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森の日常4

「敵襲! 敵襲なのです!」


 ウリコが道端で金貨を発見したようにさわいだ。


「社長だよ。外用だと知ってるだろう」

「知ってるのです」

「駄猫め」

「さて臨時ボーナスの続きなのですー」


 ウリコはそのまま二人目まで這っていき、荷物を漁り始めた。


「・・・・・・なんで正々堂々と横領する」

「報奨金なのですー」

「金を貯めても使わないだろう」

「金は貯めることに意味があるのです。ウリコの価値が上がるのです」


(こいつの宗教は理解しがたい)


「はて? 社長から煙が出てるのですー」


 ルキウスのズボンのすそから、かすかに煙が上がっていた。


「お前が撃ったのが当たったんだ」

「なんで社長に当たるのです?」

「あいつらの話を近くで聴いてたからだ。あとは念のために印をな」

「それは社長が悪いのですー」


 ウリコは悪びれもしない。


「攻撃するなと命令したぞ。伯爵のところの人間だ」


 ルキウスは、調査が来るのは織りこみ済みで、徐々に理解を深めていけばいいと思っていた。


「ちゃんとはずしてるのですー」

拳銃ハンドガンで狙える距離か! しかも連射だ」


「射程外なので当たっても死なないです」

「焦げてるし、はずしてないだろうが!」

「お金を払えば席ぐらい用意してあげたのですー。覗き趣味なら、覗き専用席を用意するのです。とにかくウリコはただじゃないないないのです」


 ウリコは三人目の荷物を漁り終え、立った。装備も引っ剥がしている。


「どうするんだよ、死体を。評判が悪くなってしまう」

「アブラヘルがいたら晩御飯になるのです。大鍋料理なのです」

「野獣め。放置したらまずい、肥料にでもするか。アブラヘルがいなくてもやれてるか?」


 ルキウスは森で死ぬのは自業自得と思いつつ、ウリコに目を向けた。


「《狡狼/シャードウルフ》の群れが来たので、シャー! したら全部逃げたです。逃げた先にいた人が襲われたです。死にそうだったので、出張の出張でポーション売りつけたです」


(こいつは本当に商売しかできんな)


「・・・・・・客足は?」

「一日平均で二十人は来るです」

「増えたな。普通は野営が必要な位置、誰でも来れない程度には奥だが」


 困った時に助かりそうな場所、というのを狙っている。三ツ星はないと、ここを探そうとはならない。


「必死に探す者が出てきているのです。つまり、価値は上がっているのです。儲け時なのです」


 ウリコが真面目に言った。


「善意で売ってる。森に親しんでもらって、神を身近に感じてもらおうという一セメル均一食品だ」


 食べ物以外はまともな値段で売ってる。こちらは購入制限がない。これも割安なはずだ。


 トンムスにそれとなく探りを入れられ、知りませんと言ったら、返しは「そうですか」だけだった。

 伯爵が組織的に店を捜索して、大人数で買い付ければ、商売になりそうなものだが、彼は元々森はハンターまかせで、今回も深入りは避けている。

 ルキウスの経験上、伯爵は家に好んで籠る性格ではない。意識的に常に街にいる状態を作って、治安上の重しになっている。それに加えて神の挙動を警戒しているのだろう。


 神と為政者との距離感はこれぐらいでいい、とルキウスは思う。


「ライフポーション代わりに使えるですから、最低でも五千セメルは取れるのです」

「経口摂取限定で固形物の欠点はあるが」

「美味しいの価値です」

「そっちに注目されると、貴族の贅沢行きだ。使ってレベルを上げて欲しい。そうなれば森にありがたみが湧く。森が恐怖されすぎている。彼らが敵になっても脅威ではないし、鍛えて備えるのだ」


(欲の皮が突っ張った者は、アトラスと同じように殺すからそれでいい。長い目で見れば、資源の管理者はいるべきだ。それを仕事と思って生きるのもいい。そういう役割の可能性は、まだ否定できない)


