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狂気の森10

ゾト・イーテ歴 三〇二〇年 十月 二十七日


 悪魔の手の灰がコモンテレイに降った翌日、フィリとトーヴァは活動再開した。


「混沌というものはわかった」


 フィリが、街頭のココナッツ皿売りを眺めつつ言った。

 混沌は、どこまでも動く力、停止できない性質、それゆえに不規則な流動で循環している。それはルキウスからもれる思念にも含まれており、一瞬噴出したオーラは乱れに乱れ、なんらかの調和に達していた。


 自然における、気体や液体の力学だ。それが理解できるようになった。あの魔王デーモンロードにふれたからか、腐邪界クリフォトの空気のせいか、フィリは感覚が広がり、世界が増えた。

 とにかく、フィリは目覚めてから調子がいい。


「入信するのか?」隣を歩くトーヴァが言った。「それか、あそこの化け物みたいになるわけだ。見たか? 顔の割れ目から顔がこんにちはしてよ、周りは歯だか花だかわからねえ。意味がわからねえ。人の顔が足になってるのもいたな。斬新な靴だと思った。悪魔映画のマンネリが解決するぜ」


「この町では発見が尽きることがない」

「しかしそろそろだな。昨日の仕事の清算が終わったら考えねえと」


 トーヴァはハンター生活が板についてきている。割のいい依頼の判別法を研究中で、他人の装備にうるさい。

 ここでフィリが念話テレパシーに切り替える。


『さて、こちらの懸案をやろうか』

『超人派を? あれがホツマの使節の出迎えに出ているあいだに離脱するべきだろ? ここ数日がいい』

『たしかに……彼の思考は知れた。彼が、上位にいるだろうことも。成果だ』


 悪魔の手でのソワラはきっちり精神を防護しており思念はあまり漏れなかった。しかし、その位置取りや連携は、完全にルキウスを補佐するものだった。彼の無軌道な遊撃戦闘は、慣れた者でなければ合わせられない。


 もしも彼と戦うなら、待ち伏せして殺す。それが理想で、交渉事で優位に立つにも同じ。

 伏せるべき場所もわかる。彼がおもしろいと思う物、おもしろい事ができる場所を用意すればいい。水の流動は不規則だが、最後には低地に収まる。


 逆にこちらから攻めると、彼は予想できない受け方をする。


 ここから帝国を優位にするのはどうするべきか。

 まずは交渉したくなるように仕向ける。その案は、道化にでも考案させたほうがいい。手堅い戦略は、混沌の渦に放り込まれてズタズタにされる。


 そしてその武力は、魔王デーモンロードを葬った。

 それの祝勝会があり、ルキウスは、「冷静に考えると、紙一重だった気がするが、考えなければどうということはない」と酒を部屋にぶちまけながら言っていた。


 あれが本気であろうことが、フィリは怖い。他人事のようだった。認識が俯瞰的すぎ、自己の人生に頓着しない。武力以上にその性質を恐れるべき。


『できることはあるまい』トーヴァにフィリの理解の感覚はない。

『そうだな。今、目の前からウジュイ大佐が歩いてきても、やるというわけにはいかん』


『やる理由は?』

『ルキウス・フォレストの思考だよ』


『侵入せずにわかるか?』トーヴァが思案顔だ。

『読めずとも漂っている。彼はまず期待ありきだ』


『お前が専門とはいえ、あれはな……』

『いいか、彼はおもしろいを重視する。これは定性利益への期待と解釈できる』


『ふーん』

『彼はまず決める』


『何を?』

『最高の目標。最初に最高の展開を思い浮かべる。単一か複数かは知らんが、ありえないほど最高の状況を、夢にだせるほどに焼き付ける。そこに到達するための愉快な道のりを思い浮かべ、あらゆる手立てを用意し、なんでも実行する』


