冒険者という職業
ギルドの説明回です
ギルドとは国家に干渉されない独立機関で、
労働階級である平民のために存在する。
商業ギルド、傭兵ギルド、魔術師ギルド、治療師ギルド、薬師ギルドなど様々なギルドが存在しており、自分の職業のギルドに所属しておけば、ギルド内で情報交換もできたり、品質向上を促したり、商品や仕事の質の信頼性が高まる。
ギルドに登録すると発行されるギルドカードは身分証明書の役割を果たすため、カードの提示だけで国境も簡単に越えられるなど利点が多いのだ。
因みに、公式に認められない闇ギルドなんかも存在するが、ネルは元闇ギルドの暗殺者だ。
色々あって引き抜いた。
スラム街の子供は生きるために闇堕ちすることが多く、例に漏れずネルもスラム出身だ。
そんな数あるギルドにおいて最も有名で登録者数が多いのが冒険者ギルド。
冒険者でなくても登録することができるし、むしろ冒険者を本業としている人は登録数の3割程度だ。
依頼は一年に一度こなさないとランクがひとつずつ下がり、最低ランクから落ちるとギルドカードが失効する。
冒険者は実力次第で爵位買えるくらいまで稼げる完全実力主義社会だ。
ただし、身の危険は全く保証されない。
戦えない冒険者は薬草を摘んだりする素材集めの依頼をこなすから基本的に問題はないけど、なまじ戦闘力のある冒険者は依頼ランクを見誤ったり、強力な魔物とのエンカウントで死んだりするのはしょっちゅうらしい。
私は部屋にこもって本ばかり読んでいた甲斐あって、知識だけはあるから、薬草などの素材探しは得意だし、護身術として習った短剣も使えないことはないけど、そもそも私引きこもりだから筋肉とかないので冒険者として働くつもりは毛頭無い。多分すぐ死ぬ。
私の愛用の武器……例えばローブの内側や、ドレスの下に仕込んだ暗器は人間に襲われた時の護身用だ。
ネルの暗殺術だって人間用。
2人して魔物討伐には向かないのだ。
道中が弱い魔物で助かった。
でも、ライナに教えて貰って作った“鞭”は結構自信作だ。
火の精霊王ブレア様なんかはでっかい剣を背負って毎日のように振り回してるけど、ライナは鞭を得意としている。
鬼畜なライナにピッタリだ。
ブレア様はよく打たれている。
そんなライナに幼い頃から指導を受けていた私も、当然鞭は使える。
私自身が、魔法を駆使して作った、伸縮が自由自在でトカゲの尾のように切っても生える魔法の鞭!
私はこれを使って何度も旅路を襲う盗賊を捕らえて縛ってきた。
鞭で縛って硬化の魔法を使って動けなくしてから切りつければ弱い魔物となら戦える。
普段は短くしているせいか、馬用だと皆勘違いしてくれて、変態だって思われないから便利!
ライナははっきり言ってちょっと変態だと思う。
ブレア様が痛がってるの見てすごいニコニコしてたもん。
結局、鞭で直接魔物を殺すことはできないし、魔物と戦う護身術なんて習ったことがないので、冒険者はなしだ。
帝都でやりたいこともあるし、繋ぎ程度の職として利用させてもらおう。
素材集めで小銭稼いで、暫くはその日暮らしだ。
帝都のすぐ側にある街には、今日のうちに確実に入れるから、せめて宿代と、頑張ってくれたイアンとリークに美味しいご飯を食べさせてあげたい。まずはその分を稼ごう。
道中で狩った魔物からとった素材を売れば今日はなんとかなるだろう。
足りなければ私が作った魔石で1番小さい水晶でも売れば二月は余裕で暮らせる。
だけど、魔石を売るのはちょっとリスクが高い。
自分で言うのも何だけど、私の魔石はかなり品質がいいのだ。
水晶は魔石の材料として使用できるものの中でも比較的安価で手に入りやすいため、私の持っている魔石の中でも圧倒的に多い。
売るために作ったようなものだけど、水晶を売った時にどこで手に入れたのかと問われるのが1番困るのだ。
自分で作ったといえばもっと出せって言われたり、安く買い叩かれるかもしれないし、道端に落ちてたなんて言えば自然魔石が自生している可能性があるとかで場所を教えなきゃいけなくなるしでとてもめんどくさい。
いずれ商業ギルドに入って、自分で商売をして稼ぐようになった時に自分の手で売ろうと思っている。
私の夢は、自分の作った魔道具を売る店を開くことだ。
お店を開くのってすごくお金がかかるみたいだし、貴族でなくなった以上、もう宝石ももらえなくなったから、いい魔石も作れなくなる。
自分で宝石を取りに行くことも視野に入れようかな……
ジュリアンナはたしかに物理攻撃系の戦いはできませんが、魔法はチートなので十分冒険者としてやっていけます。本人が無理だと思っているだけで、実際道中で倒してきた魔物は弱い魔物ではなく中級から上級の魔物です。