油断はしない。


「とぉりゃぁぁああああああああぁぁぁぁ」


 角の生えた男が叫びながら吹き抜けを落ちていった。ここの連中は百メートルぐらいは普通に飛び降りる。あれが一番危険だ。外にいても窓から降ってくる奴もいる。

 そこいらの戦場より危険なここの生活を、いつか戦記物語にでもして出版したい。


 螺旋階段内側の手すりから少し身を反らしつつ階段を下れば、階段内側から小さな影がカサカサと上ってくる。その一本角と虚ろな目がサンティーの方を向いた。


 乳女が大事にしているギャッピー。元々は一定時間で送還される召喚体らしいが、何かをどうにかしたら実体が残ったらしい。

 友も何をどうしたのかは知らない。なぜここの最上位者であるのに知らないのだろうか。そもそも友はどの部屋に何があるのかも認識していないようだ。誰が実質的な管理者なのか謎である。


「ギギャッピッ」


 ギャッピーがすれ違いざまに湿った音を発する。


「ギャピッ」


 サンティーはあいさつを返した。


 この生物は絶妙に気持ち悪い足取りで多くの足を動かし走るが、さっきの角男よりは賢いかもしれない。何を考えているか不明だが、多少の意思疎通は可能である。

 奇怪な隣人について考察しながら階段を下る彼女の足が止まった。彼女の表情が強張る。


「やあ。グリン准尉。フフフフ、元気かね? ムムムムム」


 基地司令だったシャッピ・キセン・グレーティ少佐が階段の入口、下って行く先にぬっと立っていた。

 基地に配属されて間もなかったサンティーは、少佐との付き合いが浅いが、それでもいつもわめいているやかましい男との印象がある。その少佐がどこか奇妙な笑顔で覇気がない。二つの瞳はギョロギョロそれぞれ違う動きをしている。


 この状況は想定外。

 なぜ捕虜が自由に歩いている? 本当にここは危険しかない。攻撃するべきか? 相手はこっちをどう認識しているんだ? 相手が非武装なら負けない。ここの人間にあらぬ疑いを持たれてはかなわない。


 サンティーは流し目で周りを警戒する。幸か不幸か誰もいない。さっきのギャッピーが近くにいるはずだが、流石にあれを呼ぶのはためらわれる。


「今日も星が綺麗だなあ、早く次が来ないかなあ。もっと増えないと増えないとおううぅ」


 少佐はブツブツとつぶやき、サンティーを無視して通路の方に無気力な歩行で戻っていった。サンティーは全身を青白い電気をまといながらそれを見送った。


 その時、吹き抜けを跳ね上がってきた影が、螺旋階段の天井に手を引っかけて上昇をとめて、階段内に着地した。


「あ、いたいた! 友達大臣、ご飯の時間だよ。外でご飯だよ」


 開口一番、陽気な高い声で話しかけてきたのは〔小人・起源/ハーフリング・オリジン〕のメルメッチ。


 身長は一メートルと少しで、少年にしか見えないが大人らしい。陽気で親しみやすく裏表のないメルメッチとは仲良くしている。ここでは珍しい安全な存在だ。


 上は白のシャツに黒のベスト、下はカーキ色の長ズボンに革靴。全体的に簡素で動きやすい服装をしている。髪と目は明るい茶色。顔はいつも晴れやかで無限の活発さがある。


 小人ハーフリングは帝国では見ない種族だ。帝国にいるのは人間と鉱人ドワーフぐらい。中には超能力者が選ばれた種だとする者もいるが、関わり合いになりたくない手合いである。