 フィリの思考は、一個一個レンガを積む思考。これは遅いが確実で、時に先入観を打破する。機械的合理を求める思考だ。


 ルキウスは投機的で享楽的だが、細部はおそらく合理だ。ある程度は理解できるが、失敗という概念を知らない感がある。博打での負けを想定していないか、負けても次は勝てるはずという思考形式。


 できれば、あらゆる嗜好を調べ上げたい。しかしフィリには、今でもいくつかの確信がある。


『さきの戦役での敗因は、情報戦の敗北が主因だ』

魔王デーモンロードを片付ける化け物だぞ』


『総戦力では優勢だった。で、喫緊は』フィリが一拍おいた。『ウジュイ大佐も閉塞を打破する何かを期待してここに来た。そう考えると、予想外の何かをやりかねない。意図は認識しておく』


 高位の心覚兵が集団で脱走して敵地に入る。すでに前例のない事態になっている。フィリの知る彼は慎重な男だが、この異質な環境では、はじけてしまうかもしれない。


『それをお知らせしてやるのか?』

『場合によっては』

『親切なことだ』

『我々が、来訪者としてしか警戒されていないからな』

『定期的に位置確認をしているだけだから、余力はねえだろな』


 一般人に混じった間諜らしいのが彼らを意識しているのはわかっている。その思念の質で、疑念の種類はわかる。経歴はあるが、完全には身元が確認できないといったところだろう。

 こちらの情報部は警戒されているが、フィリのようなイレギュラーを捕捉しきれていない。


『まず、情報部の調べでは、あれからジャーミア妹は姿を見せていない』

『死ぬぞ死ぬぞ』


 トーヴァは気軽に言った。


『情報部を急かせたが、あのキリエ家は、ホーオン中佐の妻の親戚だった。立場を伏せているから、情報部を捨て駒にもできん』


『片割れは本土じゃねえの? わざわざ双子を投入したなら長距離通信だろ』

『なら、外をうろつかん。護衛はいたかもしれんが』


 あのレベルの双子は、その共感力で互い五感のすべてを伝送できる。コモンテレイの景色を直接伝達したのかもしれない。あるいは、様子見の釣りか。


「まずは軽くいこう」フィリが言った。

「触発されてるな」トーヴァが返した。


 彼らが場所を移してやったのは、ジャーミア妹が逗留しているキリエ家の使用人に物理接触することで、これは買い出し時を狙って簡単に成功した。


『家の間取りはわかった』フィリが情報を告げる。『ウジュイはひと月ほどあそこに戻っていない。別の町か、野外だ。だがその前は一か月以上ここにいた。グソー少佐と活発に動いていたらしい。今あそこにいる来客は三名だ。全員心覚兵と考えていい』


 使用人が覚えているが十名ほど。コモンテレイに別の拠点がある可能性はある。


『グソー、聞いた名だな。道探しだっけ? 何がしたいのかはわからんが……』

『場所か人を探している。物体には不向きなはず。残念だが、その情報はない』


『候補はあるのか?』

『いや、どうも市外も含んでいたようだ。彼の力は都市向きだと思うが』


 心覚兵はすべての力を軍に告げるわけではない。隠された得意分野はある。


『外なら関係ない話になるな』

『ウジュイが動くなら街の警備力が下がるここ数日もある。ホツマの使節に何かやらかすかと思ったが、出迎えの今がここは一番手薄』


『奴らがやらかすほうへやらかすほうへと、思考がよっていないか?』

『よせようと努力している。混沌を読解するために』


『はあ』トーヴァは、思考でため息をつく技術に熟練してきた。

『彼らはやはり外出は控えている。最近は警戒していて、何かを待っているようだ。となると、事は近い。こちらも動く』


『やるのかよ。今夜か?』トーヴァはあきらめたようだ。

『いや、家人の昼食の時間がわかった。このままお邪魔しよう』


 夜間装備は無い。夜は町の警戒レベルも上がる。

 ルキウスにもらった機械探知具を使うつもりだが、フィリが探知できるのは、思念だけで、思念が付いていても罠を解除できない。視界はいる。


「しかたねえな」


 彼らは車に乗り、キリエ家の近くまで移動して、車を停めた。


 フィリとトーヴァは、来客として正門から敷地に入った。守衛が迎え入れたのだ。守衛は彼らを認識できない。ただ日常の作業をした。何を迎えたかは、最初から認識せず、脳機能の一部をはぎとられた状態だ。