「せめてゴールドが見たいのですー」

「ここで金貨持ってる奴はそうはいない。あれ一枚で月収ぐらいだ」


 店のバックヤードから、五十センチぐらいの人影が出てきた。全身は暗い青で皮、手の指は細長く、脚は小さい。背中に小さなコウモリの羽、顔はコウモリとイヌを混ぜたようで、爬虫類的で切れ長の眼は金色だ。


 アブラヘルの使い魔グレムリンのグリッチ。機械への状態異常を付加しやすくしてくれる。

 機械を分解するのが趣味で、ずっと分解している。

 アルトゥーロは彼が近づくのを嫌がる。不吉らしい。


 この家はアブラヘルの力で隠蔽・移動しているので、力の導管として彼が配されている。


「へっへっへ、これはルキウス様、ようこそお越しを」


 グリッチがしわがれた声でかしこまった。


「用があるのはこいつだ。気にしないでくれ、転移の準備があるだろう」

「そうですかい。主が会いたがっておりましたよ」


 グリッチはすぐに引っこんだ。何かを分解するのに忙しいのだろう。


「せめて百セメルにですね」


 ウリコが食い下がる。


「いくら稼いでもアトラス金貨は増えない。必要なのは、優秀で友好的な人材だ。彼らが金貨代わりだ。そこの死体だって成長すれば、まともになった可能性が」


 東の国々は、専門的な教育機関が少なく、それが高度な技能を持つ人材の確保難につながっているが、職業クラスのおかげで、なんとかなる部分もある。

 才能がありそうな者は、印象がよく信仰先が明らかなヴァーラから接触して感触を探るのがよい。


「普通にアトラス金貨を増やせばいいじゃないです?」

「入手手段がないだろうが」

「〈買い取り〉のスキル使えばいいです。なんで使わないのです? ウリコは〈野外営業〉に〈旅商〉だって使えるのです」


 ルキウスはこれを聞いて完全に停止した。しばらく何を言っているのか理解できなかった。どちらも長いダンジョンや僻地で延々と狩りをする人が使うスキルだ。

 割は悪いが、その場で品を買い取り、消耗品を売ってくれる。

 ルキウスはセーフハウスにすぐ帰り詰めこむので、使ったことはない。


「なんで隠してる! 金が無いのは知ってるだろ!?」


 ルキウスは精神の発動機を、手回しで地道にキュルキュルと回し脳を再起動すると、すごい勢いでウリコをがっちりつかんだ。


「隠してないのです! いま思いだしたのです!」

「なんでいま思いだすんだ!」


 ヴァルファーが何度も議題に出している。知っているはずだ。ヴァルファーは知らないかもしれない。ルキウスすら使用するところを見たことがないのだから。


「なぜだか、思いだしたのですー?」


 ウリコは不思議そうだ。

 ルキウスは鋭い目つきで、じっくり仮面の上からウリコのアホ面を見ていた。

 一度も使っていないから自覚が乏しかった、ならいいが。


「これまでに聞いたよな? アトラス金貨の確保話題」

「さあ?」


 ウリコが首を大きくかしげた。


「・・・・・・こういうやり方は好かんな」


 ルキウスが顔をしかめて呟いた。


「だから、本当に今思いだしたのです!」

「お前には言ってない」


 ルキウスはウリコの仮面の奥の瞳を覗いた。ウリコがくわっと目を開く。


「どういうことなのです!」

「知らん、まず機能確認だ」


 ルキウスはぞんざいに言った。


「なんなのです!」


 ウリコがじたばたした。


「金の話は好きだろう」

「好きなのですー」


 ウリコの言葉がとろけた。


「本当にアトラス金貨が出るか?」

「使ってないのでわからないのです」

「こいつはいくらになる?」


 ルキウスは小石を拾って渡した。


「無価値です。ゴミなのです。ゴミクズなのです」


 ウリコが仮面を透けるほど残念そうな視線を送ってくる。


「ふざけんな」

「だって石なのです」