「メルメッチ、捕虜が普通に歩いていたが大丈夫なのか?」


 サンティーは知り合いの登場に安心する。


「さあ? おいらは知らないよう、そんなの気にしなくていいよう。おいらは友達大臣を呼びに来ただけだし。早く早く! ご飯だよ」


 サンティーの仕事は友達大臣である。ルキウスの方針で各部署の長はとりあえず大臣にしてある。メルメッチは芸能大臣だ。


「お前が気にしないならまあいいか」

「そうだよ! さあ急ぐんだ。料理に足が生えて逃げるかも知れないよ!」


 メルメッチがトットットッと軽い足音で勢いよく階段を下っていくので、その背を追った。


 食事といえば思い出す。三日目には通信士だったという七面鳥を食べさせられた。実に美味かったので事なきを得たが。不味かったら困っていた。

 友はサプラーイズ成功☆と言っていた。悪魔だ。実際に神らしいが、神も悪魔も似たようなもんだと友も言っていたし悪魔でいいだろう。


「食事らしいぞ、友よ」


 サンティーは寝ている神か悪魔を起こす。


「なら起きるか」


 声を掛けられた白いトラは、起き上がりながら変形して、ルキウスの姿に変わる。

 二人は机まで歩く。メルメッチは早々と料理を受け取り、どこかへ走り去った。動物達も散っていく。タドバンがのそりと起きて付いてくる。


「私の服はこの系統しかないのか?」

「それは鹵……昔の友人が置いていった品だ。丁度余っていたんだ。高品質な服だぞ」

「高品質なのはわかるが、普段着なのかこれは?」

「良く似合っている、それで大砲でも抱えていれば完璧だな」

「……これはどこかの軍服なのか?」

「軍服というわけではないが、帝国の服よりはるかに頑丈だ。戦車砲じゃあ破壊できないだろう。色々と効果があるはずだが詳しくは知らん。よい物には違いない。気にせず着ておけばいい」


 屋外の机の前の椅子に座る。いつものように、ルキウスの横にサンティー、タドバン、前にはソワラ、アブラヘルの並び。さっそくタドバンは大きな皿に盛られたチャーハンに食らいついている。


「友よ、さっき中で少佐がうろついていたが」

「少佐?……ああ、うるさかったおっさんか」

「そう、うるさい男だ」

「あれが話せる男だったなら……死んでるようなものだからほっとけ」


 ルキウスが視線が上を見てさまよった。


「死んでいる? 不死者アンデッドなのか?」

「ああいや、生きてはいるはずだが、既に問題はないはずというか……そうだな、ソワラ?」


 途中で友に話す声色から切り替えたルキウスが、重い声でソワラに確認する。


「はい、なんの心配もありません。完璧に処理してございます」

「だそうだ。友好的な存在だ」

「友はわかっているのか?」

「大体は認識している。しかし、まあ専門的な事柄であるから、細かいのは各専門家の担当だ」

「ふーん」


 サンティーが疑惑の目でルキウスを見る。


「問題あればあれも処分するさ。生きたままならそっちがよいだろう? 変化で考えが変わる可能性も……ともあれ、食事にしよう」

「まあ、私は基地に親しい人間はいないからどうでもいい」

「そうか、もし友は推薦する人間がいるなら、捕まえてきて友達にするからいつでも気軽に言ってくれ。死人でも構わない。寿命以外の死因なら」

「思いあたったら言うよ」


 サンティーは友達にする手段にかなり思うところはあるが、友達にならないより、なるがよいと結論付けた。その価値がある。


「今日からほとんど栽培した食品の料理のはずだ。いつまでも貴重な品を消費できないからな」

「これは元人間ではないだろうな?」


 サンティーは目の前のステーキが置かれた皿を見る。


「いいかい? 自然は絶えず循環しているのだよ。土からできて土に還る。だから元が何かなんてのは些細なことなんだ。ちなみに私は気分の問題でそれは食べない」


 ルキウスが心の底から神妙な調子で言った。


「だからこの肉はなんなんだ!?」

「……この肉はだな、まず人をウシにします。そのウシに便利な魔法をかけるとウシがウシの木になります。ウシの木が成長するとウシの実がなります。だからこれは木の実だよ、わかったかい?」


 ルキウスが全力で笑顔を作り出した。


「さっき肉だと言ったよね?」

「木の実だよ、木の実、ウシウシの実だよ、そう! これはウシウシの実だ」


 ルキウスがよいことを思いついた顔をした。


「なんでウシを繰り返した?」

「その方が愛くるしいかと思って……」

「誤魔化そうとするんじゃない!」

「誤魔化してなどいないさ。優雅で文化的な食卓においては、リアルな自然の循環を思い浮かべる必要はないと思ったのさ。ありとあらゆる自然は循環している、しかし食事の時には忘れた方がいい。そう思わないか、友よ?」


 食べ物は食べ物であればいいじゃないか、とルキウスは言う。


「ああ、ああ、わかるぞ、友よ。帝国でも食料生産を効率的に行うために有機物を収集しているとも。それで森だとかから有機物を持ってくるし、人体も循環させて食料生産工場を回している。しかし、人間が直接木にも牛にもならないぞ」


 サンティーがルキウスのほうに身を乗り出して言った。


「落ち着くのだ、友よ。考えてもみたまえ、これは最速の循環なのだ。なんてったって直接だ。循環は速いほどよい。一度の自然循環に一億年かかってみろ、絶滅だ! つまり全生命体の望みは循環速度を少しでも上げることだ。しかも質量だって増える。つまりこれは正義、正義の植物なんだよ! 大正義ウシウシの木だ!!」