 ふたりは普通に歩いて、勝手口から邸宅に入る。鍵はかかっていない。

 フィリは扉を開くことはできずとも、開かせることはできる。警報をきらせるのも容易だ。邸宅は大きいが、思念が正確に読める距離は射程内。薄い壁も抜ける。


 フィリは、多くの精神系の魔法使いのように、他者を支配しようとか、君臨しようとか、都合よく作り変えたい、といった思考はもたない。


 彼は人の思考を切り分けて理解し、機械部品のように捉える。それで一部を抜いたり、組み替えたりできる。


 フォークとスプーンが並んだ食卓で、スプーンの選択肢だけ奪うことはたやすい。被害者はフォークで工夫してスープを飲むだろうし、不便は感じる。


 そんな状態でさえ、違和感を感じるには時間がかかる。それでも、違和感を減らすよう静かで速やかに歩く。騒乱の気配は生存本能を刺激し、意識への介入をはねのける。本能に近い部位こそ、人の本質だ。


 家の中は自然をモチーフにした華やかな壁紙で、古い銃器や剣が飾ってあった。軍人家系の定番だ。

 制圧する必要はない。途中で会う人々の記憶を探り、家の中に監視カメラがないのはわかった。それさえ避ければ、誰も二人を記憶できない。


 ふたりは堂々と屋敷を進んだ。家人が彼らを目にするなりその記憶が飛び、彼らを認識できなくなる。フィリがこちらに意識が向いた瞬間の乱れを突き、新しい人間を認識する能力を一時的に奪っている。