「なぜ急に常識的なことを言う? 石は鉱物資源だから一ヘラだろ。量が足りんのか?」

「さあ?」

「なぜ自分でわからん? お前が値段を決めてるんだろうが!」


 ルキウスの声が少し大きくなった。こいつの近くにいるといらいらする。


「値段は天から降ってくるのです。これはヘラにならないのです」

「正しい価値は定められていると?」

「値段は値段、価値は価値なのです」

「俗物が禅問答みたいなことを。アトラスと違う。なにか価値を定める意識があるってことだが」


 ルキウスが大きな石を掘りだして、ウリコに渡すと、即座に「ゴミ」と言った。一言言いたい気持ちを抑え、アトラス金貨を一枚渡した。


「なら、これはいくらになる?」

「手数料を引いて零です」

「・・・・・・売るよ。やってみろ」


 ウリコの手の中から金貨が消えた。


「金貨は?」

「さあ? なのです」


 ウリコが肩をすくめた。


「おい!」


 ルキウスが仮面の横からウリコのほっぺたをつまんだ。


「ウリコじゃないのです!」

「手数料な。手数料の額がわからんのか? 絶対値か? 割合か?」


 ウリコが弁明すると、ルキウスは手を離した。


「ウリコは金額を言うだけなのです。雇われ人は悲しいのです」

「いろいろ試すしかない。計算だけしろ」


 十一ヘラで返しは一ヘラになった。手数料は十? 


「手数料だけ計算して言えるのか? お前が計算してだ」

「楽勝なのです。ウリコは総桁数で十の億乗以上まで計算できるのです」

「・・・・・・スキルだよな?」

「ウリコが言ってるのです」

「どこまでがお前なんだよ」


 百で手数料十、百一で手数料十一。三百でも手数料十一、十二なったのは四百八だった。変化は不規則。増加傾向は確実か。


 アトラス金貨では手数料は一定ではなかった。割合ではないし、数、質量とも違う。ここで膨大な桁までやるのは無理だ。後日確認するべき。


(手数料は変換に消費するコストか? それともただのルール? もしもコストなら・・・・・・その方が自然か。地球が丸いか四角いかぐらい違うぞ。コストかどうかの判別ならできる)


「商品の・・・・・・ヒールベリーはいくらだ」

「七ヘラ。金になるのですねー」


 ウリコは羨望の目で果実を見ている。商品を横領しそうだ。心配が増えた。


「なら、そこの死体は? 純粋に死体だけだ」

「二十一、二十三、三十一」


 ウリコが順に死体に触れて言った。


「安いな。いや、死体に価値がある方が奇妙」


 ルキウスは次に手持ちの資源を見積もらせた。


「一万セメル金貨は百枚でも価値無し、鉄インゴットも零」


 この世界の金貨はともかく、鉄インゴットはアトラスのもので価値がある。

 鉄は、「なに、が壊れた? 実は私は鉄を持っていて、簡単な修理ぐらいできるんですよ」とやるために持っていた。


「ゴールドは無価値だったのです!? ショックなのです」


 ウリコががくんと肩を落として呆然自失だ。


「無機物に反応なし。死体でそこそこか。神銀ミスリルなら」


 ルキウスが悩んでから、日に一度のスキルで豆粒ぐらいの神銀ミスリルを出した。純度百の特別品で、ヴァーラの鎧の材料だ。


「四千六百二十一ヘラ、小粒でも高いのです!」


 ウリコが軽く飛びあがった。


「質量が増加すると手数料が増える、と見る。計算法は不明だが、魔法的性質があると高い」


 ルキウスは鋭い目で死体をじっくり凝視すると、言った。


「死体をもう一度」

「十九、二十一、二十六」

「減ったな。ジェントリア粒子とやらが減ったんだ。細胞内のジェントリアが死んだか。軍基地にあった簡易計測器で、ジェントリア指数が計れるはず」


 死体でも生物的オーラはある。インゴットにも思念などはあるが、おそらくこれは実体がない。別の種類の情報ということ。ジェントリア系、質量系、その他系の情報が存在している。