 嘘は言っていない。循環速度が速い環境こそが、いわゆる豊かな自然である。

 自然の森なら最も分解されにくい木を、キツツキやシロアリ等が砕き、キノコ等の菌類が分解する。その土壌に植物が生え、生態系の基盤となる。

 ルキウスはそれを魔法で短期間でやる。しかもなぜか質量も増える。これには本人も納得していないが。


 ソワラとアブラヘルはあるじに友達ができて良かったと思いながら珍しく仲良く食事をしている。

 ルキウスの完璧な説明をしてやったぜという顔を見て、サンティーはしばらく額を押さえていたが口を開いた。


「とりあえず、友もこれを食べたらどうだ」

「友よ。今、私は植物由来の動物性たんぱく質を摂りたい気分じゃないのだよ」

「友よ。なぜいちいち人間を使うのか、虫とかは駄目なのか」

「友よ。生命は平等に尊いのだ。しかし人間にはいらない奴がいるからそれを有効利用しているのだ、素晴らしいじゃあないか!」


 実際には人間しか材料にできないだけだ。〔古き緑/グレートオールドワン・ヴァーダント〕は植物関係の能力の次に人間関係の能力が多い。人を状態異常にしたり、人から生命力を吸収するようなスキルだ。


 主敵は他プレイヤー、対人スキルは優先的に取得している。それらは魔法的に人属性にしか効かない。物質的には完全にウシだが、魔法的には人の属性を持っている。

 そこにルキウスは少しばかり引っかかっているが、他人に食わせる分には気にしない。そもそも部下は誰も気にしていない。


 彼も食べるのが正しいとはわかっているが、踏ん切りがついていない。

 これが習慣、文化というものだろう。昔の日本人は、チーズの匂いにも吐いたという。


 さらに見た目を嫌い、食用昆虫の開発生産体制の整備が大きく遅れた。そこに起因する食糧難から、最終戦争以後、餓死者を出している。

 その時代、サツマイモ、ジャガイモ、一部ではキャサバイモを食べていたそうだ。

 彼がそれを聞いた時、昔の人は無類のイモ好きで、非文明的だと思ったものだが、自分の番になると難しかった。


「なるほどなるほど、それは素晴らしい。そんな素晴らしいものを作った友こそ優先的にこれを食べるべきだな」


 サンティーはそんなルキウスの事情などおかまいなしだ。


「友よ、私は食事を摂らなくても生きていけるのだよ」

「そうか、それは便利だな、まあ食え」


 サンティーがフォークで刺した肉の塊をルキウスに向けた。


「それは友の分ではないか。遠慮せずに友が食べればいいのさ」

「料理したショクザイソウコさんだって、私より友が食べた方が喜ぶだろう」

「そんなことはない。友だって大事な仲間なんだから」


 ルキウスが全力の作り笑顔を見せた。


「そんな言葉で誤魔化されるかー!」


 サンティーはルキウスの肩を引っ掴んで、全力の念動力で拘束する。サンティーとルキウスが光に包まれている。


「おっと私は急用ができたようだ。これでも忙しい身なのでね。友はゆっくりと食事を楽しんでくれたまえよ。〔緑の瞬間移動/ヴァーダントテレポート〕」


 サンティーの手の中からルキウスが瞬時に失われた。超能力で抑えこまれている状態から事もなげに転移。まさに神業である。


「……あんたら、友は何を考えているんだ?」

「偉大なルキウス様の御心は私ごときには窺い知れません。すべては偉大なお考えによる行動なのです」

「いい男は色々と秘密があるもんさ、そこがいいんだろう。小娘には分からないのさ」

「あんたらおかしいからな」


 文句を言いながらも、サンティーはウシウシの実を口に運んだ。


 サンティーは意外にタフだったので生命の木の環境に適応していた。この荒廃した世界で生き抜く者は、汚染がないなら土を食っても問題ないぐらいの思考形式だ。


 ここの最大の魅力は食事。

 ルキウスの魔法由来の植物群、これこそ神の恵み。ウシウシの木にいたっては全人類がその木を巡って戦争を起こすほどの宝物である。


 対して帝国では、効率最優先の食料生産。厳しい環境でも人口は増え、本土は長期の戦争に耐える体制を得た。


 しかし流通する食料品の種類は少なく、味だってよくない。栄養バランスと保存期間を重視した合成固形食は、泥と石でも混ぜたのかという工業的な味でやたらとパサつき、食べた後は口をゆすぎたくなるものが多い。

 さらに天然肉などの高級食料品の値段は貴金属に匹敵する。中流層なら一生に数えるほどしか食べない。


 ルキウスの友達はしっかりと友を見て、日々を過ごしていた。

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[一言] なんて適応能力……。
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