 これは、比較的容易だ。より強く、正常に日常生活が続いていると暗示をかければ、より確実。


 フィリが廊下の先から特殊な思念を感じた。


『ひとり来るぞ。念動力テレキネシス系』

『やりすごすか?』

『単独だ。正面から封殺する』


 廊下から出てきたのは、長身の感情の起伏が少なそうな顔の男、サカスカ大尉。


 彼はすぐに異常を認識し、その力を発動させると同時に、人相からは想像しにくいほどに怒鳴った。しかし声は彼の近くでだけ響く。


 トーヴァの壁が彼を遮断した。完全に囲ったのだ。

 フィリの思念糸サイキックストリングが袖口から飛び出し、サカスカの頭に巻きついた。そして彼も日常生活にもどった。そのまま歩いていく。


『いくらか読んだが、情報は、外とやりとりをしているジャーミア妹だ』


 フィリのような精神系の超能力者サイキックは自分の精神を保護でき、場合によっては消せる。だから情報を持つ役になる。


 ジャーミア妹の居室はわかっている。そのドアが見える所まで来た。中には思念が一つ。ドアには鍵がかかっているはず。


 ここからは神経質にやる。頻繁に通信していれば、異常は必ず察知される。

 トーヴァは自らを世界から遮断し、探知外になった。


 フィリがドアをノックした。彼の精神は完全に使用人の皮をかぶっていた。ドアの向こうのジャーミア妹は、それを感じ取り使用人と認識する。

 彼女がドアの前にまで来た。


 思念糸サイキックストリングが、ドアの下の隙間から室内に入りこみ、ジャーミア妹の頭に巻きついた。彼女はそのまま硬直した。


「入った」フィリが呟いた。


 すぐにトーヴァが遮断を解除し、周囲を警戒する。フィリはジャーミア妹の精神保護を突破した。


『よし、ここらでいい。いま使用人が来たことまで書き留めていた、優秀だ』


 小さいが不整合だ。確認されれば異常がばれる。フィリは室内に入り、ページを破り、使用人が来る前までを書き直させた。


 そしてすぐに部屋を去る。無事に邸宅から出ると、フィリは小走りで車に向かった。


「おい! やばいのか?」


 トーヴァが追跡を警戒した。フィリが車に乗りこむ。


『出せ。わからん、すでに数段階の作戦が進行し、最終段階だという。だが場所は知れん』

『問題あるのか?』トーヴァがモーターを回転させた。


『なんらかの要地で秘密を探るという言いよう。彼らの感じ方からして、武力行使を含む。大事になりそうだ。このまま西から出よう』

『本土まで数日かかる。やばいぜ!』


『心配するな。隣町近くの農場の地下に超科学的転移装置がある。本土行きだ。動作は去年確認している』

『言っとけよ!』

『帝国からの贈り物として、危険をお知らせしよう。減速だ、あれを使う』


 フィリが示したのは、道路沿いを歩く子供。

 車が減速し、フィリがすぐに子供の精神を捕まえた。子供は歩く方向を変え、緑化機関へ向かった。


『親切が、仇で返ってこねえように祈ろう』


 車が加速した。


ゾト・イーテ歴 三〇二〇年 九月 二日 (二か月前)


 ウジュイ大佐は、粗野な農民にも悩む哲人にも見える壮年の男で、多弁なほうではない。


「特別な才能というのは、前触れなく生まれるものだ。しかし、多すぎる」


 彼はライフル銃を片手に、緑が混じる荒野を眺めていた。この景色が、彼に多くの着想を与えていた。装備が一新された刺激も、視界を広げた。


「やはりヒントは舞いもどった男ですか?」


 車体に座っている明るそうな女は、パファプ大尉だ。言ったのはラリー・ハイペリオンのことで、占術による検索を警戒し、名は口にしない。市外まで力がおよぶとは思えないが、緑化機関の力は計り知れない。


「あの家の当主は少々ひがんでいたな」話に入ってきた線が細い青年は、ジャーミア大尉。「上手に隠す程度にはみっともないと思っていたが、凡人には意味のない努力だ」


 さらに地面に触れて荒野に意識を集中している縮れ毛の中年の男性がいる。このグソー少佐を加えた四人が、一組となって動いていた。

 地平にコモンテレイの森が見える位置だ。


「凡人は凡人同士のいさかいに忙しい。なんの意味もないのに」


 パファプが言った。ウジュイがゆっくり口を動かす。


「うらやむほどのことではある。本人はやはり無力だが、背後に大きな力を得た。それは議会では語られない程度に畏怖されている。特別な存在で、多少の資質はあるのだろう」


「冗談を! あんな無能が」パファプが軽く勢いづいた。


「選ばれてはいる」


 ジャーミアが言った。パファプは不満そうに彼を見た。


「幸運ですらない純然な偶然でしょう?」


「当然だ」グソーが、荒野とにらめっこしたままボソッと言った


「無能な権力者の話はどうでもいい」ジャーミアは興味を失っている。


 それを察したパファプがウジュイをうかがった。


「しかし遠因過ぎでは? 彼の周りにつけた者も、眺めるだけなんて」

「彼は警護が付いている。彼に接触した人間のリストに載ってはならぬ。我らは空気であらねばならん。労さず留まれるなら、それは優位である」


「私の力をもっと使うと思っていたのですが」

「あなたは響きすぎるから」


 ジャーミアが退屈そうに言うと、パファプが少しにらんだ。


「自己を制御せよ、我々は選ばれた者だ。そうだな?」


 ウジュイの落ち着いた声は、自問に近い。


「もちろん! 我々の力は訓練以前よりのもの」


 パファプが強く同意した。


「そう……だが磨き方にも秘術はある」

「あの議会のすみの女の軌道は異様だった。自然にああは育つまいよ」


 グソーが言ったのは、マリナリのことだ。ウジェイが語る。


「彼らを特別たらしめる要素が、悪魔の森にある。しかし、悪魔か。力をくれると思えば、あそこにふさわしい名前に思えるな」

「私は悪魔になりたい。わかりやすく超越したい」


 パファプが軽口をたたいた。ジャーミアが難しい顔で引き継ぐ。

 