 世界は三層。この発想にルキウスは直感的に納得。おそらく、その他系の情報は人によっては無いに等しい。特殊感覚だけで知覚しうる情報だ。


「これは、客をどんどん殺してアトラス金貨にするのです!」


 ウリコが両手の爪を長く伸ばした。


 ルキウスが無言で足払いを繰りだす。受けたウリコが空で二十回転して、きれいに着地した。両手を広げて、ルキウスを見つめてくる。たぶんキメ顔をしている。ルキウスは無視した。


「その死体は売る」

「やったのです!」


 ウリコは一瞬ですべての死体を消し、引き替えの金貨を懐に高速でしまう。


「アトラス金貨はやらん」

「この吸血鬼ヴァンパイア! なのですなのです!」


 ウリコがルキウスの巨大仮面を揺すってくる。すごい剣幕だ。


「セメルはやるからだな」

「ケチケチ、ケチケチ、ケッチケッチ――」


 ルキウスはウリコの呪いの言葉を聞きながら思考に集中していた。


(つまり、金貨を消費しない魔法の方がやばい? うかつに緑化もできない? ならば大規模な浄化も危険か。倉庫の品を処理すれば問題ないか? いや金貨に戻るだけか。王都の地下の奴の種の値が知りたかったな)


 ルキウスは考え終わり、ウリコの存在を思いだした。


「ヴァーラもなんとか言ってやれ」

「なにがですか?」


 突然の声に、ウリコがビクッと跳躍して半回転すると後ろにヴァーラがいた。


「なんでいきなり現れるのです!」

「うるさく歩く理由はないですから、かすかに血の匂いがしますが?」

「客がお金になったのです。思わぬ儲けなのです。でも社長がケチなのです」


 ウリコが言った。


「強盗・・・・・・強買が出ただけだ。で、こいつが堂々と横領するのだ。なんとかしてくれ」

「それはどうにもなりません。習性ですから、注意が必要でしょう」


 ヴァーラが平然と言いきった。ルキウスはウリコの肩を叩いた。


「・・・・・・あきらめられてからが本番だぞ」

「社長もありのままウリコを認めるです。労働革命です。すべての裁量を従業員に渡すのです」


 援軍を得たウリコは、邪悪な自信を漂わせている。


「それは従業員の範囲外だろ・・・・・・」


 ルキウスはウリコはどうにもならないとあきらめ、ヴァーラに尋ねた。


「仕事中だな?」

「はい。ペジテ草の根の採取でした」


 薬の製作に使うもので、希少だ。彼女は金より、医療の事を考えているはずだ。


「街では派手にやってるようだな。カラファンが困っていたぞ。取り巻きはどんどん増えて誰が誰かわからない。面会を求める商人に、神官、薬師、貴族の駒使いで渋滞してるって」

「ええ、大勢になったので養うにはお金が。特に収集家の依頼は大変です。でも期限はないですから」


 ヴァーラが単独のハンター仕事で得た収入は自由に使わせている。

 彼女はコフテームの最大勢力になりつつある。富、武力、信仰があり、ぶらさがっている者が使いものになれば、組織力も手に入る。


「そういうの、探すのは楽しいか?」

「ええ、パテカの古木が自然発酵してできた酒、カラ酒の杯で一杯分以上。《銀紋山猫/シルベリウス》の毛皮、矢の模様、美品、一生見つかりそうにありません。そんなのが多いです」


 ヴァーラが笑った。外ではあまり見ない表情だ。


「目的があっていい。依頼者も、どれほど本気か疑わしい」


(クエストだな、狩猟本能は誰にでもある)