「国での扱いはよくなったが、どこまでも我々は孤立している。力の血筋がはっきりしないのも、もっと過去に資質が隠蔽されたことがあったからだ」


「そうだな」ウジュイはより遠くを眺めた。「元帥などは十分に化け物だというのに、人の仲間でいたいらしい。本気で力を使えば、小都市の住人すべてを互いに殺し合わせることができるというのに。あれで精神にセーフティがある。多くが無能でいたがっている。この枷を解いてやりたい」


 ジャーミアも続けて呟く。


「我々は未完成で、もっと力がいる。それを同胞の多くが知らない」


 ここでグソーが立ち上がって土を払った。ウジュイが彼に声をかける。


「どうだ?」


「悪魔の森から来たというなら、探るのは悪魔の手が理想だがな。……ここ一年で一般から外れた車の軌道は四十一、繰り返し利用されているのは四つ」


 グソー少佐は、主には追跡専門とみなされている。

 彼は道使いで、特に軌道の領域を得意とする。


 過去の生物や車の移動を、彼の能力による独自の線で認識できる。過去の人通りから、不自然な軌道をあぶりだし、犯罪組織の捜査などを行う。使い方しだいで、罠や待ち伏せを認識でき、経済分野でも役割がある。


 通過物の速度や重量は認識できない。場所によっては、人とネズミを区別するのも神経を使う。


「まずはそれの軌道が視認できる位置で、地道に監視するか」ウジュイが思案した。


「それで、新しい軌道が増えれば直接追うと。もっと探れば、時期も正確に判定できるが」


 グソーが言った。軌道が二日前ぐらいまでなら、直接追跡できる。荒野なら、地形が破壊されたりしなければ見逃さない。


「その場所に行けたとして、秘宝のような物があればいいですが、なかった場合、我々を引き上げるほどの情報を持ち帰れるでしょうか?」


 パファプがウジュイにたずねた。


「技術があれば理想だが、奪取すべきは変化だ。私は気体の体を広げすぎると、霧散の恐れがあり、それ以上はいけないと肌でわかる。これをどれだけ消耗してでも、爪先ほどでも広げられれば、鍛錬の果てには嵐に成れる」


 ウジェイにジャーミアも同意する。


「無敵にはならずとも、能力が一段上がればもはや別次元。我々だけでも一大隊分は戦力が増える」


 ここでジャーミアが集中し、目の焦点が合わなくなった。三人が彼に注目する。


「新しい情報です」

「報告しろ」ウジェイが言った。


「舞いもどった男の縁者が、移民を探している。行先は不明で、若く、緑の中で生活できる人をと」


 ジャーミアは語るよりも早く妹と情報をやりとりしている。


「我々が追っている軌道はそれかな。広告されているか?」

「いえ、場所は不明、容易には行き来できない。おそらく身内から探し、さらに広げようとしていると」

「非接触で詳細を探れと伝えろ」

「隠すなら、うまみがある話なんだろうね。それとも悪魔の生贄かね?」


 グソーが言った。


「やはり場所は悪魔の森?」


 パファプが言った。


「邪悪の森もあるが、自然祭司ドルイドも、舞いもどった男も悪魔の森から来たと言った」


 ウジェイが言った。


「目標を捕捉、追跡、殲滅、場合によっては拠点を強襲ですか?」


 パファプの発言が軽いのは、激戦区での経験がないせいだ。


「相手の性質にもよるが、強攻策は緑化機関の化け物と交戦する羽目になる」

「ならどうにかして、正規の人員として紛れると?」

「誰か殺して入れ替えても、行けるのはオクエツエンぐらいだ」


 それも確実なら一考。しかし露呈した場合、ここの人員は全滅する。


「緑化機関の極秘事業なら、事前チェックはあるよ」とグソー。


「チェックの回避は必須。継続する性質の事業ならやりようはあるが」


 ウジェイの判断は情報収集の継続だった。

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