「現実的なのは、《崩滅牙/ルイナドン》が獲物へ飛びかかる姿勢の生石像ぐらいですね」


 誰かが石化解除して大惨事になりそうだ。人が見ていない間に、ちょっと姿勢を変えたりしたくなる。

 ルキウスは探してこようか、とは言わなかった。しかし釘は刺しておく


「お前の金の使い道は自由だ。しかし病人はともかく、貧民までやたらと助けているな。他の街からも来てしまっている」

「雇用条件が悪すぎます。店は稼いでいるのに、安い食事と棺桶みたいな部屋だけ。そんなのはカラファンが目聡く教えてくれます」

「悪社長がここにもいるのです」


 ウリコに対してルキウスは、フウウと荒く息を吐いた。


「少しは街の秩序に注意を払え、伯爵が困るぞ」

「しかし困ってる人はいくらでもいて・・・・・・」

「街で魔族ナイトメアは見つかったか? お前が特に探しているのはそれだろう?」

「特にというわけでは・・・・・・」


 ヴァーラが少し言葉につまった。

 魔族ナイトメアはなにかと迫害されやすく、能力を使いこなせば、犯罪者側にもなる。

 ヴァーラははっきりと言わないが、関心が強い。彼女の仲間意識の程度が気になる。


「なら、どちらもお前が助けるべきと思う人間ヒューマン魔族ナイトメア、片方しか助けられないなら、どちらを助ける?」


「問題の原因が魔族ナイトメアの性質による不幸ならば、魔族ナイトメアを。しかし実際には、その時の直感でしょう」

「両方助けないという選択肢もあるが」

「助けるべき者なら片方だけでも助けます」

「性質の違う片方を優先すれば、それで騒乱になるやもしれない」

「なぜそのようなことをお尋ねに?」


 ヴァーラの声は真剣でよどみない。


「興味だ。差は実に曖昧。元より人には個人差があり、訓練でそれは大きく開く。人間ヒューマンと、その変種の魔族ナイトメア、そこで分ける意味があるのか、とな。人間ヒューマンでも、特異体質はある」


 聖人が、そこに差を感じるかどうかを問うている。


「我々のものは、技能というより本能で血筋です。子供でも体質は出ますし、いきなり強く芽吹く。親族にも関わりがありますから、大事になる。それはそう思われるでしょう?」


(同意を求める。こいつは感情的、行動の原資は共感か、属性的に責任や秩序ではないし。助けているのは自分、自分を守るのに理由はいらない。理由なく何かをやるってのは、全てに根源的な動機があるように思えてきた)


「種に差があると考えているのは理解した。ウリコはどちらを助ける?」


 ルキウスが、店の商品をチラチラ見て不安を感じさせるウリコに尋ねた。


「おかねくれるほうです」

「銭の前には人種もないな」

「さっすが社長なのです。よくわかってるのです」

「まあ、数値化済みなら迷う余地がない」


 ルキウスは少しだけウリコの価値を理解した。


「ルキウス様なら?」


 ヴァーラが軽く聞いた。


「私に同族はいない。そう認識している」


 ルキウスは答えから逃げた。彼の同族は神でも妖精人エルフでもない。プレイヤーも微妙だ。そして自分にこの選択が発生しうるかは彼にはわからない。

 しかし一瞬の選択なら、なにを選ぶにも悩まないだろうとは思った。


「自分にとって正しい回答を考えておきます」


 ヴァーラが言った。これにルキウスは陽気に応じた。


「どちらかを選ばないといけない時点で失敗しているんだ。過去にでも戻ってやりなおすしかない。あるいは選択後の行動で正解だったことにするか。選択の瞬間には、どうにもできないように思える。気楽に選べばいい」

「興味深いお考えです」


「そろそろ転移しますぜ」


 グリッチが店から言った。ルキウス達は会話を終え、ヴァーラは街へ帰っていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです。ヴァーラさんの出てくる回が好きです。 [一言] 買い取りもウリコのわかることも謎ですね。 アトラス金貨が手に入る方法がわかって良かったです。
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